LinK4
ハルが守ってくれた命。
はじめての出動で、俺とハルは、小さな命を救った。
動物にしては珍しい色をしていた。
白に青いラインの入った猫みたいな、でも猫じゃない。不思議な生き物。
ハルがいない教室は静かで、周りの皆も目が赤い。
メグも、椿も、長谷も、みんな泣いていた。
「…こういう、運命だったのですね、」
ぽつり、呟くように喋ったのは余り感情を出さない女の子、零菜だ。
その言葉を聞いて、反応したのが椿だった。
「ふざけんなよテメェ!」
「落ち着け椿!」
「あいつがっ…!春翔が死んだのに!なんでそんな冷静でいられんだよ!」
「…泣いたら、加賀くんは戻ってくるんですか?違うでしょう?」
「っ…!」
胸ぐらを掴んだまま、椿は零菜を殴った。
「椿!!」
俺達は必死で椿を止めた。だが体格差があるため、止めきれなかった。
「零菜ちゃん!血が!」
殴られた際、口を切ったのだろう。
鼻血も出ていた。
零菜は四ノ宮とメグと一緒に保健室に、椿は、
「…悪い、帰る。」
そのまま教室を出て行ってしまった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「大丈夫?零菜ちゃん、」
おどおどしながらも手当てをするのは
おっとりした女の子、四ノ宮陽向だ。
「…はい、大丈夫です、…すみませんでした、私、加賀くんに、酷いことを、」
言ってしまいました。
そういう彼女は泣きそうだった。
「零菜ちゃんがちゃんと、ごめんなさい、出来たら、きっと春翔くんも宮本くんも許してくれるよ、」
ほわほわとしてるが、どこかお姉さんのようなやり取りを見て、私は笑ってしまった。
「メグちゃん?」
「ふふ、なんかお姉ちゃんみたい、ね、あのさ、」
こんな時だからこそ。
ちゃんと前を向かなきゃ。
少しでも前に進むために。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「メグ、そっちはどう?」
「拓人が心配しなくても大丈夫よ、きっと。」
「青春なんだな」
「青春ねぇ…ってメグ今喋った?」
「違うけど、何?どうしたの?」
「今なんか変な声が…!」
「変とは失礼なんだな!ここにいるんだな!」
腕の中にいた猫みたいな変な生き物が喋った。
「うわぁぁぁしゃべったぁぁぁ!!」
へんな生き物は机の上でえっへん、と喋りだした。
「だなは青龍のこどもなんだな!」
数千年封印されていたが最近何者かによってその封印が解かれ、
ここにいると言うのだ。
「だなちゃんは、春翔くんと、拓人に護られたのね、」
柔らかく笑うメグにドキッとしたのは秘密だ。
「白虎と朱雀は分からないけど、玄武も封印を解かれてるんだな」
少しずつ、でも確実に俺達は歩き始めていた。