LinK24
「あああああっ!」
振りかざしたハンマー。
ぎゅ、と目を瞑ったけど、
いくら待っても衝撃音がない。
「っ……!?」
コックピットの中で、山吹さんが、泣いていた。
「っ……ひっ、や、だ、わた、私、しん、さの事、ころ、せないっ……!!」
「儂はお前等を、捨てたんだぞ、」
「慎さん!!」
「いいよ!!捨てられるのなんて、分かりきってたことだったし、でも、慎さんは勉強教えてくれた、色んなとこ連れってくれた!私にとって、慎さんは、かぞく、なん、だよっ……!うっ、ふ、あああああっ!!」
子供みたいにわんわん泣く山吹さんは、どこか遠くに見えた。
山吹さんの前にいた機体が倒れた。
後ろにいた、得体の知れない何者かに
機体を貫かれていた。
そして、口を開いたのは、
「……お久しぶりですね、三浦さん、いえ、父さん……」
ニーナが発した言葉についていけなかった。
「ああ……!やっと逢えた……!わたしの愛おしい娘、愛……!」
「一つ言っておきます。わたしは、愛ではありません、皆さんからいただいた、大事な、ニーナという名前があります」
「愛っ……寂しかっただろう、悲しかっただろう、もう大丈夫。これからはパパとずっと一緒だ」
「……会話になりません、白石さん、メグさん、宮本さん、学校に出撃出来るよう連絡を、聖川さんは楓さんと、彼を安全な場所へ、それまでは、私が、時間を稼ぎます」
「無茶よ!」
「いいから早く!!」
ニーナが声を荒げた。
「……分かった、皆に連絡する、ヒナと博士には待機、指示してもらおう、それ以外動ける人達で、戦おう、」
「悪ぃな、俺はここで、こいつと戦う、」
「バッキー!?」
「大事なもん、もう誰にも奪わせねぇ、」
「足、引っ張らないでくださいよっ!」
「るっせ!」
「必ず戻るから、待ってて、」
頭の中は真っ白で、どうしたらいいかなんて分かんない、けど。
今、自分にやれること、やるしかない。
∴悲劇の幕は開いた