LinK23
真っ暗な中に私は居た。
ぶん……と暗闇の中にテレビ画面のようなものが映った。
(おとーさん!おかーさん!)
無邪気に笑う私。
何も知らない子供の私。
父の暴力。
離れた家族。
火事になった園。
敵になった、大事な人。
なんで。
「そりゃ、あんたが居るからでしょ、」
いつの間にか画面は消え、居たのは、私。
「あんたが生きてるからこんな事になったんじゃん、」
「わ、私が……」
「そ、あんたが居なけりゃ、全部平和だったのにねぇ、」
指先から冷えていく。
がたがたと震えが止まらない。
「あんたが生きてようが死のうが、世界は回り続けるんだよ、」
「あんたが生きる理由なんて、ないじゃん、」
そうだ。
私が生きる理由は。無い……
「楓!!」
真守の声がする。
「返事して!山吹さん!」
白石と藤原の声もする。
「楓がいなくなったら、俺はどうしたらいいんだよ!……ひなも、慎さんも、楓も、失いたくない……!」
「ま……」
「お前が生きてちゃ駄目なんて誰が決めたんだよ!ふざけんな!」
私、わたし、
「わた、しは、生きてて、いいのか……?」
「生きる理由なら、俺がなってやるよ!俺の為に、生きてくれよ!」
ぼたぼたと涙が溢れて、
「悪い、もう少しだけ、生かさせてくれ、」
柔らかい光が私を照らした。
「ふぉっふぉ、若いのぉ、」
緑色の長い髪。
眼鏡をかけた青年に言われた。
「世界は確かに回り続ける。生きる理由なんて、誰もなくて、君だけが特別なんて事はない。して言うなら、生きる理由は、ここに居るから。それでいいんじゃないかのぅ?」
「……私がいるせいで、苦しむ人だっている、」
「けど、それだけじゃなかろう、」
「え?」
(楓、お前がいたから、またヒナに逢えた)
(山吹さんのおかげで、カイくんと分かり合えたよ)
(お姉ちゃんと仲直り出来たし、お姉ちゃんも楽しそうにしてるから、いつでも頼ってよ)
(妹欲しかったから嬉しい!あなたは自慢の妹よ!)
「世界は、君が思ってる以上に、君に優しいんじゃ、君の心が呼んだから、わしが来たんじゃ、」
「「リンク」そう言うんじゃ」
「り、リンク……っ!」
身体が軽い。
何だろう。
「山吹さん!大丈夫!?」
「楓!返事しろ!!楓!」
ゆっくりと目をあけると、通信が入っている。
「う……何だったんだ……今の……」
いつの間にか機体には持った覚えのない、ハンマーのようなものがあった。
「ほーぅ、リンクしたっちゅう事は、あん亀、逃げよったな、なら、やる事は、一つ。」
楓。
「山吹さん!下!」
悪いの。
「っ、あああああ!!」
お前等に、幸せに、なって欲しかった。
最後まで一緒にいられなくて、ごめんなぁ。
拾った事、後悔してない。
あの日以上に幸福な、ことはないんだ。
「真守、楓、ありがとうなぁ……」
避けきれた攻撃。
せめて、罪滅ぼしだけでも、させてくれないか。
∴幸福な日曜日。