LinK22
街は滅茶苦茶だ。
沢山の人が傷つき、子供の泣き叫ぶ声が聞こえる。
なんだよ、これ。
夢なら、覚めてくれよ。
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数日前から、アンドロイドやアンダーロイドの回収で、周りは忙しそうだった。
ただ、自分はそれをどこか遠くの出来事に思えた。
その日、回収されるアンダーロイドが暴れたため、鎮圧に向った。
山吹さん、まーくん、メグ、ニーナとバッキーと、俺。
ニーナは博士に無茶をしないように言われていた。
そのお目付け役でバッキーが来たのだ。
そこには、あの時バッキーに執着していた人と、
もう一人、男性が居た。
「久しぶりじゃのう、楓、真守、」
「っ、しん、さん…!?」
「なんっ…!」
普段冷静な山吹さんが、
「なんで、慎さんが、そっちにいるの…?」
泣きそうな声で、
「なんで、あたし達を捨てたの…?」
「楓!!」
引き金を、ひいた。
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「ああ、椿、逢いに来てくれたんだね…!嬉しいよ…!」
「……宮本さん、もしかして、ホ」
「おい、意味深な喋り方すんな、あんな奴知らねーよ」
「でも……」
じろり、ニーナを見た。
「好きになったのは、アイツじゃねー、こう見えて一途なんだよ、俺は」
「よく分かりませんが、彼の事を弄んだのですか…?」
「何でだよ!!」
瞬間、後ろのビルが壊れた。
「お喋りはここまで♡さぁ、椿、一緒に逝こう♡安心して、優しくするから♡」
「宮本さん、もしかしてネ」
「だからちげーって!つか何でそんな言葉知ってんだよ!」
「メグさんや有紀さんに教えてもらいました」
「あっそ…つか小松何で知ってんだ…」
「私は宮本さんが知ってる事自体驚きでした」
二発目が撃たれた。
「次は、当てるよ」
「はっ、上等じゃねーか、やってやるよ!」
力と力のぶつかり合い。
ほんの少しだけ、椿が優勢だった。
「ニーナ、撃て!」
「了解しました」
僅かな隙間を狙い、狙撃した。
それは、白虎の身体を貫いた。
「白虎!!」
優勢だった椿の機体はあっという間に投げ出され、千鶴がコックピットから出てきた。
白虎の身体は、砂のように、空に溶けていった。
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「楓!!」
まーくんの声が響いた。
「はっ、はっ、はあっ…」
山吹さんが震えてるのが分かる。
悲しみと、憎しみと、苦しさが混ざったような、目をしていた。
「楓、俺がいるだろ、俺はお前を一人にしないし、させない、」
「聖川くんだけじゃないよ!私だっているんだからね!ニーナちゃんも、ヒナも、拓人も、皆いるから!」
信じて!
山吹さんの機体が光った。
俺が青龍とリンクした時のように。
∴あなたがガラス細工だとして、破片をひろうのは私の役目。そうして集めた破片をセロハンテープでくっつけるの。あたしのところへ帰ってこれるように。