LinK18
ばぁん!
音はしたのに、痛みがこない。
恐るおそる目を開くと、
「間に合いましたね」
「え…?」
「なん、で、」
「れいな、ちゃん…?なの…?」
死んだはずの、零菜がいた。
「ちっ、安藤、一旦引くで!」
「仕方ない…ばいばい♡椿♡また会おう♡」
二人はどこかに消えてしまった。
それよりも、
「お前、死んだはずじゃ…」
「みなさーん!無事ですかー!!」
「「博士!?」」
「帰るとこすみません、学校に戻れますか?説明します、アンドロイドの事、彼女の事、」
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教室には皆集まっていた。
零菜が入ると少し、ざわついた。
「聞いてください!彼女は零菜さんですが、零菜さんじゃありません!」
「…どういう、事?」
「私から説明します、私は何回も転生…死んだはずなのに、その世界に私はいました。この世界では「零菜」と呼ばれていました。他の記憶もあります。「陽菜」と呼ばれたり「愛」と呼ばれたり。そして、いつだって私を殺すのは、私を作った博士の助手、です。」
「今回、目が覚めるのに時間がかかったのは、今までは誰かの肉体をお借りしてたからなんです。真っ暗な中、光の導く方へ行くと、この体がありました。」
「この体はボクが作りました。彼女はアンドロイドですが、どちらかと言えばアンダーロイドにちかいです。実力も技術も少ないボクでは、限界があります。」
「それでも、私は、また皆さんと共にいたい、それだけ、なんです。」
「なら、いーだろ、お前がここに居たいなら、それでいーだろ、」
「…はい…!」
「お二人の世界に入るのはいいのですが、彼女、まだ名前がないんです、彼女はさっき言った通り、色んな名前があります。零菜さんでも陽菜さんでも愛さんでもない、彼女がここにいたっていう理由になれるように。」
「うーん…博士はつくってるとき、どんな事思ってたの?」
「ボク、ですか?」
「うん、」
「…ボクはシュミレーションが苦手で、皆さんの足手まといになってます、それでも皆さんは責めない、むしろ励ましてくれる、だから、ボクが出来ることで、皆さんのサポートをしたいって思いながら、皆の事を思いながら、つくりました。」
「このクラスは男女合わせて、まーくん達含めて27人、…27、ニーナはどうだろ、皆がいなかったら、彼女はいなかったんだし、いやなら、いいんだけど、」
「わ、私もニーナちゃんが、いいと、思うよ、」
「零菜ちゃん…ううん、ニーナちゃん、よろしくね、」
「はいっ…!皆さんのお役に立てるように、努力します!」
笑った顔は、輝いていた。
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「青龍も朱雀も人間に誑かされてるんや、ほんま頭おかしいんちゃう、」
「は〜〜〜な〜〜〜せ〜〜〜!!びゃっこ〜〜〜!わ〜〜〜た〜〜〜し〜〜〜の〜」
ばぁん!
「…うるせーんだよ、黙ってろ、亀のくせに、」
(はわわわ!殺される!青龍、朱雀!助けてくれ!)
「早く白虎みたいに洗脳されてくれないかな♡」
(あかん、こいつやばいやつや!)
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「…ナツ?どうしたの?」
「いや、誰かに呼ばれた気が…」
「だなも呼ばれた気がするんだな」
「…ねぇ、だなちゃん、ナツ、」
「どうしたんだな?」
「…ううん、何でもない、」
∴あいにく、勇気は持ちあわせておりません。