LinK15
私が小学二年生の時、なおちゃんは転校してきた。
隣の席になって、よろしくね、って言ったら、
むすっとした顔でよろしく、とだけ言った
帰り道でなおちゃんを見かけて、声をかけた。
「一緒に帰ろう」
「なんであんたと帰んなきゃいけないの?」
「私のお家もこっちなの、」
なおちゃんは呆れた顔で、「今日だけね、」って言った。
次の日、教室に入って「おはよう、」って声をかけたら
むすっとしたままだけど、小さく「おはよ」って言ってくれた。
少しずつ時間が経つとむすっとした顔より、笑った顔の方が増えていった。
ある日、なおちゃんはスカートを履いてきた。
クラスの男の子たちはからかって、「男おんな」とか「太い足見せるな」とか悪く言っていた。なおちゃんの瞳には涙が浮かんでた。
「なおちゃんのスカート可愛いね、似合ってるよ」
私はその日、学校から帰るとお母さんに頼んで髪を切ってもらった。
「えへへーお揃いにしちゃった」
そんな事もあって、私達は1番の友達になった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「暑いねー」
「プールは涼しかったけどね、」
夏休み、プールの帰り道で私達はナツを見つけた。
「珍しいね、赤色だ」
「…食べたら美味しいかな…?」
「いやいや食べれないでしょ、とりあえず、家に行こう、」
なおちゃんのお家で手当てして、しばらく様子を見ることにした。
なおちゃんのお母さんは最初反対したが、今ではお母さんが1番可愛がっているらしい。
「名前何にしようか、」
「うーん…トリィさん?」
「だったら、なおの、「な」と、みつきの「つ」でナツはどう?ちょうど夏だし!ね!」
「いいね!早く元気になってね、ナツ」
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小学校を卒業する頃から、なおちゃんは私を避け始めた。
縮まっていたはずの距離はまた少しずつ広がっていった。
「それで、なおちゃんと話そうと思って、お家に行ったんだけど、」
(あんたなんか、友達じゃないし、顔も見たくない!)
ドア越しに聞いた。拒絶の言葉は心を抉った。
「…私、ばかだから、知らない間に傷つけたのかなぁ…」
家に着いて、お兄ちゃんと真守さんとナツに話した。
「違う、なお殿は、いつも美月殿の話をしてくれた。楽しそうに。」
「ナツ…?」
「美月殿の話をするとき、花が咲き誇るように楽しそうにしゃべる、ただ、最近美月殿との写真を見ては泣いて、謝っていた、ひたすらに、ごめんなさいと、」
「そして、私を逃した。美月を守って欲しいと、言われた。」
(ナツ、お願い、美月を守って、お願い、お願いっ…!)
「私、やっぱり馬鹿だ、なおちゃん一人で苦しんでるのに、何もできない、ねぇ
お兄ちゃん、私、なおちゃんと仲直りしたいし、今、何が起きてるのかも、ちゃんと知りたい、なおちゃんはたった一人の、親友だから、」
「分かった、できる事はやろう、そして、何が起きてるかも、調べよう。」
∴すきよ、だいすきよ、だからおねがい、わたしをわすれて