LinK1
その日は空がとても青かったのを覚えている。
「拓人、準備出来たか?そろそろ行くぞー」
「はーい!」
アンドロイドと共存する時代。
その日は入院している母に会いに行く日だった。
受け付けをしている父をよそに、早く母に会いたくて
気付いたら走りだしていた。
「こんにちは、拓人くん、お母さんのお見舞い?」
「おねえちゃんこんにちは!そうだよ!ママに会いにきたの!」
「早く会いたいのは分かるけど、病院は走っちゃ駄目よ、あ、これあげる」
「ありがとう、おねえちゃん」
ポケットからは空色の包に入ったキャンディ。
おねえちゃんはニコニコ笑ってまたね、と、ナースステーションに戻ってしまった。おねえちゃんはアンドロイドだったが、優しく接してくれるので、大好きだった。
「こら拓人、勝手に行っちゃ駄目だろう。」
「ごめんなさい、パパ」
「分かれば良し、入ろうか」
撫でてくれる父の手、
「いらっしゃい、拓人、」
柔らかく笑う母
「あら、さっきぶりね、ふふ。」
検査中の母とアンドロイドのナースのおねえちゃん、生まれてくる妹
きっとこれからも、幸せなんだと思っていた。
突然電気が消え、おねえちゃんが動かなくなった。
「…?おねえちゃん…?」
次の瞬間、突然母の首を締め始めた。
あの、優しかったおねえちゃんが、
父が離した事で母は無事だった、けど、
「早く…!逃げてください…!何者かがプログラムを…!あああっ!!」
他のアンドロイドのナースも、同じように苦しみはじめ、
暴走し始めた。
暴走し始めたアンドロイドを止めたのは
北青学園の生徒たちだった。
数時間後に鎮圧されたアンドロイドたちは全て処分された。
病院に行けばいつも笑ってくれたおねえちゃんを、
俺は助けてあげられなかった。
だから、俺はアンドロイドを助けられる人間に、なりたい。
だから。
「俺は、北青学園に行くよ。」
全てはここからはじまった。