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モザイク〜MOSAIC  作者: AKI
8/19

人助け

私は見捨てられたのだろうか・・・。

帰り道をとぼとぼと一人で歩く。

私は惨めだろうか・・・。


いつもならば、公子と別れるT字路が見えてきた。いつものように川の流れは穏やかだ。例えるのならば、母のよう・・いや、私にとっては父のようだった。


私『三途の川みたい・・・。』


私はガードレールから身を乗り出してみた。


私『なんで、こんなに綺麗なんだろう・・・。』


30分程だろうか、私はしばらく見惚れていた。幸せな時間だった。現実を忘れる事が出来たから・・・



増岡『人見、いつまで見てるんだよ。』


人見『・・・。』



この綺麗な川に飛び込めば幸せになるのかな・・・。私の汚い心を洗い流してくれるのかな・・・。私が消えたら誰が探してくれるんだろう・・・。



室伏『・・・?あいつ、飛び降りるんじゃねぇか!?おい、人見!!』


増岡『俺たち知らねぇからな!!』


さよなら・・・お父さん・・・。

ごめんなさい・・・お父さん・・・。


私『!?』


人見『・・・危ないだろうがよ。もし、お前が落ちたら第一発見者は俺たちだ。お前にとって、それは嫌だろ?』


私『・・・。』


息切らしちゃって、馬鹿みたい。


人見『それに俺たち、日頃から馬鹿やってるからさ。疑われるのは目に見えてんだよ。』


嘘ついてる。第一発見者になる前に逃げればいいじゃない。私の心は汚れてる。


私『あ、ありがとう。』


私は人見の目を見る事が出来なかった。むしろ、なんで助けたんだって思った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


麻里『あ、あそこ!!ヤバいよ、白瀬が掴まれてる!!』


佐村『よし、秘密兵器を出すか!!』


佐村は公衆電話に駆け込んで110番と押し・・・


麻里『どこが秘密兵器じゃ!!』


バシンッ!!


人見『ん?』


私『藤浪と誰?』


麻里『白瀬、大丈夫!?』


私『えっ?』


藤浪も駆けてきた。私が、川の流れに見惚れていた事を知っているのだろうか。そして、藤浪に腹パンされた男は誰だろうか。まるで恋人みたい。


人見『なんだよ。』


麻里『”なんだよ”じゃないよ!!何が”事後よろしく”よ。』


私『・・・?』


人見『俺は人助けをしただけだって!!』


麻里『人助け!?この変態◯んぽこ狸の皮算用!!残念でしたー!!』


私『(なんだ、このノリは・・・。事後よろしく?・・・事後よろしく!?)』


麻里『白瀬!!』


私『はっ、はいっ!?』


麻里『あんたも言ってやりなよ!!』


私『・・・。』


人見『白瀬・・・。』


私『ありがとう。』


私は人見の目をしっかり見て、そう言った。そう言えた。


麻里『白瀬、どういうこと?』


人見『だから、人助けだって言っただろ。』


私『うん、人助けだよ。』


藤浪は呆気に取られていた。


麻里『あ・・・そう・・・白瀬がそう言うならいいんだけど。』


人見『ところで、そいつ誰だよ。』


私も気になる。


麻里『あの・・・その・・・。そ、そうそう!友達の佐村!!た、たまたま帰りが一緒になってさ!!ははは。』


私はよーくわかった。人見はわかっていないみたいだけど。


麻里『ああ、今度の日曜日ね、この佐村が弾き語りをしてくれるから、二人とも来てよ。友達も連れてきてさ。』


私『弾き語りって本当にあるの?』


麻里『うん、友達も連れて来てよ。』


友達だってさ。みんながみんな友達がいると思ってるんだ。友達とケンカ中でも、代わりがいる人はそう思ってるんだ。


私『行けたら行くよ。』


私はそう言った。また嘘をつくことになるかも知れない。

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