比較
・・・・・私はいつも・・・1人で・・・・何周も・・・何周も・・・おんなじ場所を・・・行ったり来たり・・・何周も・・何周も
ねぇ・・・私は幸せなのかな・・・ねぇ・・・・ねぇ・・・・ねぇ・・ねぇったら!!
私『う・・ん・・・?』
公子『ねぇったら!!あ、起きた?』
ここは映画館?そうだ、私は公子と映画を見ていたんだ。どうやら映画も中盤を過ぎた辺りで私は寝てしまっていたらしい。彼女の証言を信じるのならば、私は大あくびをかましていたらしい。
公子『実は、私も寝ちゃってたんだよね。ラストのシーン見逃しちゃった。』
公子はそう言うと私に、早く次行くよ。と言った感じの素振りをした。
私『映画のあとは、何するんだっけ?』
公子『レコードを買いに行くんでしょ。最近、物忘れ激しいけど大丈夫?』
私『寝ぼけてるだけだよ。』
私が立ち上がると、白い紙が足下に落ちた。公子がそれを拾い上げた。
公子『なにこれ?』
私『見せて。・・・中央公園・・・。』
公子『中央公園?どういうこと?』
私は公子に見られないように、白い紙をポケットにしまった。
ー8月4日に中央公園で22時ごろ弾き語りをします。ご都合が宜しければ、是非お越しください。ー
8月4日・・・来週の日曜日・・・?
公子『色葉?』
私『いかがわしい店の勧誘だよ。寝ている間に隣のおっさんが仕込んだんじゃないかな。・・・公子の席には何もなかったの?』
公子『私の所にはなかったけど、何?いかがわしい店って、社長秘書とか(笑)』
私『何でもいいじゃん(笑)早くレコード買いに行こう。』
私たちは、それぞれ1枚ずつレコードを買った。公子の家で再生してからわかったことなんだけど、偶然にも私のレコードの歌詞と、公子のレコードの歌詞は正反対なもので、私の悩みを公子が励ましてくれているような歌詞だった。
公子が姉か妹なら良かったのに・・・双子でも良かったのに・・・私を操作している神さまが利口ならば、もっと幸せだったのに・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝だ。見慣れない色のカーテンを開けると、見慣れない風景が見えた。家に帰るのが、嫌になった。でも、帰らなければ連れ戻されるのが、青春期の常。私は何度か頬をつねって、現実を受け入れた。
公子『おはよー。眠れた?』
私『おはよー。眠れたよ。』
寝起きも良かった。
公子『それなら良かった。今、母さんが朝食作ってるから。10分くらい経ったら降りて来て。』
朝食・・・・10分もかかるなら、うちの様な【賞味期限スレスレの食パン〜バターもつけないで〜】を軽く上回る料理を朝から食べられはずだ。
10分後・・・予想は的中した。
公子の母『昨日の残り物のアレンジでごめんなさいね。』
私『いえいえ、すごくおいしいです!』
何せ、うちでは残り物があることさえ、珍しいから。一応、母の名誉のために口には出さないけれど。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
麻里『ううん・・』
佐村『ZZZ...』
麻里『そういえば、佐村のアパートに泊まったんだっけ。』
部屋には数本の缶ビールが転がっていた。
麻里『へンな事されてないよね!?』
麻里は下着を確認した。ついでに恥部も。
ほっとしたように、肩を撫で下ろす。
佐村『なに?ひとりエッチしてんの?』
麻里『・・・。』
ドスンッ!
佐村『うぉっ!?』
麻里『寝たフリだったの!?』
佐村『ZZZ...って言いながら、寝る奴がいるかよ。いってぇ!!』
麻里『昨日の手紙、ちゃんと読んでくれてるかな?』
佐村『わからないな、手渡ししようと思ったんだけど膝下に忍ばせただけだからな・・』
麻里『それにしても、何で白瀬が映画館に居るってわかったの?』
佐村『土曜日はスタジオにいるからだよ。毎月最後の週の土曜日は、友達と映画見に来ている制服の女の子がいたからな。
あの娘が白瀬だって言うことはお前と話している内に勘づいた。』
麻里『探偵になれるんじゃないの?』
佐村『まだ、成功してるかはわからないだろ。次はお前の番だ。白瀬に手紙が渡ってるかの確認と3人組の呼び出しを頼む。』
麻里『わかってるよ。でも、どうやって確認するの?』
佐村『来週の日曜が空いてるか、月曜日に学校で聞けばいいんじゃないか?』
ーーーーーーーー月曜日ーーーーーーーーー
タタタッ!!
私『あの、オバンめ!土曜日と同じ手を使いやがった!』
私はまるでギャグ漫画の登場人物の様な走り方で例の食パンを頬張っていた。