相談
麻里『私は煙草が好きなワケじゃない。だから、スウィングが好きな方でもない。男が好きだなんて、今は言いたくない。トランプ占いは大嫌い。』
煙草の灰がなくなるまで、麻里は自分に言い聞かすように、そう呟き泣いた。
麻里『佐村なら、何とかしてくれるかもしれない。そんな気がする。』
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ガラガラガラ・・・
麻里『すいません、あの・・・佐村さんって、まだ居ますか?』
C組の生徒『佐村?あいつなら、とっくに帰ったよ。どこに帰ったのかは知らないけど、何せあいつ、いつもふらふらしてるから(笑)』
麻里『(いつもふらふら?ヤクでもやってんの?いや、この場合のふらふらは、宿無しってこと?あーわからない。)』
C組の生徒『お前、佐村の女?』
麻里『えっ、いや違い・・・』
C組の生徒『あいつ、手が早いから気をつけろよ。』
麻里『(手が早い?喧嘩がボクサー並みに、強いってこと?やっぱり、誰彼構わず、声掛ける軟派野郎ってこと?えっ、私、手出されてないけど。あーもう)』
C組の生徒『さっきから、何考えてんだよ!!』
麻里『あ、いや、声に出てた?あはは。』
C組の生徒『今日は土曜日だから、ゲーセンの前のスタジオでバンドの練習してんじゃないのかな?』
麻里『バンド?音楽やってるんですか?』
C組の生徒『ああ。やっぱり音楽やってるヤツって、変わり者が多いからさ。』
麻里『そうなんだ・・・ありがとう。そこに行けば会えるんですね。』
C組の生徒『イメージ変わったね。』
麻里『えっ。』
C組の生徒『お前って、藤浪麻里だろ?美人な不良って有名だったから。どうしたの?』
麻里『いや・・最近、色々あって・・・。』
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人見『来たか?』
室伏『いや、まだ・・。』
増岡『麻里の家の前の道を通るはずだろ?』
人見『おかしいな・・やっぱり、学校から付けた方が確実だったかな・・。誰だよ!!今日は休んで張り込もうって言った奴は!!』
室伏&増岡『お前だよ!!』
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私『はっくしょん!!』
公子『大丈夫?風邪じゃない?』
私『誰かが噂してるだけだよ。』
公子『それならいいんだけど・・・映画館でかまさないでよ。』
私『大丈夫だって。』
私が映画館でかますのは、くしゃみじゃなくて、あくびだよ。BOYのテーマがいい子守唄になりそう。
公子『あれ?藤浪さんじゃない?』
私『えっ?あっ本当だ。あそこのスタジオ、溜まり場になってるよね。』
公子『そうなの?』
私『噂だよ、ウワサ。藤浪さんだから、お仲間なんじゃない?』
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麻里『・・・すいませーん。・・・すいませーん!!。うっ!!』
佐村『うるさいって言っただろ。』
麻里『あ・・・佐村さん?』
佐村『ああ、顔はお互い見せてなかったよな。同じ学校に通ってて、同じ学年で、同じ階にクラスがあるのに。何でだと思う?』
麻里『同類だから?』
佐村『良くわかったな。お互い大人に不満を持っているから、同級生の事なんかどうでもいいんだよ。つるむ奴はいるけれど、所詮うわべだけの付き合いだ。そんな奴を犯したり、犯されたりしたら・・・お前みたいに変わっちまう。』
麻里『・・・。』
佐村『なんだよ、思い詰めたような顔して、初めて間近に藤浪麻里を見たけれど、やっぱり美人だな。』
麻里『えっ?』
佐村『半分本気で、半分冗談だよ(笑)
何か用があるんだろ?俺も忙しいんだよ。』
麻里『あ、そうだった。・・・でも、忙しい?バンドやってるんじゃなかったの?』
佐村『ああ、さっき解散したんだよ。』
麻里『さっき!?』
佐村『俺の浮気癖がバレてさ。バンドの掛け持ちが気に障ったみたいで。ほら、ここ殴られたんだよ。ドラム2人、ベース2人、ギター3人、キーボード1人から。』
そう言うと、佐村は赤く腫れた胸と腹を見せた。頬も指差した。
麻里『それって解散じゃなくて、追放だよね・・・』
佐村『捉え方次第だ。ははは。』
麻里『(でも、あんなに殴られたっていうのにピンピンしてるなんて、やっぱり佐村に相談するしかないか・・・)』
佐村『ところで用って何?』
麻里『実は・・・』
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私『はっくしょん!!!』
ダメだ、今日は調子が悪い。やっぱり今日は家に帰ろうかな・・・
公子『本当に大丈夫?家で安静にしてた方がいいんじゃないの?』
家で安静か・・・あんな、埃まみれの家で安静なんて合理的じゃない。余計に変なウイルスの進入を許すだけだ。そんな事は、私の白血球が許さない。今日は意地でも楽しんでやる!
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佐村『なるほど、その白瀬色葉って子が、君の悪い友達の標的になっていると。』
麻里『その責任は私にもあるんだけど・・・やっぱり・・・私、女の子だから・・・』
佐村『でも、どうすればいいんだ?』
麻里『それを阻止するために、あいつらをボコボコにしてやってよ。』
佐村『おいおい、俺を少年院にぶち込む気か?性格は改善しても、思考は変わらないんだな。』
麻里『でも、それ以外の方法だと白瀬に囮になってもらうしか・・・』
佐村『それでいいんだよ。』
麻里『・・・。』
佐村『な〜に、この変態!?って思ってるな?違うんだよ。そもそも、犯行前に奴らを叩いたら、真っ先に疑われるのはお前だろ?』
麻里『・・・。』
佐村『大丈夫だって、犯行中に偶然を装って近づくから、お前は3人組と白瀬が中央公園で鉢合わせるように努めてくれよ。』
麻里『・・・嫌だよ。』
佐村『じゃあ、どうすんだよ!!奴らが白瀬を犯そうとしてるのは、わかってんだろ!?囮になってもらうしかないんだよ!!』
麻里『レイプって、とっても怖いんだよ!!
性格まで変わっちゃうくらい怖いんだよ!!
白瀬に囮になってもらうなんて出来ない!!
今すぐにでも、あいつらをボコボコにしてよ!!』
パチンッ!!
麻里『!?』
佐村『だから、お前はキーキー、キーキー、うるさいんだよ!!わかった。奴らが白瀬を押し倒した時点で近づくから。なっ。』
麻里『すぐに助けてあげられる?』
佐村『ああ、こっちには秘密兵器がある。』
麻里『秘密兵器?』
佐村『俺の人脈は意外と広いからな。』
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私『はっくしょん!!!あーもう!!』