身辺調査
麻里の母『あら、珍しい。学校からの手紙がポストに投函されるなんて。麻里にも、友達っているのね。』
麻里の母『麻里ー、学校から手紙が来てるわよ。』
麻里『・・・』
麻里の母『扉の前に置いているからね。』
麻里『・・・うるさいな。』
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私『ただいまー。』
妹『おかえりー。』
中学1年生の妹、美知だ。美と知が名前に入っているのが気に食わない。私なんて、色と葉だよ。でも、私は自分の名前の方が好き。”私の”お父さんが付けてくれた名前だから。妹の名前を誰が付けたかなんて、知りたくもないけれど。
母は仕事で午後は8時くらいまで帰って来ない。食事の支度は電子レンジがしてくれるから苦労はない。
美知『お姉ちゃん、宿題がわからないから教えて欲しいんだけど・・・。』
私は、美知のお姉ちゃんとして生きている訳ではない。どちらかといえば、おばさんの方がしっくりくる。だけど、ここで、それを断れば私の株がぐんぐん下がって、この自称、妹に軽蔑されるかもしれない。それだけは避けるべくして、私は鉛筆を握った。
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麻里の母『私、買い物に市場まで行って来るからね。聞こえてる?』
麻里『・・・』
麻里の母『それじゃ、留守番よろしくね。』
ガチャ・・・
人見『あっ。麻里ちゃんのお母さんですか。』
麻里の母『ああ、あなたたち麻里のお友達?』
室伏『そうです!いずれは友達以上の関係に・・・。』
人見『っるぅせんだよっ!この馬鹿!!
実は僕たち麻里ちゃんが心配で来たんです。』
麻里の母『あら、そうなの。ごめんなさい。いかつい格好してるから、不良が訪ねた来たのかと思って動揺しちゃった。』
人見『家に上がらせて貰っても宜しいでしょうか。』
麻里の母『随分とご丁寧ね。やっぱり、人を見かけで判断しちゃいけないのね。いいですよ。でも、麻里ちゃん、最近機嫌が悪いから相手にしてもらえないかも。もしも、そうでも、麻里を見捨てないでね。』
人見『ありがとうございます。見捨てるなんてしませんよ。見捨てるなんて・・・。』
ガチャ・・・
人見『ここが、麻里の部屋の前だ。』
増岡『なんだー。リサーチ済みだったんすね。』
人見『リサーチも糞もねぇだろうが。あいつをヤッたのが、この部屋だからな。』
麻里『人見?なんで、また来たの。別れるって言ったじゃん。帰れよ。男2人連れて来るなんて卑怯だよ。もっと硬派な男が好みなんだよ。』
人見『まあまあ、そう焦んなよ。今日はヤリに来たんじゃないから。』
麻里『じゃあ、何?』
人見『お前の身辺調査だよ。土曜日の事、誰にも、漏らしてないだろうな。』
麻里『・・・。』
室伏『これ、学校からの手紙じゃねぇか?』
増岡『あ、本当だ。』
人見『見せてみろ。麻里ー、これ見てもいいか?』
麻里『・・・。』
人見『見るぞー。』
麻里『・・・・・・・・・ダメっ!!』
増岡『なんだこりゃ。』
室伏『学校は不純異性交遊の疑いで、2年D組藤浪麻里を停学処分を下します。ただし、その相手の名前を告げるのであれば、処分短縮とします。あなたは、相手の名前を告げられたため、停学処分の短縮を認めます。。。』
麻里『違うんだって!!それ、脅しの手紙だって!!信じてよ!!女の子って、男の子よりも、そう言うことに敏感で、直ぐにバレちゃうみたいで・・だからさ!!』
ガチャ・・・
麻里『あ、ちょ、ちょっと。』
人見『この手紙を書いたのは、誰だ?』
麻里『知らないよ・・・』
人見『届けたやつは分かるだろ。いつも、カーテン半開きじゃねぇか。』
麻里『白瀬だよ。』
人見『白瀬?白瀬って、うちのクラスの?なんで、あいつが、お前に手紙を届けるんだよ。』
麻里『この家を通り過ぎて帰るんだよ。多分。』
人見『好い事思いついたぞ・・・』
増岡『どうしたんだよ。にたにた笑って。』
麻里『馬鹿な考えは止めてよ。あれは、私がたまたま良い人だったから、あんたはお巡りのお世話にならないで済んでるんだから。』
人見『お前、来週から学校行くのか?』
麻里『わからない・・・。停学処分だし。』
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またウソついちゃった。
今日は何度も何度も・・・