誰でも良かった
ーこの雨は、私の涙。とても冷たい、私の涙。誰にも拭えない、私の涙。ー
私は雨に打たれていた。向かいのおばさんが洗濯物を取り込むフリをしながらこっちを見てる。今、雨戸を閉めた。私が醜いからだ。
人見『クッソ、夕立かよ!!やっぱ、ついてねぇな、俺。ん?』
私『・・・。』
人見『何してんだよ・・・そこ、お前の家だろ?何、泣いてんだよ。』
私『・・・。』
私は不意に人見に抱きついた。誰でもいいから、抱き返してくれる人を探していたからかもしれない。
人見『お、おい・・・。』
私『今日色々あって、家に帰りたくないの。』
人見『だから?』
私『今日、泊まらせて。』
人見『えっ、泊まるって、俺の家に?』
私『うん。』
人見『(よ、よっしゃー!!なんだよ、これって運命って奴か?)』
私『泊まっていい?』
人見『ああ、構わないけど、俺一人暮らしだから、部屋汚いけど、そういうの大丈夫か?』
私『うん、大丈夫。』
どうせ、私の心の方が汚れてるから。』
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美知『母さん、どういうこと?お父さんは交通事故で死んだんじゃなかったの?』
母『お父さんは交通事故で死んだの!!色葉は嘘つきなんだから!!』
美知『じゃあなんで、私とお姉ちゃんは、こんなに似てないの!?』
母『・・・。』
美知『なんで、殴らないの?』
母『・・・。』
美知『やっぱり、私に後ろめたさがあるんでしょ?』
母『・・・。』
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ガチャ・・・
アパートに着いた。言うほど汚くはない。
人見『一体、何があったんだよ。』
人見はポケットから煙草を取り出した。いつも隠れて吸っているのだろう。
私『ちょうだい。』
人見『吸うのか?』
私『私、自分を変えたいの。』
そう言って、私は煙草を1本取った。
人見『ほら。』
人見は私が咥えた煙草に火をつけてくれた。
私『ありがとう。ゴホッ!ゴホッ!』
人見『咳き込んでやんの(笑)』
私『灰、落ちるよ。』
人見『あ、危ねぇ。』
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ガチャ・・・
母『色葉?』
美知『お姉ちゃん、戻ってくるのかな?』
母『・・・。』
美知『母さん?』
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人見『所謂、家出ってやつか?』
私『そうかも。衝動的に飛び出しちゃった。』
人見『でも、なんで俺なんだ?自分で言うのもなんだけど、俺、不良で馬鹿だし。』
私『昨日、人助けしてくれたでしょ?雨の中たまたま出会えたとき、安心しちゃって。』
誰でも良かったんだけど。
人見『・・・実は、あの時・・・俺も。』
!?
人見『白瀬!?』
キスしちゃった。初めて口にキスしちゃった。不良がビビってる?私、大人になれる?
私『ごめん。すごい寂しかったから・・・。私・・・。』
人見はキスを返してくれた。私は、少し震えていた。
人見『粋がったんだろ?煙草も、キスも。』
私『人見って経験あるの?』
人見『何の?』
私『そのー・・・ほら、アレ。』
人見『アレ?』
私『セ・・・。』
人見『セ?(笑)』
私『・・・。』
人見『ごめん、ごめん。経験あるよ。』
私『私に教えて・・・。』
漫画や映画で、どういう事をするのかという事は知っていたけれど、どういう物なのかっていう事は知らなかったから、教えて欲しかった。
人見『初めてが俺で良いのか?』
私『うん・・・。』
誰でも良かった。誰でも・・・。
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母『ライターがない。』




