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76 1番センター山下くん

 

 在校中の高校の野球部が夏の全国大会の予選決勝まで進んだ。無名の公立の進学校。学校も地元もそりゃあ大騒ぎ。

 

 クラスメイトの山下は陸部から散々勧誘にあったぐらいに足が速く、それでも団体競技をやりたいんだ、と高校から野球部に入った。草野球ぐらいしか経験がなかったらしいが、肩が強かったのも(外野手に)向いていたらしい。打順は1番。1番は足の速い人がなるんだって。予選前に聞いた。


 中学から一緒だったから、髪が長めだった彼も憶えてる。今は坊主頭だけど。じょりじょりの感触になった頭を1年生のときはよく触ったっけ。

 坊主頭に見向きもしなかった女子たちが今は一気に色めきたって、山下も何人か告白されたらしい。さすがに「それどころじゃない」と断ったみたいだけど。




 でも、ラッキーなのはそこまでだったらしく、野球部は1点差で惜しくも敗退した。

 引退した3年生は坊主頭から髪を伸ばしはじめ、山下も中学のときのように段々髪が伸びて来ていて、そして告白ラッシュはまだ続いている。



 一緒に日直をやった日、私はついぽつりとこぼしてしまった。

「坊主頭、結構好きだったのにな」




 週明け、「おっす」と私に声をかけた山下は、坊主頭に戻っていた。





 

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