75 RIDE ON!
俺は今、人生最大のピンチに立たされている。
クラスメイト男女4人ずつの計8人でやってきた某テーマパーク。
実はその中に1人、ちょっといいなと思ってる女の子がいるわけで。今回この夢の国の魔法で、も少し個人的に親しくなりたいなどという野望を持ってうかれた俺はすっかり忘れていた。自分のウィークポイントを。
「ファストパス取ってきたから、アレ行こうぜ!」
仲間の長い人差し指の先にあるのは宇宙空間を疾走するコースター。
そう、実は俺はあの手の乗り物が大の苦手なのだ。
150分待ちとかなら「他のにしよーぜ」とか言えるんだがなんせファストパス。なぜ取った。長蛇の列を横目にさくさく進んでしまう。やばい。参った。どうしよう。カッコ悪いとこなんか見せられない。でも俺ホントにこういうのは……。
と、いきなり当の彼女が立ち止まった。
「やっぱりダメ。私こういうの苦手」
そして俺の腕を引っ張って言う。
「私、みんなが乗ってる間に小さな世界に行ってくる。でも一人じゃ嫌だから付き合って」
戸惑いつつ列を外れる。彼女は俺ににこりと笑った。これは多分バレてる。
「なんでわかった?」
「私の2年の片思いなめないでよ?」
今度こそ完璧に参った。




