67 別のドアは開いている
私の勤め先である某社営業所は、お盆は半分に分かれ前半後半で休みを取る。
2人しかいない事務の先輩と私は必然的に分かれることになり、先輩が前半休みを希望したので同じく前半の所長とは分かれてしまった。残念。実は密かに憧れてたりする。
ところが休み直前、後半休みのサブ長が恋人とどうしても休みが合わないとかで、所長に拝み倒して休みを交換した。わ! 所長と休みが一緒! これは何かのチャンスでは!
……と意気込みかけてたら、先輩が給湯室で遠慮がちに言った。
「ごめんね。どうしても外せない用ができちゃって。直前で悪いけれどもし可能なら休み替わってもらえないかな。勿論無理ならいいの」
そこで、ぴんときてしまった。あ、デキてるんだ、所長と先輩。
「……大丈夫ですよ」
そう、大丈夫、まだ傷は浅い。ちょっと憧れてただけだから。
周りに変更を伝え、いきなり明日から休みかあ、と思ってたら社内メールがポンと届いた。差出人は2年目営業くん。何? 直接話しかけてくればいいのに。何かの資料かな。
『休み、一緒になりましたね。どっか一日空いてませんか?』
ぽかんと口を開け、向こうの島を見ると、こっちを見てニッと笑う彼。
これも何かのチャンスかな?
When one door closes, another door opens.




