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62 ビードロ・トイズ

 

「これ、南にやるよ」

 彼は私にガラスでできた何かをころんと渡した。

「とんぼ玉。じいちゃんに作ってもらった」

 彼の家はガラス工芸店で、おじいさんが作ったというそれは、透明なガラスにカラフルな水玉の模様がついていてキラキラととても綺麗だった。

 小4、7月の終業式。私は夏休みに隣県へ引っ越す。大人ならば気軽に行き来できる距離かもしれないが子供には果てしなく遠い。私はとんぼ玉を握りしめて、帰っていく彼の背を見つめていた。




「あ!」

 大学の食堂で、発せられたその声に思わず顔を上げる。1人の男子学生が私を見ていた。否、私の首元を見ていた。私の首には例のとんぼ玉。

「もしかして、南?」

 あのときの彼。同じ大学に進学してたなんて。

 彼は自分の首に下げているものをTシャツの中から出す。

 そこについていたのは私と同じ模様のとんぼ玉だった。


「とんぼ玉って、どっかの外国では持ってると願いが叶うって言われてるんだ。ははっ願い叶っちゃった」

 その願いって……。

「なあ、南も同じこと願ってた?」

 私のとんぼ玉を指さす彼。

 そりゃいつか会えたらいいなとは思ってたけれど、正直そこまでじゃなかった。

 けれど、ここはこう言うところでしょう。



「うん」






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