61 ラブ・オペレーション
失恋した。
それを慰めてくれたのが彼だった。そんな彼を好きになってしまった。
ちょっといくら何でも私ったらあんまりじゃない? さすがにこれは告白できない。だって散々、さんっざんかつての好きな人のことを相談して助言もらって、どんだけ格好いいかどんだけ素敵か力説しといてさ。そりゃ結局思いは届かず完膚無きまでに振られたわけだけど。それを優しく優しく慰めてくれて励ましてくれていろいろ連れ回してくれて、だからって。
もしかして私のこと好き? と一瞬愚かなことを思ったけど、つけ込むような態度は一切なかったし。これは完全友達路線だ。
好きな人いないの? 相談に乗るよ? と白々しくきいても「俺は自分なりにやってるから大丈夫」って。
惚れっぽいなんて思われたくない。でもほっといたら彼に恋人ができちゃうかもしれない。
言うに言えず、悩んで悩んで、だんだん元気もなくなってきちゃって、ある日彼が
「あれ? なんか痩せた?」って訊いてきた。
そしてついにぽろっと言ってしまう。好きになっちゃったのって。
そうしたら彼は「ごめん、やり過ぎた」って。
全部全部彼の作戦だった。相談に乗るのも、つけ込まないのも、友達ぶるのも。
私の気を引くための。




