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59 ひとつき遅れのねがいごと

 

 七夕が近くなると、昇降口の前にどんと立てられる大きな笹。そこには自由に短冊を付けていいことになっていた。

 中学生にもなると、みんな「あほらしい」とか言ってスルー。でも三年生は受験があるからか「高校に受かりますように」なんて書いて、結構付けていたりする。


 そんな中、うちの熱血担任は強制的にクラス全員に短冊を書かせた。

 願い事かあ、何にしようかな。受験はまだ来年だし。

 ちょっと離れたナナメ前方に彼の背中が見える。まあここで、誰が見るかもわからない昇降口の笹に「両想いになれますように」なんて書いた短冊を付けられるわけもないので……。


 私はこっそり願いを書いた。


 *


「なあ、これ書いたのお前だろ。字でわかった」


 8月に入った夏休み。部活で行った学校で彼に呼び止められた。

 彼が手にしているのは、確かに私が書いた短冊。


 『水泳部が都大会で勝てますように』


 どうして? 笹は七夕が過ぎたあと処分されてるはず。


「飾ってあるときにこれ見つけて。俺、先月末の大会勝てた。これのおかげかもしれない」


 お礼に、お前の願いごと、叶えるよ。


 彼はそう言って、私の言葉を待った。




 ひと月おくれの願いごと、最初に考えたやつを言ってみても、いいかな。






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