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webclap the 5th

拍手の再掲です *雨ネタ多し(6月だし)


■自転車に乗って



中学校からてくてく一緒に帰る、委員会で遅くなった日。

奴が先に着いた自宅前で、送ってやるよ、と言った。

「いいよ別に」

「でも暗いし危ねーよ、チャリに乗せてやる」

「二人乗り禁止だよ」

「大丈夫大丈夫、うちのチャリは乗っていいやつだから」


そうして奴が出してきたママチャリには、幼児用補助椅子が付いていた。

「おい……」

「お前小さいからだいじょーぶ! 乗れ!」

「あほか!」


結局自転車はひいて、家まで送ってもらった。




■恋人はどんな人



どんな人かって聞かれたのでニコニコして答えた。


駅のホームの立ち食いソバを平気で食べ、

居酒屋ではおしぼりで顔を拭きまくり、

同僚女子のFカップを後ろから鷲掴み、

風呂上りにパンツ一丁でビールのロング缶を一気に飲む。


「え、それどこのオヤジ……?」


俺の最愛の彼女だ! かわいいだろう!


しつこくアプローチしてきた女子社員は冷めた目で俺を見て去って行った。




■雨が降ろうが関係ない



折り畳み傘はいつも鞄に入ってる。



天気予報が外れて雨になった会社帰り、

最寄り駅の改札に彼女が待っていた。

迎えに来てくれたのか、でも傘は持ってたんだけどな。

しかしよく見ると彼女は傘を持っていない。


「近所のおばあさんが傘持ってなかったから貸しちゃった。

あなた折り畳み持ってるでしょう?」


傘持ってるのわかってて来たのか?

しかも傘1本しか持たないで?



つまりこれはあれだ。

雨は関係ない、ただのお迎えなのだ。




■june bride



雨の降る中、恋人に振られた。


ドラマだったら泣きながら濡れて歩くんだろう。

でもベタすぎるからしっかり傘を差して歩いた。

傘が泣き顔を隠してくれる。やっぱり傘は差した方がいい。


しかし、あまりに俯いて歩いていたので、前から来た人とぶつかってしまった。

その拍子で転んで傘も手放し、結果ずぶ濡れ泣き女のできあがり。


「うわごめん、泣くほど痛かった?」


ぶつかった相手は私を見つめ、手を差し出す。



これが、なれそめ。




■2人の距離



「雨やんだ」


彼が傘をたたむ。私もつられてたたむ。

けれどまだ少し降っている気がした。

私がそんな顔をしていたんだろう。


「ごめん、でもこれくらいの雨なら平気だよ」


傘があると君が遠くなる。


そう言って彼は私の手を握る。


初めてのデートは雨のちくもり。




■虹色



「虹にピンクはないよ」


絵の具で虹の絵を描いていたら隣の席の男の子に言われた。


「虹は、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫。ピンクはない。あと4色でもない」


見ると、私の描いた虹はピンクと水色と黄緑とオレンジ。

私はショックで泣いて、彼は先生に怒られた。それは10歳の夏。



それから10数年、

彼は気象研究所勤務になり、

色相に興味を持った私はカラーコーディネーターになった。


そんな私たちの部屋はカラフルに彩られている。




■ジンクスを破れ!



初めて恋をした。

自覚した途端、私は絶望した。

だって、初恋は実らないって言うではないか!


そうしたら、私の恋の相手である彼は言った。


大丈夫、俺は初恋じゃないから。ちゃんと実るよ。


え?

これは喜ぶところ?




■手腕家の彼の後日inキッチン&ダイニング花花



「先輩、ああいう言い方ってよくないですよ」

「ああいう言い方って?」

 「生おまたせしましたー」

「あ、どうも。──先週末の打ち上げのあとに先輩がバカみたいに飲んで潰れて結果私が介抱することになって何も無かったあの夜のことですよ。みんなに『何もなかった何もなかった』って」

「本当のこと言ってるだけじゃん」

「かえって怪しいですよあれじゃあ」

「何が怪しいんだよ。勘ぐられて困る相手でもいんのか?」

 「これお通しです。ちくわとピーマンの和え物です」

「あ、すみません。──そんなのはいませんけど、なんかみんなニヤニヤ見るしやりづらいですよ!」

「考えすぎじゃね? まあ食べなよここの店うまいから。お通しなんつったっけ? 店員さん」

 「ちくわとピーマンの和え物です」

「だって」

「あ、ほんとおいしい」

「だろ? 今日はその介抱のお礼なんだからまあ深く考えずに食え食え」


 「いらっしゃいませー」

「こんばんはー。……あれ! なに二人して!! デート!? やっぱり付き合ってたんだ!」

「ちっ違います違います! ていうかなんでこの店に!?」

「そこにいる奴におすすめされた店だから来てみたんだよ。きれいな店長さんとイケメンバイトくんがいるっていうし料理もおいしいっていうから」


 「バイト、あのお客さんにお通しサービスで。お代はあんたの給料から差っ引く」

 「理不尽!」


「ちょっと先輩どういうことですか!(ひそひそ)」

「どういうことって、知らないよ。ただ何かの世間話でこの店を薦めたかもしれない」

「もう……!  ──こっちで一緒にどうですか? まだ料理注文したばかりですし」

「いいよー馬に蹴られたくないもーん。すみませーんこっちに生ふたつー」

 「かしこまりましたー」

「なんか激しく誤解されましたよ先輩! どうしてくれるんですか」

「どうしてあげようか? 責任ならいつでも取るけど?」

「は?」


 「店長店長、あれ完全狙ってますね」

 「狙ってるね、ハンターだね、猛禽類だね、肉食獣だね」

 「あれどうなると思います?」

 「まあ流されて仕向けられて誘導されて丸め込まれて捕食、以上。だね」

 「でしょうね」

 「ともかく、あの男性客は金を落とすぞ。どんどん注文取りに行け」

 「店長こそハイエナですよね……」




■自転車に乗って → たぶんこいつはタケル(中学生)幼児椅子は確か6歳ぐらいまでしか乗れません

■恋人はどんな人 → 結構こういう女子が多いことが判明しました(拍手コメにて)

■雨が降ろうが関係ない → うん、特に関係ない

■june bride → まあ結婚式でそのまま馴れ初め言えませんね

■2人の距離 → こんのバカップルめ!!羨ましくなんか、ないんだから!!by店長

■虹色 → 頭でっかち男子です。もっと詳しく書きたかった

■ジンクスを破れ! → 彼ヒドス。でも彼女とりあえず喜んどけ

■手腕家の彼の後日 → 店長とバイトくんがちらっと本編に出演しました!

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