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53 半袖少年タケル(後)

 

 タケルは高校進学とともに親の転勤で西へ引っ越してしまった。


 近所の小学生を見る。冬でも半袖の子はどんな時代でもいるもので、そういう子を見かけては私は以前自分に上着を貸してくれた男の子を思い出す。




 受験生となった高3の年末、最寄り駅でなんとタケルに会った。目を疑ったが咄嗟に捕まえて話を聞くと、こっちの大学を受験するという。受験時に泊まらせてもらうという市内の親戚の家に来ているらしい。時間があるというので、母に会っていってと無理やり自宅に連れ帰った。


 母は買い物中でいなかったが、とりあえずハンガーに掛けるから上着脱ぎなよ、とタケルのダウンジャケットの襟を掴んで半ば無理やり脱がすと、出てきたのは真っ黒な腕。


「…………」


 年末というクソ寒い季節に、この男のダウンの下は半袖Tシャツ1枚だったのだ。


「……ふふっ」

 私は堪らず笑い出す。そしてつい口から出てしまった。


「私、タケルが好き」


 タケルは目を見開いて私を見つめてから、顔を耳まで真っ赤に染めた。


 そして

「俺、絶対受かってこっち来るから。それで、またお前に上着貸してやる」

と真っ黒な腕を私に伸ばしかけたところで、ただいま~と母が帰ってきた。



 続きは春にね。






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