34 マケズキライ 4
三郎への気持ちを自覚したものの、散々威張って連れ回して蹴散らかしてどうして今更言えようか。女王様よりお姫様がいいに決まってる。勝負も終わりにしたい。しかしいきなり終わりにするのも不自然だから、三郎に勝たせてしまおう。
「三郎、勝負しよ」
最後の勝負は、最初の勝負だったエアホッケー。勝てよ、三郎……!
しかし無情にも私が勝ってしまった。こんなときでも勝ってしまう自分が憎い。いや最近気づいたのだが、実は私は手抜きができないという厄介な欠点があった。
「三郎、もう勝負はおしまい」
え? と三郎が目を瞠る。
「三郎が勝ったらおしまいって言ってたでしょう? 今日で終わり」
「なんで? ニコちゃんが勝ったじゃないか」
私は首を振った。
「先に惚れた方が負け、って言うでしょ?」
言った。言ってしまった。
ところが三郎は、声をあげて笑ったのだ! 人の告白を!
真っ赤になってワナワナしている私の手を三郎が取る。
「残念、ニコちゃん。やっぱり君はどうしても勝ち続けてしまうらしい」
「へ?」
「俺は入学式でニコちゃんに一目惚れしてるからね。俺の負けでしょ?」
結局、私は三郎には敵わない、ということらしい。
■オマケ
「ニコちゃん、キスしてもいい?」
三郎が、トイレ行ってきてもいい? ぐらいの気安さで聞いてきた。
「ダ、ダメ!」
「…………」
そんな顔してもダメ! ダメったらダメ!
「…………」
「わ、わかった勝負だ三郎、私に勝ったらしていいよ!」
そうして再び勝負したエアホッケーで、私はなんと惨敗を喫した。
「どっ、どういうこと!?」
真っ青になってワナワナしている私を、三郎は「まあまあ」と笑顔でいなして、
その場で(その場で!)私にちゅっとキスをした。
どういうことーー!!
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どういうこと……|д・)
*さて、今日の拍手はそんなふたりの出会いです(→現在は webclap the third ! に移っております)




