表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/114

3 天秤

 『式が終わったら待ってて』卒業式の朝、そう書かれたメモが靴箱に入っていた。その字で誰からかわかったけれど多分私は待たない。だって彼は友達の好きな人。みんなで仲が良かったけれど、友達が先に彼を好きになって、私は自分の中の育ち始めた気持ちを抑え込んだ。恋は順番ではないっていうけど、それでも友情より恋を選ぶ勇気なんかあるわけない。

 式が終わり最後のHRも終わり、校内でみんなで写真を撮ったり別れを惜しんだりした。その間に人気者の彼の学ランのボタンは全部無くなっていて、友達も「もらえなかった」と泣いていた。ボタン、誰にあげたんだろう……と思いながらも、私は友達とわいわい帰宅して、そして部屋で1人泣いた。

 夜帰宅した姉が、今そこで男の子に渡された、と私に渡してきたのは膨らんだ茶封筒。そこからころころと転がり出てきたのは学ランのボタン5個だった。「……」私はそれを両手で握り、玄関を飛び出した。

 これが私が恋と友情を秤にかけて出した結末。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ