26 女人禁制
つまらない。
いつもは楽しいサークルの飲み会。最近入会してきた彼女が彼目当てなのはバレバレだ。今日も彼の隣に陣取ってあれこれ話したり料理を取ったりetc。楽しそうだなあ。彼らは私の斜向かいに座っているけど、はあ、見えないように同じ列の端っこに座ればよかった。なるべく見ないつもりなのに、つい目がいってしまって、時折彼と目が合う。逸らす。繰り返す。ヤバい。隣の先輩が話しかけてくるのに頭に入ってこない。
「女人禁制なの?」彼女が驚いたような声を出す。
「そう。親父の会社の独身寮に入れてもらってるから。ごめんね」
遊びにいきたいとか言ったのかな? しかし、そうなのだ。彼が自分の部屋に女性を入れることはない、私も含めてだけど。それでもそれは何か安心できた。
お開きの時間。今日は二次会パスしようかな。今まで恋敵がいなかったからのんびり構えてたけど、私も行動した方がいいのかな……勇気ないけど。
いつのまにか彼が私の横に立っていた。にっこり笑って「うち来ない?」と誘う。
「え?」
「だから、うち来ない?」
「女人禁制じゃないの?」
「守ってる人はいないね」
先輩に取られたくないから、と彼は強引に私を連れ出した。




