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94 タイムマシンに乗って 3

 

「先生が好きです」


 漫画やドラマなら『俺も』と答えて受け入れるのだろうか? 卒業するまでは内緒で、と準備室や自宅で秘密の逢瀬?


 アホか。

 

「悪い。生徒の一人としか思ってない」


 俺だって彼女が好きだ。けれどどうして教師が生徒に恋を告げられる? 絶対ダメだ。きっぱり拒絶するしかない。


 

 それから彼女が何か言ってくることはなかったが、視線は感じていた。それには知らぬ振りをする。彼女はまだ若い。今はちょうど年上の男に興味を持つ年頃なのだ。気の迷いだ。そもそも吊り橋効果なんだ。卒業までの1年半のうちに近くの野郎にでも目が向くだろう。



 けれど、卒業するときまで彼女の気は迷ったままだったらしい。


「卒業おめでとう」

「先生、やっぱり好きです」


 会わなくなれば、大学に進めば、社会に出れば、こんな教師じゃなくてもっと似合った奴に出会うだろう。


「先生、そんな人いない。私先生がいいんです」


 違う。俺は君を信じきれていない。いつか気の迷いに気が付かれて自分が傷つくのが嫌なんだ。



 タイムマシンに乗ってあの夜に戻りたい。

 そうしたら先回りして、あの痴漢野郎を先にやっつけといて、彼女は何も知らず自宅へ帰り。


 学校で初めて出会っただけなら、きっと。



きっと、彼女は自分のことなんか、好きにならない。

……自分はわからないけれど。



次ラストです

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