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秋鋼  作者: MTL2
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徳島からの帰還

徳島病院


病室


「帰るんか」


「あぁ、早く帰ってくるように織鶴さんに言われてるんだ」

「元気でな」


「おう」

「こないな怪我、速攻治したるわ!!」


「お前だったらやりそうだよな…」

「茶柱さんも、リンデルちゃんもお元気で」


「はい、お気を付けて」


「(手振)」


「響さんも」


「言われんでも解っとうわい」


「…それじゃ」


「元気でな、皆」


「火星さんもや」

「お元気でな」


「あぁ」


「お元気で」

「私は暫く滞在しますので、昕霧様にお伝えください」


「俺の話を聞いてくれたらかな」


「(手振)」


「ばいばい、リンデルちゃん」


「携帯、すまんかったな」

「イラッとして!」


「…反省してねぇだろ」


「まぁ、暇になったら遊びに来ぃや」

「何も無いトコやけど、リラックスは出来るで」


「あ、あはは…」


「彩愛にもよろしゅうな」

「先に帰ってしもうたし」


「あぁ、解った」

「それじゃ」


「おう!気をつけて帰りや!!」



九華梨町


森草の家


「…あの、馬常さン?」


「どうしたの…、セントちゃん」


「その棺桶ハ…」


「え…?コレ?」


馬常の引きずる大きな棺桶

真っ黒な棺と巨大な十字架を刻んでいる


「…ドイツで何ガ?」

「それにゼロさんハ…」


「…えっとね」


がたん


「…エ?」


言葉を失うセント

真っ黒な棺桶に入っていたのはゼロだったのだ

全身を包帯で巻かれ、まるで眠っているかのように動かない


「そんナ…!!」


「残念だけど…」


「嘘ですよネ…」


「…事実、なんだ」


「ゼロさン…!!」


セントは棺桶の前に膝を突く

頬を涙が伝い、胸が締め付けられる


死んでしまっタ

死んでしまったんダ、ゼロさんハ


「まダ…、何モ…」

「何モ…!言えてないのニ…!!」



「あぁ-、よく寝た」

「馬常、水くれ」


「うん…、解った」



「好きだったのニ…!!」

「大好きだったはずなのニ…!!」



「あれ?日本に戻ってきたのか」


「ゼロが寝てる間にね…」


「ゼロさン…」

「ゼロさン…!!」


ガバッ


ゼロへと抱きつくセント


「どうしテ…!!」

「どうして死んじゃったんですカ…!!」


「誰が」


「エ」


「誰が死んだって?」


「え、え、エ?」


「つ-か、離せ」

「傷に触るし息苦しいだろ」


「ひゃァっ!!」


慌ててゼロを抱きしめていた腕を離すセント

その顔は真っ赤に紅潮しており、冷や汗もダラダラと流れている


「し、死んだんじャ…」


「誰がだよ」


「ば、馬常さン!!」


「ドイツで調達できた唯一の簡易ベッドなんだ」

「[残念だけど事実なんだ]よ」

「このベッドのセンスはね」


「ば、馬鹿ですカ!」

「馬鹿なんですカ!?」


「馬鹿馬鹿うっせぇよ」

「で、先刻の好きって何だったんだ?」


「え!いヤ、アレは…、そノ」


「あぁ、棺桶のセンスな」

「使うか?もう使わねぇし」


「ばっ、ばばばバ…」


「ば?」


「馬鹿ぁ------------っッ!!!」


バチィ-ンッ!!


「ぐがぁっっ!?」


「…今のはゼロが悪いよ」



「…何でドイツから帰って来て早々、引っぱたかれなきゃならねぇんだ」


「ご、ごめんなさイ…」

「つい勢いデ…」


「勢い、ってお前なぁ」


「心配させないでくださいよゥ…」


「仕方ねぇだろ」

「思いの外、傷が深かったんだしよ」


「ゼロさんにそこまでの深手を負わせるなんテ…」


「祭峰だよ…」


「祭峰!?」

「あの最上級指名手配犯のですカ!?」


「うん…」

「流石のゼロもね…」


「ケッ!次は勝つ!!」


「期待してるよ…」

「…森草ちゃんは?」


「学校ですヨ」

「何でモ、この前テストが有ったでしょウ?」


「あ-、何か騒いでたな」


「その時、同級生が長期の休みできてなかったらしいんでス」

「それでノ-トを届けに行ったら「夜這いだ」とクラスで騒がれたらしくテ…」


「夜這い…」


「今、ノ-トを2人分作ってるらしいですヨ」

「だから最近、森草さんは帰ってくるのが遅いんでス」


「そうか、解った」

「にしても森草が夜這いか」


「ち、違うんですヨ!?」

「あくまで森草さんの同級生が言ってるだけデ…!!」


「その内、お前もやりだすんじゃねぇか?」

「何つってな!アッハッハハハ」


ガスッ!!


「最低でス!!!」


「肋骨がぁ…!!」


「今のはゼロが悪いよ…」



ドイツ


国際空港


「アロン達は上手くやったかなぁ」


「あの2人なら心配ないゼ」

「それより、どうするんだゼ?」


「何が」


「発掘物だゼ」

「結局、計画失敗に終わってしまったんだがな?だゼ」


「あ-、それね」

「良いんじゃないの、どうでも」


「「どうでも」?」

「あの人が聞いたら怒るんゼ」


「あと3つだ」

「2つは軍に持ってかれたが、あと3つ」

「それで充分だろ」


「…確かにそうだが、だゼ」


「早く日本に帰ろうぜ」

「流石に今回は疲れたわ」


「恐ろしい傷の回復速度だゼ」

「俺にも少し分けて…」

「いや、やっぱり遠慮しとくゼ」


「何で」


「まだ[化け物]にはなりたくないんだゼ」


「…ククッ、そうか」


「そこのお2人」


「ん?」


「少し、ご同行願いますか」


「誰?お前」


「空港警備員の者です」

「警察から貴方達が指名手配…」


「ラグド」


「解ってるんだゼ」


チュインッ


「…ぁ」


「行こうか」


「あぁ、早くしないと出発時間に遅れるんだゼ」




ドンッ


「おい、退けよ」


「…」


「おい!お前、聞いてるのか」


「…」


「チッ…」

「お-い!警備員!!!」


「何でしょうか、お客様」


「この男、動かねぇんだよ」

「薬でもヤってんのか」


「も、申し訳ありません…」

「おい!お客様の邪魔に…」


「…」


「…おい?」

「し、死んでる…」


「う、うわぁあああああああああ!!!」


「何で立ったまま…!!」

「頭を撃ち抜かれてる…!!」



「面白いな、いつ見ても」

「光速撃ちってトコか」


「光速なんてスピ-ドじゃないゼ」

「ただ、肉体可動限界域を狙い撃っただけだゼ」

「それだけの…、簡単な作業だゼ?」




読んでいただきありがとうございました

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