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秋鋼  作者: MTL2
83/600

No,5の伝説

「今回はホンマに死ぬか思うた」


「アレは自業自得だろ…」


「(心配)」


「いけるて、リンデル」

「ちょっと首の間接外されただけやから」


「普通は大丈夫じゃないだろ…」


「そう言や、火星さんは?」


「外」

「響さんと話が有るって」


「ほうか」



休憩室


「ふぅ-」


白い煙を噴き上げる響

だるそうに頬に手を突き、煙草を吸う


「で?どうなんや」

「本部からの蒼空の血液に対する資料はまだかいな」


「いや、そろそろ…」


ヴ-ヴ-


「あ、来た」


火星はカチカチと携帯を操作する

初めは安堵の表情だった火星の顔が、だんだんと曇っていく


「…どしたんや」


「これ…」


携帯を響へと渡す火星


「…何々?」

「「解らなかった!ごめんね(笑)by院長」」


「…」


「…」


ベキンッ


「俺の携帯ぃいい---!!!」



病室


「一斑さん、御茶を買ってきましたよ」


「ひっ」


「そんなに怯えなくても…」


「アカン…、完全に茶柱さん恐怖症やで…」


「まぁ、普通はそうなるよな」


「どうも…」


「いえいえ」

「私も大人げなかったですよ」

「幾ら気にしている事を言われたといって、首の関節を外してしまうとは」


「俺も悪かったしな」

「すんません」


「いえいえ、こちらこそ」


ペコリと頭を下げ合う2人


「…さて、お話があります」


「何ですか?」


「(謎)」


「これをどうぞ」


「アルバム?」


「えぇ、私の昔です」


「おぉ!興味有るで!!」

「見して見して!!」


アルバムを覗き込む3人

興味津々に覗き込んだのだが…


「…防弾チョッキ?」


「昔はサウジアラビア辺りで紛争に参加していましたから」


そこには笑顔の茶柱が写っていた

ただし、頭には包帯が巻いてあり血が滲んでいる


「…」


深緑のロングヘア-

肩より少し長く延びたそれと、綺麗な緑の目

防弾チョッキと体の彼方此方に巻かれた包帯


「戦場、ですか…」


「はい」

「その頃は髪は長かったんですよ?」

「今はオ-ルバックにしましたけどね」


クスクスと愛想良く笑う茶柱


「…」


波斗には、どこか悲しい笑顔に見えた


「この人、誰や?」


彼女と肩を組む1人の男性

金色の髪と金色の髭

頭から鼻に掛けて包帯が巻かれている物の、幸せそうに笑っている


「あぁ、私の友人です」

「ゼルディギスさんですよ」


「ゼルディギス?」

「何処かで…」


「ノアやろ?」

「ノア・ゼルディギス」


「はい、そうですね」

「現No,5です」


「えぇ!?」


「昔は同じ傭兵だったんですよ」

「今では別れてしまいましたが…」


「意外やな」

「響さんが言うとったんが正しぃんやったら、傷を負っとんが珍しいわ」


「ど、どういう事だ?」


「あの人は本来、傭兵のエキスパ-トなんです」

「戦場で傷を負った事が無かったのは今でも伝説とされてますよ」


(「無かった」…、過去形だよな…)


「この傷は何なんや?」

「かすり傷とか言うレベルちゃうで?」


「それは…」


口を濁す茶柱


「…まぁ、気まずいなら言わんでもええで」

「無理しなさんなや」


「…申し訳ありませんね」

「私の過去の姿を見せたかっただけなのですが…」


「(焦)」


「大丈夫ですよ、リンデルちゃん」

「大丈夫です」


「…き、綺麗」


「あら、嬉しいですね」


「おぉ!」


「どうしたんだ?一斑」


「リンデルはな、気を許した相手にしか自分から喋らんねん」

「懐かれたんやな、茶柱さん」


「うふふふ、2つ目の吉報です」


「俺にも喋ってくれたって事は…」

「気を許してくれたんだなぁ」


「…は?」


「お前が死んだときにな」

「喋ってくれたよ」


「…おぉ、そうか」

「俺は1年、響さんは4ヶ月や」


「…何が?」


「リンデルが気を許して喋ってくれるまでの期間」


「…俺、2日」


「だ、黙れ!!!」


「(慌)」


「放っといて良いと思いますよ、リンデルちゃん」



万屋


「織鶴さん」


「何かしら」


「アロンと言う人物のデ-タ、収集し終わりました」


「教えてくれるかしら」


「はい」

「本名、アロン・ヴァッテス」

「8年前、ギリシャで人工生命体論理学の論文を発表」

「しかし、そのあまりの狂気性を問われ、学会を追放」

「能力者でもありながら学者でもある事で、少しは注目を浴びてたらしいんですけどね」


「…で、能力は?」


「[分裂]です」

「体の細胞、構築組織、思考」

「全てをコピ-した分身を作り出すみたいです」


「…なるほどね」


「しかし、無限には不可能なようですね」

「少なくとも8年前は3人が限界だったようです」


「解ったわ」

「橋唐 兎氏については?」


「それは俺が調べてきたぜ~♪」


鉄珠はドアのベルを鳴らし、陽気な口笛を吹きながら帰ってくる


「どうだったの?」


「クロアゲハって覚えてるか?」


「あぁ、あの秋葉原の」

「それがどうかしたの?」


「そこの幹部の茂埜辺って野郎が橋唐だ」

「潜入してたみたいだな」


「…何でかしら」

「クロアゲハなんてトップの黒襟を覗けば屑でしょう?」


「そうなんだよな」

「目的は不明!」


「…へぇ、それで?」


「以上だけど」


「…要するに」

「茂埜辺って奴が本当は橋唐だった、ってだけ?」


「うん」


「役立たずが」


「役立たずですね」


「酷ッ!!」



軍病院


院長室


「~♪」


陽気な鼻歌

手には解く気のないパズル

ただ、ガチャガチャと弄くりまわしているだけである


コンコンッ


「おぅ、入るな」


「入るわよ」


「入るなって言ったのに」


部屋へと入ってくる総督

呆れたように院長を見つめる


「あのねぇ…」


「優秀な部下達の御蔭で何にもしなくて良いんだぜ」

「最高の役職だな!」


「クビにするわよ」


「出来ねぇだろ?」


「…はぁ」


「今回の一件でバレかけたんだぜ?」

「ちと、雑把過ぎやしねぇか?作業がよ」


ディスクの上に広げられる資料

ばさりと乱雑に置かれたそれは数枚が床へと落ちる


「[無型]とはよく言ったモンだぜ」

「良いネ-ミングセンスじゃねぇか」


「…」


「重要な血液を他の野郎にも分けちまってよ」

「まぁ、ありゃ生命維持機能が回復したら大丈夫か」


「問題ないのね?」


「そう言ってるだろ」

「だが…、響にバレちまったのは厄介だ」


「…えぇ、そうね」


「火星にもバレちまったが…、アイツは問題ねぇか」

「現状はこんなトコだが、他に聞きたい事は有るか?総督様よ」


「無いわ」

「いつも通りお願いね」


「へいへい」

「[いつも通り]…、ね」

読んでいただきありがとうございました

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