護符術の由来
西病棟
2階
「何処に[残骸]が密集してるか解らないのか?」
「流石に解らんなぁ」
「虱潰しに見つけようや」
「おぅ」
「…なぁ、火星」
「何だ?」
「昕霧、元気やったか」
「あぁ、元気だったよ」
「相変わらず織鶴と仲が悪かったけどなぁ」
小さく苦笑する火星
「ほうか」
「確か、響は昕霧の直属の部下だったよな?」
「名目上やけどな」
「直属の部下なんざ、No,3以外は持っとうやろ」
「No,3も持ってるぞ」
「はぁ!?」
「あのNo,3が、か!」
「つい、この前な」
「人を寄せ付けない能力者だそうだ」
「なんや、ワイ等の護符術と似とるのぅ」
「能力を模擬的に表したモンやから当たり前か…」
「第一、護符術なんて普通は使わないだろ?」
「後継者はあの子に決めたのか」
「ん、まぁな」
「本格的なモンは一斑にしか教えんよ」
「リンデルはホンマに能力の素質が有る」
「あの子は能力が目覚めるまでの護身用として教える程度やなぁ」
「…そうか」
「彼は知ってるのか」
「護符術が受け継がれて行ってる事を」
「知らんで」
「やっぱり」
「知る必要も無いやろ」
「受け継ぐときに言えばえぇし」
「…そんな軽い物じゃないだろうに」
「文献にも載らないような時代から受け継がれてきたんだぞ?」
「陰陽師という役柄でな」
「能力者に対抗する為の技術としてなぁ」
「…」
「[偽造された正義の陰陽師]を今はガキも大人も知っとるワケや」
「陰陽師は妖怪を狩るっつ-モンやない」
「能力者を殺す為に造られたモンや」
「…能力者が認められたのは江戸の終わり頃だったか」
「そうや」
「御庭番衆…、つまりは忍者やな」
「それが能力者やし」
「その頃、お前達は僧だったよな」
「お坊さんやな」
パリ-----…ン
「ぐぅるるるるるるるる…」
「…無駄話が過ぎたみたいやな」
「行くぞ」
「当たり前や」
東病棟2階
医療室
「…メスとかが転がってる」
「ありがちやな」
ひょいとメスを拾い上げ、眺める一斑
波斗は足に医療器具が当たる度にビクビクとしている
「情けないのぅ」
「普通はこうだよ!」
「俺はそうでも…」
カァ-…ン
「…何や?」
「動物か?」
「いや…、これは…」
カァ-ン
カァ-ン
「金属音…?」
カァ-ン…
ガンッ
「…?」
ガン!!
ガン!!
ガン!!
ガン!!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッッッ!!!
「な…!!」
「何かマズイだろ!!コレ!!」
カンッ
「…え?」
ピッ
「ぐぁっっ!!!」
メスが一斑の肩を直刺する
「一斑ぁっ!!」
カンカンカンカンッッ!!
次々に飛んでくるメス
容赦なく波斗と一斑を狙う
「このっ…!!」
一斑を抱え、部屋から飛び出す波斗
ダンッ!!
「大丈夫か!?一斑!!」
「まだや…!来るで…!!」
「ッ…!!」
医員連絡室
「はぁ…、はぁ…」
「悪いなぁ、蒼空」
「運ばせてしもうて」
「気にするなよ…」
「肩、大丈夫か?」
「傷は深ぅないで」
「ちぃと吃驚しただけや」
「だけど血が…」
「いけるいける!」
「心配ないで」
「レベルで言うたらタンスの角に小指ぶつけたぐらいや!」
「それ、かなり痛くない!?」
香川
響家
「…」
「(伺)」
「何でも無いですよ」
「心配しなくても大丈夫です」
「(安心)」
「可愛いですね」
なでなでと優しくリンデルの頭を撫でる彩愛
「(照)」
「今のところは異常もないですし」
「何もする事が…」
ピ-!ピ-!!
「!?」
「(驚)」
「何ですか…!この反応は…!!」
徳島
廃病院
西病棟2階
「ぐぅ…」
「こんなモンやな」
「どうって事は無かったな」
「動物だし」
「さて、封じるか」
「これ、苦手なんだよなぁ…」
prrrrrrrrr
「もしもし?彩愛かいな」
『大変です!その廃病院に[残骸]が大量に集結し始めてます!!』
『こんな数値…!見た事ありません!!』
「…マズいな」
「火星!撤収や」
「何で?」
「こっちに[残骸]が密集し始めとるらしい」
「過去最大数値となると…、ワイ等だけじゃ人手も装備も足りんで」
「そんな…!!」
「2人に連絡せんとなぁ」
「即刻撤退!急いで逃げるで」
「わ、解った!!」
prrrrrrr
「…」
「…どうしたんや?」
「…出ないんだ」
「はぁ!?」
東病棟2階
医療室
prrrr
prrrrrrr
医員連絡室
「…ッ?」
「どうしたんや?」
「何か…、屋上に…」
「…居る、のか?」
「はぁ?」
「何かが…、居る」
「…屋上やな」
「行こか」
「…あぁ」
読んでいただきありがとうございました