夢の女
「起きて」
「…」
「起・き・て☆」
「…」
「起きろオイ」
「…ぁ」
「やっと起きたわね」
「…誰ですか?」
「帰って寝たはずなのに…」
「ぇ-、酷い」
「この前、会ったじゃない」
「会った…?」
「あれ…、この白い空間…」
「君の夢の中!」
「前回はロクに話す時間がなかったからね」
「夢の中…?」
たったったと辺りを走り回る波斗
「…何してるの?」
「いや、自由に動けるのかと」
「普通は[夢]とか言われたら頬を抓ったりしない?」
「これが夢じゃなかったら何なんですか」
「明晰夢かどうかを調べてるんです」
「ほぅ、よく知ってるわね」
明晰夢とは夢の中で自由に動ける夢の事である
「さてさて、今日はどうだった?」
「今日…?」
「色々有ったでしょう」
「まぁ、確かに…」
火星さんの過去
夜斬と城ヶ根
祠野さん
ケジメ
…数えだしたらキリがないな
「大変だったね、今日は」
「[今日も]の間違いですよ」
「ハッハッハッハ!君は面白いね」
「…て言うか」
「?」
「誰なんですか」
「…今更、だねぇ」
「今更です」
「夢では一度でも会った人の事を覚えてるらしいよ」
「脳が記憶…」
「貴方を見た覚えはありません」
「忘れてるだけかも♪」
「こんな強烈な印象を忘れるはずがないでしょう」
「真っ黒の鉄珠さんでも、ここまでの印象は残しませんでしたよ」
「私は真っ白かな?」
「見ての通り」
「むぅ」
「可愛い?」
「…まぁ、良いんじゃないですか?」
「惚れちゃう?」
「すいません、5歳以上の年上は無理です」
「…私がそんな高齢に見えるの?」
「…」
「…」
「…」
「…年下は?」
「8歳以下…、ぐらいですね」
「ロリコンめ」
「年下も大丈夫なだけですよ!!」
「…」
「…」
「…で、結局は誰なんですか?」
「知ってどうするの?」
「そ、それもそうですが…」
「自分の夢の中に居る人ぐらい知っときたいじゃないですか」
「…まぁね」
「私はアレよ」
「うん、アレ」
「アレって何ですか…」
「…秘密☆」
「一発殴って良いですか」
「酷い!!」
「流石にイラッときましたよ」
「かなり」
「えぇ-…」
「…俺もテストと火星さんの一件で疲れてるんですよ」
「さっさと話してください」
「言わないモンね」
「…」
ゴキッボキッ
「やめてやめて拳を鳴らさないで」
「早く言いましょう」
「…やだモン!!」
パチンッッ
「…あれ」
「ベットの上…」
逃げられた、か
「…畜生」
「誰なんだよ…、あの人」
ドイツ支部
「…ビ-ル美味い」
「よく飲むな、お前…」
「樽分ぐらいは飲んだだろ」
「酒豪だからね…、けふっ」
「ちょっと酔ってるな」
「…何で[ちょっと]なんだよ」
「そう言うゼロもウィンナ-食べまくってるじゃん…」
「ウィンナ-じゃねぇ!!ソ-セ-ジだ!!!」
「美味いんだから仕方ねぇだろ!!」
「え?ウィンナ-じゃないの?」
「ソ-セ-ジじゃないのか?」
「…」
「…」
「…えっ」
「ドイツ支部員!ちょっと来い!!!」
「…ウィンナ-とソ-セ-ジの違いですか」
「そうそう」
「何が違うんだ?」
「えっとですね、確か…」
「ウインナーは豚肉と牛肉を塩漬したものに香辛料を加えて練り合わせて、ケーシング…、つまり羊などの腸ですね」
「それに充てんした後、燻煙・ボイルしたソーセージです」
「オーストリアのウイーンが発祥地のソーセージですね」
「つまり、ウインナーはソーセージの一種なんですよ」
「へぇ…」
「そうだったのか」
「美味いからどうでも良いんだけどな」
「だねぇ…」
「ビ-ル要る?」
「おぉ、くれ」
「ソ-セ-ジ…、ウィンナ-も食えよ」
「ん…、ども…」
「あの、もう良いですか」
「仕事に戻らないと…」
「おう、ご苦労さん」
「ドイツ支部長にお前の給料上げるように言っとくわ」
「ど、どうも…」
「…で、今回の仕事って何だったの?」
「特に何もしなかったけど」
「まだしてないんだよ」
「遺跡に行く」
「遺跡…?」
「歴史に興味が?」
「違ぇよ」
「総督命令でな」
「…総督が?」
「何で…?」
「知るか!」
「遺跡で発掘されたモンを持って帰れだとよ」
「…何が発掘されたんだ?」
「Noのゼロに頼む事かな…」
「一般兵にでもさせれば良いのに…」
「…確かにな」
「重要文献とか書類とかを護らせたっつ-事例は聞いた事は有るが…」
「遺跡の発掘物…、って何だ」
「歴史敵か化石的な何かだよね…」
「そんなに大切な物なのかな…」
「…解らねぇな」
「だが、運ぶモンは説明されてんだ」
「何?」
「[銃]だそうだ」
「銃…?」
「そうだな」
「…ワケが解らないんだけど」
「銃を護衛するの?」
「…だな」
「しかも発掘物だよ?」
「何百年も前の銃を護衛するってのもねぇ…」
「グダグダ考えても仕方ねぇだろ」
「総督命令なんだからよ」
気怠そうに立ち上がるゼロ
「行くぞ」
「うん…」
「…1つ、聞いても良いかな」
「何だ」
「いつまでウィンナ-食べてるの?」
「ソ-セ-ジだって」
読んでいただきありがとうございました