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秋鋼  作者: MTL2
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招かれざる来客

翌週


森草の家


「じゃ、行ってくるぜ」


「行ってらっしゃイ」

「次はドイツですカ」


先日、軍本部からの任務要請によってゼロと馬常はドイツに行く事になった

本来、馬常は軍の人間ではないのだがゼロの懇願によって渋々着いていくのである


「仕事だからな」

「今回は馬常も連れて行くし」


「お気を付けテ」

「怪我はしないようにお願いしますからネ!」


「へいへい」

「行ってくるぜ」


「行ってきます…」



九華梨高校


国語テスト時間


「…」


「…」


「…」


沈黙に静まりかえる教室


国語の教師、鬼村オニムラこと船村フナムラ 大慈朗ダイジロウの策略のためである

名前の[慈]に因んだ[慈悲]ぐらい無いのか!?という生徒からの文句が多いので有名だ


(鬼村ぁ…!!)


(この問題は…)


(難しすぎるわね…)


「う-い、あと30分だぞ-」


「…ッ」


少しざわつく教室内

熊谷だけが平然と解いている


(まだ問1しかできてない!!)


(このままじゃ、タイムオ-バ-か!!)


(どうしようかしら…)


全生徒の額を冷や汗が伝う


(…協力するしかないか)


(ここで終わるぐらいなら!リスクを犯してでも!!!)


(むぅ、この問4は…)


蒼空、蔵波、男子生徒達の視線が交差する

この視線の交差が協力の証、信頼の証、友情の証となり得る

極限に追い詰められた状態だからこそ、成せる究極の技…!!


「「「先生!!!」」」


「お?」


「「「トイレに行きたいです!!」」」


「一斉にハモるなよ…」

「よし、良いぞ」


掛かった!!!


そう、男子生徒連合軍の緻密なる計画!!


確かに1人1人では解いている問題量も少ない!!

だが!複数人ならどうか!?

生徒Aが問1を解いていて、生徒Bが問2を解いていたなら?

そう!2人が協力すれば問1と問2が2人とも解けるのである!!


一斉に席を立つ生徒達


普通ならば「おい、1人ずつだ」とか言われるだろう

だが!この面倒くさがりの鬼村こと船村 大慈朗は違う!!

「とっとと行け!」とか言うだろう!!


(((計画通りだ!!!)))


歓喜の喜びの代わりに引きつる口元


これで赤点は免れる!!


「おい、1人ずつ行けよ」


「「「え」」」


「テスト中なんだから当たり前だろ」


「「「…」」」


計画、失敗



万屋


「じゃ、私と火星は出かけてくるから」


「軍ですか?」


「そうよ」

「留守番の願いね」


「はい」


「あいよ~」


「行きましょ、火星」


「おう」


「アイアイサ-」


バタンッ


カランカラ-ン


「…暇になってしまいましたね」

「ユグドラシルの連中は帰ってきませんし…」

「何処に行ったんでしょうか」


「さぁ?」


~~~~~♪


「着信?」

「もしもし?こちら万屋[秋鋼]です」


『その声、彩愛か?』


「雨雲さんですか」

「どうしたんです?」


『実は軍からの任務要請が入ってな』

『急遽、旅立つ事にした』


「急ですね」

「荷物はどうするんです?」


『必要最低限の物は持っている』

『そちらに置いてあるのは任務が終わってから取りに行く』


「解りました、それまで持っておきますね」


『感謝する』


ガチャンッ


「どうしたんだ?」


「ユグドラシルの連中が任務で旅立つそうです」

「終わったら荷物を取りに来るらしいですよ」


「そうかぁ…」

「はぁ…、潤い成分の楓ちゃんが…」


「私も女ですけど?」

「織鶴さんも」


「え?」


「殴りますよ」


「勘弁してくれよ~…」

「二日酔いでマジで頭が痛いんだからさぁ…」


「先週、馬鹿みたいに飲んだからでしょう?」

「もう二日酔いじゃなくて一週間酔いじゃないですか」


「あぁ~…、頭が痛いぃ~」


「自業自得ですって」


カランカラ-ン…


「いらっしゃいませ」


「いらっしゃぃ…」


「しっかりしてください」


「うぇ~い…」


コ-トを着、フ-ドを被った男が入店してくる

じろりと店内を見渡し、重々しく口を開く


「…営業中か」


「はい、そうですよ」


「人を捜している」


「人捜しですか」

「誰です?」


「火星 太陽」


「…!」


「あぁ、それなら…」


ガッ!


「むぐっ!?」


鉄珠の口を防ぎ、彩愛は囁く


(駄目ですよ)


(な、何が?)


(怪しすぎます)

(顔は見えないようにしてるし、火星なんて探す人の意図が分かりません!!)


(聞いてみるだけでも大丈夫じゃね?)


(ですが…!!)


「はぁ…、はぁ…」

「早いんだよ!馬鹿!!」


「…来たのか、城ヶシロガネ


「能力…、はぁ…、使うなって…、はぁ…」

「早過ぎなんだよ…」


息切れする男

銀色の髪、藍色の目、フ-ドの男と同じコ-ト

若々しい顔付きと160㎝ほどの身長


「城ヶ根…?」

「城ヶシロガネ テツですか?」


「あれ?俺、知ってんの?」


「えぇ、知ってますよ」


刀剣を構える鉄珠


「中級犯罪者、城ヶ根 鉄」


「良い度胸じゃねぇか、乗り込んでくるとはな」


「…へぇ」

「やるんだ?」


城ヶ根が腰から銃と短剣を取り出す


「気をつけてください、鉄珠」

「城ヶ根が居るという事は…、隣の男は」


「上級犯罪者、夜斬ヤギリ 無月ムヅキだろ」


「そういう…、事だ」


フ-ドを脱ぐ男


虚ろで生気のない深緑の目

闇のように黒い髪

片目は刀傷が残っており、腕にも動揺に幾つもの傷跡が目立っている


「何のようです?」

「それに、上級犯罪者と中級犯罪者で絶賛指名手配中の貴方達が何の用ですか」


「ん-、話すと長いかなぁ」


「火星を出せ」

「そうすれば危害は加えない」


「話の意図が分からないんですよ」


「…ま、良っかな」

「夜斬は外で見張りよろしくね-」


「俺がか?」


「そうだよ」

「さぁさぁ、行って行って」


ぐいぐいと夜斬を外へ押し出す城ヶ根


バタンッ


カランカラ-ン


「どういうつもりだ?」

「2対1になっちまうぜ?」


「それで充分だしねぇ」


「言うじゃねぇか」



読んでいただきありがとうございました

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