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秋鋼  作者: MTL2
61/600

悪循環

「ふぅ、結構やったな」


「お疲れ様です」


「ありがとうございます、彩愛さん」

「コレで赤点は免れる…、はず!!」


「まぁ、頑張ってください」

「人手が足りなくなると面倒ですからね」


「頑張ります!」


ガチャンッ


カランカラ-ン


「う-っす!ただいまぁ~♪」


「酒臭ッッッッッッ!!!!」


「酷っ!?」


「あ、いや…、すいません」

「飲んできたんですか?」


「うん、ちょっとね」

「仕事終わりだしぃ~」


「仕事?単独で?」


「まぁね~!ヒック」

「で、蒼空は何してんの~?」


「ら、来週テストなので…」


「勉強ぉ~?」


「はい」


「ま、頑張ってねぇ」

「テストなんて余裕余裕~!」


「は、はぁ…」



森草の家


「はい」


ピッ


「きゃぁっ!?」


ピロピロリン♪

テレテッテッテ-!


「10連勝~」


「また負けた…」


「弱いねぇ…」


「馬常さんが強すぎるんですよ!!」

「このゲ-ム、ゼロさんとセントさんには楽勝で勝てるのに…」


「暇なときはゲ-センとか行きまくってたからねぇ…」

「で、ゼロは?」


「そろそろ起きると思いますよ」

「ありがとうございますね、酔い潰れたゼロさんを家まで運んで貰って」


「気にしない気にしない」

「元々、俺が酔い潰させたんだし」

「逃走生活とか能力の事とか聞きまくるからさ…」


「ご迷惑をおかけしました…」


「別に良いよ」

「そう言えば、君はゼロの妹さん?」


「まさか!違いますよ」


「へぇ、違うの…」

「良いねぇ、ゼロも」


「何がですか?」


「こんな若いお嫁さんなんて」


ゴスッ!


「あははは、そんなはず無いじゃないですか~」


「痛い痛い痛い痛い痛い」

「小指を踏まないで、お願いだから」


「あら、ごめんなさい」


(怖いな…、この子…)



ガチャッ


「あレ?馬常さんじゃないですカ」


「あぁ、セントちゃん…」

「布瀬川とは別れたの?」


「はイ、つい先刻ニ」

「布瀬川さんなら本部に帰りましたヨ」

「検査が有るそうですのデ」


「そう…」


「何か御茶でも淹れましょうカ?」


「うん…、ありがと」


「あ、気付かなくてごめんなさい」


「気にしなくて良いよ」

(ゼロはまだ起きないのかな…)


セントはヤカンから御茶を2つのコップへと淹れる


「どうゾ」


森草の前に置かれるコップ


「ありがとう、セントさん」


「馬常さんモ」


「どうも…」

「…セントちゃんはゼロの妹、じゃないよね?」


「違いますヨ!」

「可笑しな事を言う人ですネ」


クスクスと可笑しそうに笑うセント


「じゃぁ、お嫁さん?」


メゴッッ





「…何してるんだ?」


「あ、起きたんですか?ゼロさん」


「自業自得ですヨ!!」


「馬常の顔がコップで陥没してんだけど?」


「…むぐっ」


「おぉ、生きてたか」

「よっと」


ガポンッ


「冗談なのに…」


「はぁ?何が」


「えっとね…」


ギラリとした殺気を感じ取る馬常


「…何でも無い」


「?」



軍本部


20F能力開発局


「…」


ピッピッピッ


規則的に鳴る機械音

本体から延びたチュ-ブを腕に付けている防銛


「もう少しですよ」


にっこりと防銛に微笑む布瀬川


「…うん」


「ゼロさんと任務に行ったそうではないですか」

「どうでした?」


「…また、殺した」


「そうでしたか…」


ピ-ッ


「はい、終わりましたよ」


「ありがとう…」


「どういたしまして」

「…能力は変わらずですね」


「…」


「精神状態も不安定なようですし」

「発祥抑制剤を出しましょうか?」


「…お願い」


「仕方のない事ですが、能力の使用は控えてください」

「悪循環に拍車を掛けますからね」


「解ってる…」


「どうぞ、発祥抑制剤です」


「…ねぇ」


「何ですか?」


「死んじゃ駄目…?」


「…駄目ですよ」


「もう嫌だよ…」

「殺したくないよ…!誰も…!!」


「…殺さなければ貴方が壊れてしまうのです」

「ですから、軍に入ったのでしょう?」


「でも…!でも…!!」

「あんなに酷い言葉を言って…!!」

「平気で人を殺して…!!」

「怖くて泣きたくて…!!」

「でも、泣いたら馬鹿にされそうで…!皆から軽蔑されそうで…!!」

「私、怖いよ…!!」


「…」


ふわりと防銛の体に柔らかい布の感覚


「え…」


布瀬川の白衣が防銛に掛けられたのである


「…白衣の中なら、誰にも見られませんよ」

「勿論、私にも」


「…うぅ」


ぽつりぽつりと溢れる涙


(どうして、このような子に…)

(運命とは、残酷ですね…)




公園


「見回りするお巡りさんは~♪っと」


警察官は鼻歌交じりに自転車をキコキコと漕ぐ


「おい」


「ん?どうした」


コ-トを着、フ-ドを被った男が警察官に声を掛ける


「道を教えてくれ」


「はいはい、解りました」

「どちらまで?」


「[秋鋼]という万屋だ」


「ん-、ちょっと待ってね」

「地図地図、と」

「…えっと」

「この先の角を曲がってだね」

「ここを、こう行く」

「それで着くはずだよ」


「感謝する」


「ど-いたしまして」

「お気を付けて…、ってあれ?」


気が付くと、警察官の前に男は居ない


「…あれ?」





読んでいただきありがとうございました

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