勉強
「ハ-バ-ドて…」
「東大と並んで頭が良い大学の象徴じゃないですか」
「単純思考ですね」
「他にももっと有りますよ?」
「それぐらいしか知らなくて…」
「それで良いんですか高校生」
「それはそうと、これ」
「何ですか?この資料」
「診断書よ、昨日の
「あ、忘れてました…」
「ありがとうございます」
「院長の野郎でも解らないらしいわ」
「院長…?」
「ほら、アイツよ」
「へらへらした野郎」
「あぁ、俺を診断してくれた、あの」
「解らないって事は…」
「まぁ、そういう事よ」
「不明な点が多すぎるわね」
「むぅ…」
「多重能力って線は無いんですか?」
「それなら説明が付くでしょう」
「それも無いわ」
「そもそも、多重能力なんて聞いた事無いし」
「そう言えば、茂埜辺も言ってましたね」
「あぁ、あの行方不明の」
「行方不明なんですか、やっぱり」
「黒襟は死んだけどね」
「惨殺死体で発見されたわ」
「え…?」
「黒襟の為なら何でもするような組織だったですしね」
「恐らく、茂埜辺も死んでいると考えられますよ」
「そうでしょうね」
「…あの人が」
ガチャッ
「ただいま-」
大量の荷物でふらつきながらも、どうにか歩く火星
「お帰り」
「荷物はそこに置いといて」
「おう」
ドサドサッ
「多いですね…」
「この前のクロアゲハの一件で給料が入ったからね」
「2人に頼まれてたのと、自分用のとで買ってきたんだ」
「ビ-フジャ-キ-、魚肉ソ-セ-ジ、チ-ズ…」
「…ビ-ル多っ」
「男の夜の楽しみだからね…」
「これぐらいの贅沢は!!」
(オヤジ臭ぇ…)
「ユグドラシルの連中は?」
「軍本部に拠っていくそうだ」
「そう」
「あ、火星さんにお願いが」
「何?」
「来週、テストなんです」
「勉強を教えて貰えませんか?」
「別に良いけど…」
「織鶴は教えてやらないのか?」
「面倒臭いわ」
「「ですよね-」」
「火星も高校生程度の問題なら解るでしょ」
「へぇ、意外ですね」
「あのね、火星だって秋鋼の一員なんだから」
「その程度は…、出来るの?」
「酷っ」
「出来るよ!これでも成績は良い方だったんだぜ!?」
「体育だけでしょ?」
「…はい」
「火星さんって大学出てるんですか?」
「いや、高卒かな」
「高卒…」
「あれ?火星は大学レベルの問題でも解けるって言ってたじゃない」
「能力の無い俺は運動と勉学だけしか努力できねぇからな」
「少しでも皆の手助けになれば、って思って運動と勉学は頑張ってるんだ」
「い、今まで色々言ってスイマセンでした…ッ!火星さん!!」
「え」
「まさか、貴方がそこまで…!!」
「ちょ、何で泣いてるの」
「男やでぇ…!!」
「時々君のノリについて行けない」
「それはそうと、勉強教えてください」
「う、うん…」
「ここは、この式を代入するんだよ」
「ふむふむ…」
「よし、結構やったし休憩しようか」
「御茶でも淹れるよ」
「あ、良いですよ!」
「俺が淹れますって」
「そう?悪いね」
「蒼空君が淹れるのは美味しいからね」
「あはは、褒めても何も出ませんよ」
「うん、美味い」
「どうも」
「…そう言えば、火星さんって何処の高校に?」
「九華梨高校」
「まさかの先輩!?」
「冗談だよ」
「隣県の小さい高校にね」
「び、吃驚した…」
「高卒って事は、その後はここに?」
「いや…、別のトコにね」
「別の所?」
「まぁね…」
「前の所ってどんな所だったんですか?」
「…万屋、かな」
「おぉ!前も万屋だったんですか」
「それで…」
ゴンッッ!!
織鶴の鉄拳が波斗の脳天を貫く
「ぬがっ…」
「無駄話はそれぐらいにして勉強しなさい」
「火星、ちょっと」
「何だよ?」
「良いから来なさい」
「…おう」
「じゃ、蒼空君はプリントやっててね」
「はい…」
(頭、痛ぇ…)
「彩愛、波斗がサボらないように見張りね」
「了解しました」
バタンッ
「…大丈夫?」
「何がだ?」
「古傷、剔られてたけど」
「…まぁ、大丈夫かな」
「そんな辛そうな顔して、よく言えるわね」
「ケジメ付けたつもりだったんだけどなぁ…」
「やっぱりキツいわ…」
「無理、するんじゃないわよ…」
「解ってるって」
「…ケジメ、付けれてねぇなぁ…」
「あの日に…」
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