ビルへの突入
高層ビル
入り口
「面倒臭ぇ-な-」
「仕方ないだろ?」
「軍の奴等が彷徨いてるらしいしよ」
柱に腰掛け煙草を吸う見張りが2人
「ってかよ-」
「マジで黒襟様って綺麗だよな?」
「確かにな!」
「アレは反則だぜ!!」
「あの人彼女に出来たら死んでも良い…」
「バカヤロ-!死んだらお付き合い出来ねぇだろうが!!」
「それもそうか!」
「「がはははははは!!」」
2人の背後で揺れる青白い髪
「寝ろ」
ゴキンッ
「うげっ」
「お、おい!!」
「お前もだ」
ドスッッ!!
「がっ…」
ドサドサッ
その場に倒れ込む見張り達
「おい!何だ!!」
階段から数十人の武装した見張り達が下りてくる
「今だ」
手を挙げ振り下ろす雨雲
ギュルギュルギュル!!!
「「「!?」」」
ガシャァアアアアン!!
ガラスを突き破って中軽車が突っ込んで来る
「おらぁああ----!!!」
グシャグシャグシャグシャッッ!!
数十人を轢き払い、徐々にスピ-ドを緩める車
バタンッ!
その中から3人の男が飛び出てくる
「行くぞ」
雨雲と合流し、蒼空、馬常、鎖基は階段を上がっていく
「ぜって-!もうテメェ等の計画には付き合わねぇからなっっ!!」
黒煙を上げる愛車のドアを蹴破り、涙目の火星が銃を装填する
「上に行かせるなぁ!!」
蒼空達を追う男達
「行かせるかよっ!」
パァンッ!パァンッッ!!
「ぎゃぁっ!」
「ぐわっ!?」
銃声が響き渡り、男達が階段から転げ落ちていく
「ナイス-、火星-」
「良いから早く行け!!」
「アイサ-」
「テメェ…」
「お前等の相手は俺だ」
「掛かって来いよ」
2階
「おい!止まっ…」
「…誰も居ない?」
ピ-ン
「ハッハッハッハ!!さらばだぁああああ!!!」
エレベ-タ-の扉の隙間から鎖基のうるさい声が響く
「し、しまった!!」
「エレベ-タ-を止めろ!!」
「は、はい!!」
「上だ!急げ!!」
「エレベ-タ-の入り口を防げ!!」
エレベ-タ-の前に集まっていく男達
「油断大敵-」
「じゃぁね」
バチィイイイイン!!
「「「!?」」」
3階への階段が変形し、壁と化す
「ど、どうなってるんだ!?」
3階
「まさか、ここまで簡単とはね」
「馬鹿ばっかだよ」
「馬常さんと雨雲さんの計画が凄いんですよ」
「火星さんの車で入り口に突入してから鎖基さんを囮に3階より下の敵を隔離するなんて」
「火星ならチンピラ程度の奴等には負けないだろう」
「鎖基も心配ない」
「まぁ、蒼空君の能力有ってこそだよね…」
「本当に便利な能力だなぁ…」
「使う度に血を流さなきゃ駄目だから、痛いんですけどね…」
「…それはそうと、敵のお出ましだ」
「!」
「よいよい、急だなぁ?」
「急じゃなきゃ急襲じゃねぇんだけどな!」
「誰…?」
「来牢だ」
「クロアゲハの幹部だな」
「…俺が相手をするよ」
背の傘を手に取り、構える馬常
「先に行ってね…」
「行くぞ、蒼空」
「は、はい!」
来牢と名乗った男の横を素通りしていく蒼空と雨雲
「通すんだね…」
「当たり前だ!」
「…今、コイツ等を追って背中を見せてみろ」
「死ぬだろ?俺」
「正解…」
4階
「誰も居ない…?」
「誘っているのだ」
「上に来い、と」
「どうしてですか…?」
「何かの罠を張っているのか」
「それとも、下で別れた馬常達の援護に行けなくさせるのか」
「なるほど…」
「…待て、蒼空」
「?」
すんすんと鼻を鳴らせる雨雲
「走るぞ」
「え?」
5階の階段へと雨雲が全力で走り出す
「ちょ、ちょっと!!」
それを追って蒼空も走り出す
5階への階段
「な、何だって言うんですか…」
ぜぇぜぇと息を切らしながら、階段の段差へと座り込む蒼空
「耳を塞げ」
「耳ですか?」
よく理由も分からないが、取り敢えず言われたとおりにする
ガァアアアアアアアアアアアアン!!
「!?」
凄まじい轟音
そして振動
「なっ…!?」
「向こう側も帰り口を塞いできたな」
「…走るぞ」
「ちょ、ちょっと待ってください…」
「急だったから…」
「そういうワケにもいかない」
天井からカチッカチッと時計の秒針の様な音がする
ゆっくりと上を見上げてみると、おびただしい数の時限爆弾
「-----ッ!!」
「行くぞ」
「畜生ぉおおおおおお!!」
フランス空港
「…」
コンコンと音を鳴らし、不機嫌そうにカウンタ-テ-ブルを叩くゼロ
「まだかよ…」
ゼロは苛ついていた
空港には暴動の影響で着陸が遅れる
飛行機内で防銛にナンパしてきた男を防銛が殺そうとしているのを抑える
空港の受付嬢は幾ら呼び出しても来ない
「…っぜぇ」
イライラしていると、気が付けば防銛が居ない
「あの糞餓鬼…」
まぁ、仮にも能力者だ
そこら辺のチンピラ共に絡まれても問題は無いだろう
…いや、殺戮症候群が有ったか
「探しに行くか…」
トイレ
「…予想通りだよ、畜生が」
落書きだらけのトイレ
その壁にもたれ掛かるように放置された肉塊
その全ての等部が弾け飛び、周囲に散乱している
「お-い、防銛-」
辺りに姿はない
「…中か?」
ガンガンとトイレの扉を1つ1つ叩いていく
ガンッ
「入ってま~す♪」
「入ってんのかよ…」
「テメェ、能力乱用すんなよ!!」
「そうしなきゃ、もっと殺したくなるもん」
「そりゃそうなんだが…」
「ちょっと待ってね」
「もう少しでイけるから」
「…ガキがなんつ-言葉を」
「だって!興奮するんだもん」
「手伝ってくれる?」
「却下だ、阿呆」
「さっさとしろ」
「待っ…、んっ…」
「…っはぁ…」
がちゃりと扉を開け、防銛が出てくる
「あ!下履き忘れちゃった~♪」
「興奮する?ロリコン」
「黙ってろ」
「早く暴動を抑えて祭峰の野郎を捜してぇんだよ、俺は」
「詰まんないの-!」
「うるせぇ」
「死体、どうするんだよ?」
「処理してくれるんでしょ?」
「俺がか?」
「じゃ、私は下履いてくるから」
「処理しといてね♪」
「…糞餓鬼が」
「人を何だと思ってやがる…」
「全くだねぇ」
「苦労してるじゃん」
「…テメェ」
「お久しぶりだね♪」
「祭峰…!!」
読んでいただきありがとうございました