クロアゲハ
「まだかな…」
「お待たせしました、にゃん」
「お…、ありがとう」
「…って雨雲じゃん」
「やはりお前か、にゃん」
「馬常、にゃん」
テ-ブルに置かれるオムライス
「ん…」
ぱくりとオムライスを口へ運ぶ馬常
「美味い…」
「どうしてお前がこんな所に居る、にゃん?」
「野暮用でね…」
「…闘る?」
「いや、ここでは被害が大きすぎる、にゃん」
「中級犯罪者、馬常 轡、にゃん」
「お前とは闘うのは気が引けるからな、にゃん」
「だってねぇ…」
「軍を辞めただけで犯罪者扱いだし…」
「お前が犯罪を起こさない限り軍も始末する気は無いらしいぞ、にゃん」
「それにしても野暮用とは何だ?にゃん」
「ん-…、教えても良いんだけどさ」
「あれ、やってよ」
「何、にゃん?」
馬常が手をくいくいと上下させる
「にゃんにゃん」
「…可愛くないね」
「なんか無愛想…」
「店員には褒められたのだが…、にゃん」
「そのにゃんも似合わないよ」
「…そうか」
「で、野暮用を教えて貰う」
「ん-…、まぁ約束だしね」
「祭峰って知ってるかな」
「知っている」
「当たり前だろう」
「その祭峰がね、ここらに居る能力者組織を煽ってるらしいんだ…」
「[クロアゲハ]って知ってるよね…」
「あぁ、知っている」
「有名な能力者組織だ」
「その組織を壊滅させろ、って命令が来てね…」
「…命令?」
「軍から…」
「信用回復っての?」
「これを成し遂げたら軍公認の能力者にするって…」
「…乗ったのか?」
「当たり前でしょ…」
「乗れば軍から逃げなくて良いしさ…」
「…そうか」
「だが、あの組織のトップは厄介だぞ」
「上級犯罪者…、黒襟 数珠」
「女にしてトップに立つ…、念力系能力者だよね…」
「側近達も厄介だ」
「1人で行くのか」
「それなんだよね…」
「君達がここで働いてるって聞いたから…」
「…そういう事か」
「織鶴からさ…、許可も降りてるんだ…」
「良いよね?」
「…そう言うことなら文句は言うまい」
「野暮用とは俺達を迎える事か」
「織鶴もさ…、このために君達に任務を与えたらしいよ…」
「うん…」
「解った」
「これは数時間後には終わる」
「その後、集合しよう」
「うん…、話が早くて助かるよ…」
「オムライス美味い…」
数時間後
車内
「えっと…、この人が」
「馬常 轡」
「元軍の研究者にして能力者だ」
「よろしく…」
「おいおい!確か馬常って中級犯罪者だろ!?」
「何で平然と居るんだよ!」
「落ち着け、火星」
「今は味方だ」
「よろしくな!芭蕉!!」
「馬常ね…」
「俳句は得意じゃないんだから…」
「ともかく、今回はコイツの任務に協力するのが本来の目的だ」
「[クロアゲハ]という組織の壊滅だ」
「[クロアゲハ]って結構有名な所だろ!?」
「軍と互角に闘り会うとか言うし…」
「何より結束力が強いらしいよ…」
「チ-ムワ-クが特徴かな…」
「そうか!!」
「チ-ムワ-クか!!!」
(解ってるんだろうか…、この人は)
「場所は解ってるからね…」
「明日の日の出と同時に奇襲するから…」
「解った」
「うむ!!!」
「解りました」
「おう!」
「あ-…、火星はね…」
「何だ?」
「別にやって貰う事が有るから…」
「下っ端の相手ね…」
「…やっぱり?」
「相手は能力者だし…」
「雨雲みたいに強くもないでしょ…」
「…って織鶴が言ってた」
「あのヤロ-…」
「おにぎりは鮭だね…」
「昆布も捨てがたいぞ!!!」
「てか、何でおにぎり食ってるんですか…」
「腹が減ったのだ!!」
「車の中に有ったし…」
「俺もいただこう」
「梅だな」
「じゃ、俺はツナマヨいただきますね」
「…俺の分は?」
「「「「無い」…」!!!」ですよ」
「…泣きてぇ」
軍本部
45F総督室
「馬常を!?」
「そうよ?」
「クロアゲハだったら俺に行かせろって!!」
「黒襟とは闘ってみたかったんだ!!」
「文句言わないでよね」
「馬常にはチャンスを与えたのよ?」
「あの野郎にか…」
「彼を敵に回すのは厄介だからね」
「何も無しってのはこっちの面子に関わるし♪」
「チッ…」
「それに貴方には別の任務よ」
「何?」
「フランスで暴動よ」
「押さえてきて」
「…その程度、別の野郎にやらせりゃ良いだろ」
「そうでもないのよね」
「暴動の裏で祭峰が動いてるわ」
「…祭峰?」
「野郎が、か」
「そうよ」
「万が一、遭遇したら…」
「解ってるわよね?」
「無論だろ-が」
「そう、安心したわ」
「そうそう、何人か連れて行って良いわよ?」
「そうだな…」
「防銛だ」
「あら、珍しい」
「貴方、あの子と関係なんて有ったかしら?」
「…まさか、そういう趣味?」
「テメェまでアイツ等と同じ事言うんじゃねぇよ…」
「前に言われててな、このテの任務が有ったら呼べと」
「やばくなったら止めてね?」
「…どういう意味だ?」
「あの子はそういうのだから」
「貴方だったら安心でしょ」
「…?」
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