男の入店
店内
「何だ、仕事でか」
「それ以外に何が有るんだよ…」
「てっきり蒼空がそっち系に目覚めたのかと」
「それは無いから」
「あの人達は?」
「仕事仲間の火星さん」
「熊谷は知ってるよな?」
「うん、猫の時の人だね」
「で、あの」
「いらっしゃいませぇええええええ!ご主人様ぁああああああああああ!!!」
「って言ってる人が鎖基さん」
「あの美人は!?」
「…蔵波」
「教えろって!ミスコン出れるぜ!!」
「あの人は男だ」
「え」
「いや、嘘だろ?」
「雨雲さぁ-ん!」
「何だ、蒼空」
「早く仕事に戻れ」
「男ですか?」
「当たり前だろう」
「いやいや、こんなメイド服のに会う男が居るかっての!!」
「なぁ!?熊谷!!」
「え-」
「手だって綺麗だし!足とか綺麗だし!!」
「とにかく綺麗だし!!」
「少し静かにしろよ」
「他のお客さんに迷惑だろ?」
「いやいや!だって!!」
「雨雲…、さん」
「少しお願いして良いですか?」
「何だ?少年」
「実は…」
「…ふむ」
「お願いします」
「解った」
蔵波の前にかがみ込み、雨雲が目線を合わせる
「静かにしてくれないかな?」
にっこりと微笑み、頭を撫でる
「ぐはっっっ!!」
「く、蔵波!!」
「もう…、死んでもいいや」
「しっかりしろって!!」
(なんて破壊力…!!)
「あいがと-ございます」
「いや、構わない」
「では、俺は表の広告配りに…」
「店員さ-ん!俺にもお願いしますっ!!」
「俺も-!!」
「俺も!俺も!!」
「大盛況ですね…」
「雨雲さんは店内でお願いしますね♪」
「解った」
「お、俺は…?」
「蒼空君は外でお願いしますね!」
「やっぱりですか…」
「頑張れよ-!」
「頑張れ~」
「人が仕事してるってのに…」
軍本部
1F受付
「…」
ボロボロに傷ついたゼロ
「おや?」
「ゼロさん、どうしたんです?」
「布瀬川か…」
「女って怖ぇな…」
「?」
「昨日よ…、セントを家に連れて帰ったら森草の野郎がブチ切れてよ…」
(面白い話になりそうですね)
数時間前
森草家
「ここだ」
「案外、普通の家なんですネ」
「何を想像してたんだ?」
「もっとボロボロかト」
「お前なぁ…」
ガチャッ
「帰ったぞ-」
(ふふふ、もしかしたらゼロさんと添い寝なんテ…♪)
「あ、お帰りなさい」
「遅いから先にご飯食べちゃいました…よ…?」
「あ…レ…?」
「おう、森草」
「軍の研究者のセントだ」
夜→家に連れ込み→年下の女性+美人→☓☓☓
「貴方ハ…!!」
夜→同居→年下の女性+美人→☓☓☓
「貴方って人は…!!」
「「このロリコン!!!」」
ゴキンッッ!!
「がはぁっっ!?」
現在
軍本部
「そんな事が」
「俺が何をしたってんだ…」
「避ける暇すらなかったぜ…」
「お疲れ様です」
「それはそうと、面白い能力犯罪者が目撃されてますよ」
「誰だ?」
「馬常 轡です」
「…あぁ-、居たな、そんなの」
「元は軍に居た奴だろ?」
「えぇ、居ましたよ」
「本部勤務だったにも関わらず、業務時間の多さを理由に軍を辞めた男です」
「元は私の同僚だったんですけどねぇ」
「能力者で研究者なんざそうそう居ねぇからな」
「記憶の片隅程度には置いといたが…」
「まだ生きてたのか」
「はい」
「最近、日本の空港で目撃されまして」
「今更か?」
「海外でのんびり過ごしてるって聞いてたんだが」
「…詳しいですね?」
「…フン」
「アイツが面白れぇ能力持ってるから知ってるだけだ」
「面白い能力…、ですか」
萌え×2☆LOVE☆ニャン×2娘のメイド喫茶
玄関前
「ちょいと」
「あ、いらっしゃいませ」
「何で男がメイドの格好してんの?」
「ま、まぁウケ狙いですから」
「っそ…」
(何だ、この人…)
碧色の目、ぼさぼさの黒い短髪
白いTシャツと青のジ-ンズ
首に巻いた汚れた包帯
顎に生えた無精髭
異様に大きな傘を背負い、パタパタとサンダルを鳴らせながらだらんとしている
「え-っと…」
「店、この中だよね?」
「は、はい」
「っそ…」
「…広告、配ってんの?」
「はい」
「この天気の中?」
「大変だねぇ…」
「暑いっしょ?」
「ま、まぁ暑いですけど」
「仕事ですから」
「健気だねぇ…」
「っそ…、っか」
「は、はぁ…」
「広告、くれる?」
「あ、どうぞ」
「うん…、うん…」
「パフェがオススメなんだ…」
「うん…」
「…ども」
ゆっくりと店の中に入っていく男
「入店してくれた…」
「良かった…、のか?」
「客引き成功じゃん!蒼空君」
ぽんっと火星が蒼空の肩を叩く
「は、はい!」
店内
「会計、お願いします」
「ありがとうございました-♪」
「お-!お姉さんも綺麗だな!」
「あらあら!ありがとう♪」
「蔵波ぃ~」
「何だ?熊谷」
「早く帰ろうぜ」
「眠い」
「馬鹿野郎!この天国から早々帰ってたまるか!!」
「あぁ!あと5年ぐらい居たい!!」
「いや、パフェ食い終わった後も散々居続けただろ…」
「店に迷惑だよ」
「う…」
カランカラ-ン
「「「いらっしゃいませ-♪」」」
「ども…」
「…」
「ん…、横ゴメンね…」
「あ、すいません…」
のそりのそりと店内に入っていく男
それを避ける蔵波と熊谷
「…帰るか」
「何か…、萎えた」
「それが良いと思うよ~」
玄関前
「じゃ、帰るわ」
「そうか」
「じゃぁな、2人とも」
「頑張れよ~、蒼空ぁ~」
「おう!頑張るぜ!」
手を振り帰って行く2人
「俺も頑張らなくちゃな…」
「いらっしゃいませぇええええええ!ご主人様ぁああああああああああ!!!」
(相変わらずうるせぇ…)
店内
「…」
「にゃんにゃん♪」
「にゃん文字お願いしまぁ~す!!」
「了解にゃん♪」
「…ねぇ」
「何でしょうか?お客様♪」
「あのにゃん文字って何?」
「にゃん娘達が愛を込めて描く文字ですにゃん♪」
「どうやったら描いてくれるの?」
「にゃんにゃん特性オムライスを頼めば描いてくれるにゃん!」
「んじゃ…、それ1つ」
「にゃんにゃん特性オムライス!注文いただきましたにゃ-ん!!」
「「「にゃぁ~ん♪」」」
「…元気なんだねぇ」
「元気がモット-ですにゃん!」
「へぇ…」
「…」
「どうしたにゃん?雨雲にゃん」
「いや…、何でも無い」
「語尾に[にゃん]を忘れてるにゃん!」
「…何でも無い、にゃん」
読んでいただきありがとうございました