夜の資料室
「帰って寝るか…」
「今日の一件は根に持ちますからネ!!」
「絶対ですヨ!!」
「へいへい…、そ-ですか…」
「ふぁぁああ…」
大きく欠伸をし、セントに手を振るゼロ
そのまま振り向かず、軍本部から出て行く
「…ふふッ」
幸せそうに微笑むセント
「青春だな」
「っッ!?」
鉄珠と白月がセントの横から歩いてくる
「セント、アメリカから本部に能力開発局の実習に行きたいと言う貴方の要望をくみ取って本部へと来させたのです」
「デ-トさせに来たのではないのですよ?」
「ででででででででデ!?」
「まぁ、良いじゃねぇの!!」
「セントちゃんも15だっけ?」
「そういう年頃じゃん!!」
「16でス!!」
「ぜ、ゼロさんは決してそういう関係でハ…!!」
「では「じゃ、どういう関係なの?」ですか?」
「そ、それハ…」
「忘れモンした」
ひょっこりと現れるゼロ
「きゃあああああああああア!!」
「よっしゃ来た」
「来ましたね」
「な、何の用ですカ!?」
「能力開発局に忘れモンしたんだよ」
「つ-か、テメェも早く帰って寝ろよ」
「餓鬼が夜更かししてんじゃね-よ」
「が、餓鬼!?」
「私は16でス!!」
「この国じゃ餓鬼なんだよ」
「早くホテルに帰って寝るんだな」
「わ、解りましたヨ!!」
「全ク…」
「でも…、まだ宿は決まってないんでス」
「…ん?ゼロってさ」
「何だよ」
「何処に住んでんの?」
「前々まではホテルだったんだが…」
「今は部下の家に住んでる」
「エ…?」
「部下?」
「お前って「直轄の部下は作らない」とか言ってなかったか?」
「ワケ有ってな」
「じゃ、セントも来るか?」
「良いんですカ!?」
「ど-せ、今から宿を探しまくって、結局見つからずに夜が明けて能力開発局で寝る事になるんだからよ」
「別に1人泊めようが2人泊めようが変わらねぇだろ?」
「で、ではお言葉に甘えまス…」
「じゃ、待ってろよ」
「俺は能力開発局まで行ってくっから」
「は、はイ!」
カタンカタン…
「♪」
「ご機嫌だねぇ」
「それはそうと、貴方を呼びに来たのでした」
「資料室の時間外開放の許可がおりましたよ」
「お!ありがとね白月ちゃん♪」
「馴れ馴れしく呼ばないでください」
「連れないなぁ~」
「セントも浮かれすぎないように」
「アメリカからは実習に来ていると言う事を忘れないでください」
「は、はイ…」
13F資料室
「…あ、そう言えば!」
「ゼロ直轄の部下って…」
「何を」
「ブツブツ」
「言ってる?」
「遅い」
「よぉ、[核]」
「もう来てたんだな」
暗闇の中から聞こえる女性の声
そして機会音
空漏の音と金擦音が響く
「時間より」
「数十分」
「遅れてる」
「あははは!ごめんごめん」
「にしてもさ、別にこんな時間じゃなくても良かったんじゃない?」
「白月ちゃんに手間まで掛けさせちゃったし」
「容易に」
「外には」
「出られない」
「ま、そっか」
「雑談は」
「終わり」
「用件を」
「言う」
「…解った」
「祭峰が」
「目撃」
「された」
「奴が、か」
「そう」
「それを言うためだけにお前が来たのか?」
「[躯]に来させれば良いだろ?」
「今」
「[躯]は」
「別件で」
「動いて」
「いる」
「…そっか」
「貴方には」
「祭峰の」
「監視を」
「頼みたい」
「そっちが本命だな?」
「そう」
「…解った」
「でも」
「情報に」
「ついては」
「まだ」
「少ない」
「1週間」
「あれば」
「調べられる」
「別に構わねぇよ」
「勝手に調べるさ」
「任せても」
「大丈夫?」
「情報集めのプロだぜ?俺は」
「…」
「任せる」
万屋
「雨雲と織鶴お姉ちゃんはまだ寝ないの-?」
「話が有ってな」
「先に寝ててね」
「楓ちゃんは私と寝ましょう」
「うん!解った♪」
「…元気ね」
「大事にしてるんでしょ?アンタ達」
「当たり前だ」
「もうあの子に辛い思いをさせたくはない」
「ま、そりゃそうよね」
「アンタに預けて良かったわ」
「貴様が俺に楓を預けると行った時は何かと思ったがな」
「お前の子か、と聞いて能力使用の鉄拳をくらったのを覚えているぞ」
「アンタが無神経すぎるだけでしょうが」
「…とは言え、感謝はしてるわ」
「…奇怪神の狼亞は元気か?」
「元気よ」
「そうか、それは何よりだ」
「で?話って何よ」
「む、そうだったな」
「…最上級能力犯罪者の祭峰が目撃された」
「ロンドンでな」
「ロンドン?」
「波斗と鉄珠が行ってたんだけど…」
「それらしき人物を目撃したとは言ってなかったのか?」
「…アレ」
「?」
机の上に置かれた面を織鶴が手に取る
「波斗がロンドンで手に入れたらしいわ」
「迷ってた人にお礼で貰ったんだって」
「狐の面か」
「夏祭りで見たとき以来だな」
「ロンドンでお面なんて売ってるかしら?」
「…いや」
「礼として面を渡す?」
「つ-か、面を持ってる人間の方が珍しいわよね?」
「まさか…」
「波斗は能力者暴走事件の時、偶然にもNo,1に会ってるわ」
「[何か]を引きつけるモノを持ってるんじゃない?」
「…ふむ」
「そうか…」
「抽象的な例えでしかないけどね」
「お前が見込んだだけの事は有ったな?」
「街中で能力を使ってまで勧誘したそうじゃないか」
「電柱をへし折って」
「誰から聞いたのよ」
「No,3からだ」
「…アイツか」
「口が軽いわね」
「まぁ良いわ」
「問題点は…」
「祭峰、か」
「ロンドンで目撃され、道に迷っていた…」
「目的は?」
「解らん」
「あくまで五眼衆と軍との戦いを見物に来ただけか?」
「なるほどね」
「あの暇人なら有り得なくもないわ」
「…あぁ、そう言えば」
「何?」
「仕事、無いのか」
「雇えって?」
「金が不足しがちでな」
「細かい仕事でも良いから欲しいのだが」
「ん-、そうね」
「じゃ、あの仕事を任せるわ♪」
「あの仕事?」
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