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秋鋼  作者: MTL2
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それぞれの夜

万屋


「じゃ、俺帰りますね」


荷物を背負い、玄関へと向かう波斗


「帰るのか?」

「ここに住んでいるのかと思ったぞ!」


鎖基が意外そうに驚く


「私も進めたんだけどね」

「やっぱり家の方が良いらしいわ」


「そうなのか!」

「しかし、こうも狭いと当然か!」


「…あ?」


「許せ、織鶴」

「鎖基に悪気はない」


「だけどよ、確かにこの人数で泊まるのは無理じゃね-か?」

「蒼空を除けても6人だぜ?」


「…そうね」

「火星は路上で寝るとして…」


「酷ッ!?」


「あ、俺は軍に行くわ」

「呼ばれてるんだよな」


「鉄珠も引いて…」

「…まぁ、これぐらいなら」


「そうだな!これぐらいの人数なら大丈夫だろう!!」

「…8人か!!!」


「増えてるよ、鎖基」

「4人だよ」


「む!?そうなのか!!」


「コイツも路上ね」


「路上も根性と気合いで寝れるぞ!!」


「じゃ、決まりね」


「俺は路上確定なのか!?」


「当たり前ですよ、馬鹿火星」

「何でか弱い乙女3人の中に野獣を放り込まなきゃならないんですか」


「「「か弱い…?」」」


「…地獄で寝てみる?」


「「「スイマセンでした」」」


「うん!それじゃ4人で寝ようね!!」


「そうですね」


「そうね」


「そうだな」


「…火星さん?」


「何だい?蒼空君」


(あの、雨雲さんも男ですよね?)


(そうだけど?)


ヒソヒソと話し合う2人


(…あれ?)


(雨雲は絶対ないから)

(無欲の塊だから)


(えぇ…)


「じゃ、出てけ」


「え?今すぐ?」


「当たり前でしょ」

「早く入浴したいのよ」


「そんな急に…」

「寝床も決まってないんだけど…」


「あ、それでしたら俺の家に来ますか?」


「え?良いの?」


「はい、別に良いですよ」

「良かったら鎖基さんも」


「おぉ!ではそうしよう!!」


「そうと決まったら早く行きなさいよね」

「はぁ…、今日は無駄に疲れたわ」


「荷物を持ったのは雨雲じゃなかったか…?」



アパ-ト


「…アパ-トなんだね」


「ボロさに着いては何も言わないでください」

「父さんの同級生が管理人でして」

「同級生時代に父さんに世話になったから、って善意で貸してくれてるんです」


「良い人だね…」


「うむ!中々の人物だな!!!」


「まぁ、コレなんで音は筒抜けです」

「出来るだけ静かにお願いしますね?鎖基さん」


「うむ!解ったぞ!!!」


「静かにお願いします」


「うむ!解った!!!」


「…静かに」


「解ったと言っている!」


「…」


「…無駄だと思う」


「俺もそう思います…」



蒼空の部屋


「片付いてるね」


「まぁ、整理整頓には気を遣ってます」

「一人暮らしだと片付けるのが大変だし」


「…ベットの下とかには無いの?」


「え?」


「アレな本とか」


「…」

「…ナイデスヨ」


「本当に?」


「ナイデスヨ、ハイ」


「ベットの下か!!」

「大量の本が隠れて居るぞ!!」


「ぎゃぁあああああああああああ!!!」


「まぁ、男の子だから」

「俺も持ってるし」


「仕舞って!今すぐに!!」


「ハッハッハッハ!!」




「…火星さんも持ってたんですね」


「まぁ、普通じゃないかな」

「一回、車に置き忘れてさ」

「織鶴に見られて万屋に1週間出禁くらったよ」


(織鶴さんならやりそうだ…)

「あの人は…」


ベットを持ち上げ、鎖基は妙に丁寧に本を置いている


「興味って言うか、そう言う物自体、知らないんじゃないかな…」


「なるほど…」




じゅ-じゅ-と油の音と香ばしい匂いが狭い部屋に広がる


「夜食って言うのも良いよね」


「簡単なのしか作れませんけど」


「良いよ良いよ」

「つまむ程度に」


バタンッ!


勢いよくビニ-ル袋をぶら下げた鎖基が入ってくる


「ビ-ルとジュ-スを買ってきたぞ!!」


「ご苦労さん」


「こっちも出来ましたよ」


「うん!じゃ飲もうか」


「「お-!」」


典型的な男の夜である



万屋


「ソファを借りるぞ」


「良いわよ」


「ね-ね-!織鶴お姉ちゃん!!」


「何?楓ちゃん」


「お風呂!一緒に入ろ-!!」


「うん、良いわよ」


「どうせなので私も入りますよ」


「あら?そう」


「はい!」


「…」


「どうしたんですか?雨雲さん」


「…いや」

「楓が世話になっていると思ってな」

「今日もデパ-トに連れて行って貰っただろう?」

「また礼をしなければ、と考えていた」


「別に良いわよ」

「その分の物は貰うしね」


「…後で話が有る」


「解ってるわ」


「彩愛お姉ちゃん!早く入ろ-!」


「はい、そうですね」

「織鶴さんも」


「はいはい、解ってるわよ」



軍本部


「えっと、資料室だったかな」

「…あれ?ゼロじゃん」


「ですから!乙女心と言う物をですネ!!」


「悪かったって言ってんだろ-が…」


ギャ-ギャ-と騒ぐセントとうるさそうに耳を防ぐゼロ


「…え?何でゼロが?」

「[軍で女に興味ない男ランクTOP10]入りを毎回の如く果たすゼロが…」


鉄珠と同じように周りでもヒソヒソと受付や研究員達、作業員達までもが二人を見ている


「…夢か?夢なのか?」

「て-か、アイツ女にモテたのか…」

「…チクショ-」


「何をしているのですか、鉄珠さん」


湯気を立てるコ-ヒ-を持った白月が珍しそうに鉄珠に声を掛ける


「いや、アレ…」


「…No,3?」

「ゼロさんですか」

「それとセントではありませんか」


「あの2人ってさ、付き合ってたの?」


「いえ…、確か数時間ほど前にゼロさんがセントを能力開発局から引っ張り出していったと聞いていますが?」

「布瀬川さんが言うには「蕎麦屋に行った」そうです」


「…デ-ト?」


「まさか」

「あの[軍で女に興味ない男ランクTOP10]に入るゼロさんが」


「…どう思う?」


「有り得ないでしょう?」


「…だよな?」


「[軍の女の敵ナンパ野郎!TOP10]の1位を死守する貴方なら兎も角」


「死守したつもりは無いんだけど」


読んでいただきありがとうございました

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