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秋鋼  作者: MTL2
45/600

新入社員

本部


45F総督室


「…」


「あら?来てたの」

「言ってくれれば御茶ぐらい出したのに」


「…」


「…無口ね?」

「どうしたの?五眼衆の連中が手応えなさ過ぎて怒ってる?」


「…何故だ」


「ん?」


「何故、俺に能力者狩りの事実を黙っていた」


「…聞いたのね」

「誰からかしら?五眼衆のボス?ウェルタ?No,1?」


「ボスからだ」

「能力者狩りの裏業をな」


「で、それでどうしたいの?」

「聞いたから?」

「貴方も馬鹿じゃないでしょう?」

「今更、どうこう言っても無駄だって事は解ってるはずよ?」


「その事を言ってるんじゃねぇ…」

「何故!一般人を殺した!!!」


「…」


「軍公認の能力者にする時間は充分にあったはずだ!!!」

「無意味な殺生が軍の正義か!?あぁ!?」


「正義?笑わせないでくれるかしら」

「軍が正義なはずが無いでしょう?」

「能力者を束縛し、依頼をこなし、殺戮を繰り返す」

「金さえ有れば動く殺し屋と同じ」


「悪とでも言うのか!?」


「違うわ」

「人情だとか仁義だとか道徳だとか…」

「私達はそんな物で動いてないわ」

「正義も悪も、所詮は誰かが身を守るため、自己満足のために作り出した空想よ」

「それを律する定義もないし、理由もない」

「解るかしら?」

「私達は正義でも悪でもないのよ」

「[軍]、ただそれだけの集団」

「貴方の信念流儀を軽蔑するつもりはないわ」

「むしろ、評価に値する物ね」

「だけど、それでは軍は動かない」

「この殺戮集団はね」


「…奴等を殺したのも」


「軍に必要だったから」


「…そうか」


「あら、珍しい」


「あ?」


「いつもなら、もっと食い下がるのに」


「…これ以上は無駄だと判断したからだ」


「あら、そう?」


「それと、コレは返す」


布で巻かれた棒をゼロが机の上に置く


「役に立った?」


「…さぁな」


ガチャッ


「布瀬川様、例の資料ですが…」

「…居たのですね、No,3」


「もう帰る」

「じゃぁな」


「…?」


体を避け、ゼロを通す白月


バタン


「不機嫌そうですが?」


「色々と有ったのよねぇ」


「…そう言えば」

「No,3にロンドンでの任務資料提出を…」


「今は止めときなさい」


「え?」


「彼、不機嫌だから」


「不機嫌?」


「えぇ、ちょっとね」



20F能力開発局


「…」


「おや、ゼロさん」

「お久しぶりです」


「…前は世話になったな」


「いえ、貴方には普段からお世話になったますし」

「お気になさらず」


「…なぁ、布瀬川よ」


「何です?」


「正義…、って何だと思う?」


「何ですか、急に」


「ふと思っただけだ」


「…そうですね」

「特に考えた事も有りませんが…」

「一般的には朝のヒ-ロ-アニメとかが良い定義じゃないんですか?」


「…はぁあぁあああああああああ」


「…どうしたんです?そんな深いため息ついて」


「自分が馬鹿らしくなった…」


「元から馬鹿でしょう?」


「…うるせぇよ」


小さく笑うゼロ


「本当に解りませんね」

「今日は何だか変ですよ?」


「気にすんな!」

「…飯、食いに行かねぇか」


「蕎麦でお願いします」


「へいへい…」


「あぁ、それと」

「新入社員を紹介しますね」


「新入?誰だ」


オフィスの奥から出てくる白髪の女性

顔付きは14~15歳程度で、腰まで纏めたポニ-テ-ルが特徴的である


「セント・和鹿島ワカジマでス」

「アメリカ支部より転任してきましタ」


「…セントか」


「そう皆には呼ばれまス」

「和鹿島でも構いませン」


「和鹿島…?」

「…何処かで聞いたな」


「貴方が殺した男の娘でス」


和鹿島ワカジマ 宗殿シュウデン

「五眼衆のボスの本名ですよ」


「…ッ!!」


「ご安心ヲ」

「貴方に復讐しようとは思いませんかラ」


「…親父が和鹿島か」

「母方はアメリカの者か?」


「はイ」

「母はアメリカで生まれ日本に来たときに父と知り合いましタ」


「セント・グランディアさんは、まだアメリカ支部で?」


「そうでス」


「アメリカ研究部局長セント・グランディアか」

「噂には聞いている」

「人工能力開発の第一権威だったな」


「部下には五眼衆の幹部であるファグナも居ましタ」

「恐らく、その関係で父と知り合ったのでしょウ」


「…なるほどな」


「本当に…、アレは我が家の恥ですヨ」

「面汚しでス」


「…」


「父を処分してくださったゼロさんには感謝してまス」

「手間が省けましたし確実ですかラ」


「…い」


「何故、あのような事をしたのか理解しかねまス」

「馬鹿げた行動ですネ」

「自分勝手な…、最低の行動でス」


「…おい」


「本当に!最悪ノ…」


ゴッッッッ!!!!


「ゼロさん!!!」


セントの頬に鈍い痛みが走る


「うッ…」


「…俺は馬鹿だからよ」

「手加減を知らねぇ」


(殴られタ…?)


「女は殴るモンじゃねぇんだろうが…」

「テメェは女じゃねぇ」

「クソ野郎だ」


「どうしてですカ…!?」


「自分の親父ブッ殺した相手に「感謝してる」?」

「フザけんじゃねぇ」

「テメェの親父が面汚し?」

「あれ程の人間が、か?」

「じゃぁお前は何だよ」

「何様のつもりだ?あぁ?」


「私ハ…!!」


「最低の行動っつたな…」

「布瀬川!コイツ、借りるぞ!!!」


「ど、どうぞ」


ゼロはセントの服の首襟を掴み、担ぎ上げる


「ナ!?」


「行くぞ」


「離してくださイ!!」


「黙れ」

「テメェの親父がどんな人間だったか…、教えてやる」



読んでいただきありがとうございました

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