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秋鋼  作者: MTL2
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帰国

航空機内


腕時計を見つめ、鉄珠は目を細める


「…もう時間だな」

「今、始まったはずだぜ、森草ちゃん」


「…はい」


「?」


「ボスとファグナの…、火葬よ」

「この時間って言ってたから…」


「…火葬、か」


「お墓もないから…」

「埋葬は出来ないんだって」


「…うん」

「…大丈夫?」


「何が?」


「いや…、その…」

「ボスって人は今まで育ててくれたんだし…」


「気にしてないわよ」


「え?」


「確かに辛いけど、泣いたってボスは帰ってこない」

「泣いてる暇なんて無いもん」

「今は貴方とゼロさんが与えてくれた時間を大切にするわ」

「ただ、それだけ」


「そう…、だな」


「ありがとね」

「貴方の御蔭で生きられる」


「そ!そんな大袈裟な!!」


クスクスと小さく笑い、森草は外を眺める


(私は生きるわ…、ボス)




日本空港


ガクンッ


「っとぉ」


「着いたわね」


「長かった-!」


『お乗りのお客様は…』


「じゃ、帰ろうか」


「俺、万屋に帰りますね」


「了解-」

「森草ちゃんは俺が家まで送るから」


「変な事、しないでくださいよ?」


「考えとく」


「オイ」


「大丈夫よ、蒼空」

「殺すから」


((ジョ-クに聞こえない…))




万屋


カランカラ-ン…


「疲れたぁ…」


扉のもたれかかり、荷物をブラブラとぶら下げる


「誰も居ないのかな…」


ポイッと荷物をソファへと放り投げ、ため息をつく


「ごぶぉっっっ!?」


「!?」


突然の声



え?何?何なの?

誰か居るの?

しかも、今のって誰の声?

聞いた事ないんですけど


その時、波斗の脳裏を1つの都市伝説が駆け巡る


-----殺人犯がベットの下に-----


殺人犯!?

待て!待て待て待て待て!!!

どうする!?勝てるのか!?

能力を使って勝てるのか!?

相手が有無を言わずに斬りかかってきたらどうする!?

反応できるのか!?


「むぅ…」


のそりとソファから人影が現れる


「だ、誰だ!?」


「む…?何者だ?」


赤い髪

白いハチマキ

それから揺れ下がる2本の白い紐


「…客か?」


半袖から除く少し太めの腕

しっかりと筋肉が付いており、逞しい


「ち、違うけど…」


「では、敵か」


ギロリと波斗を男の鋭い眼が睨み付ける


「こ、ここの従業員だ!!」


「…織鶴の部下か?」


「そうだ!!」


「ハッハッハッハッハ!そうかそうか!!!」

「いや、すまないな!!」


急変した男の態度に動揺しながらも、波斗は男に質問を投げかける


「アンタは誰だ…?」


「我は鎖基 弓道」

「ユグドラシルの一員だ」


「ゆ、ユグドラシル!?」


「うむ」

「貴殿は?」


「お、俺は蒼空 波斗」

「秋鋼の従業員だ…」


「ふむ、蒼空か…」

「…む?蒼空、蒼空」

「蒼空…」


う-んと唸り込む鎖基


「…」


「…」


「…」


「…」


「…誰だ?」


(解らんのかい…)


カランカラ-ン


「ただい…、って」

「帰ってたの?波斗」


「お、織鶴さん…」


「おぉ、織鶴」

「休息を取っていたらこの者と出くわしてな」

「何か、この者は重要だったような気がするのだが…」


「楓ちゃんに傷を治療して貰うはずだったんだけど…」


「傷?殆ど無傷ではないか」


「治ったのよ、急に」

「アンタ達に連絡入れようとしても入らないし」


「むぅ…、それは悪かった」


カランカラ-ン


(また誰か…)


振り返った波斗の目に映ったのは



服服服服服


服の山


「なっ…!なっ…!!」

「何じゃこりゃぁああああああ!!!」


火星さんか!?

どうせ織鶴さんの買い物に付き合わされたんだろ!!

この女性物の大量の服!!!

絶対に織鶴さんのだ!!!


「…少し静かにしてくれないか」

「長旅で疲れている」


「…?」


え?

透き通るような声

大量の服の隙間からは白に近い青色の長髪


「遅いわよ、雨雲」


「仕方ないだろう」

「これだけの量だ」


ドサッ


波斗の荷物の上に服を放り投げ、小さくため息をつく男


青い目

腰の日本刀

長い脚


そして女性かと見違えるほどの整った顔立ち


「…えっと?」


「雨雲 卯月だ」

「蒼空 波斗だな」


「は、はい」


「その傷の治癒力、貴様の能力か?」


「い、いえ、違います」


「そうか」

「では貴様の能りょ---」


ゴンッッッッッ!!!


響き渡る鈍く重い音


「雑に扱うなって言ってんでしょ!!!」


「…む」

「能力使用か…、相変わらずだな」


「うっさいわね!!」

「と言うか火星は!?」

「居たでしょ!?先刻まで!!!」


「…確かに俺の後ろには居たはずだが」


「波斗!見てきて!!」


「え」


「早く!!」


「は、はい!!」


ガチャッ


(全く無茶苦茶な…)


キキィ------!!!


「ギャァアア------!!!」


ドンッッッッッッッ!!!!


バタン


「…」


「どうしたの?」


「オレハナニモミテナイデスヨ」


「豪快に跳ねられてるな!!」


「死んでは居ないだろう」

「織鶴の服は死んだが」


「あの役立たず殺す」




読んでいただきありがとうございました

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