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秋鋼  作者: MTL2
416/600

各地の残党狩り

秋葉原


ビル屋上



「何や、妙な事になっとるのぅ」


街灯が照らす街姿

月光を背負う一斑は遙か下地を眺める


「あれ、能力者か?」


警察が街を行き交う人々を誘導し、一部から引き離している

そのさらに奥では軍関係者達が八人の男達を囲んでいる


「ほな行こうかぁ」


一斑の足がビルのフェンスから踏み外される

空を闊歩し、彼は男達の元へと降り立つ


「何だ!?」


男達が驚愕し、一斑へと視線を集中する

一斑は周囲を見渡して大きくため息をつく


「あのなぁ、迷惑ってモンを考えんかいな」


彼の背後の軍関係者は一斑へと駆け寄ろうとするが、彼はそれを制する

軍関係者は後ずさり、警察の元へと撤退していく


「誰だ……、てめぇ……」


男達は一斑へと武器を構える

手を翳した者は炎を生みだし、一斑を睨み付ける


「軍最高戦力」

「軍最強能力者集団No,3」

「一斑 駁や」


八人の十六の眼球が驚愕に染まる

声にもならない声をあげて、一人、二人と後ずさり始める


「何や、逃げるんか」


「No,3……!!」

「白面の殺戮者…!!」


「マスクしとるだけやろ」

「何で、ほんな大層な名前が付いたねんな」


呆れ果てた様に、一斑は頭を掻きむしる

それと同時に彼の周囲に護符が展開され、男達を包囲する


「まず一人」


白面と称されたマスクに血液が飛び散り、紅く染みを作る

十六の眼球は十四へと減少する


「ひっ……!!」


一斑の拳に問われた光

それは護符に反射し、男達の眼球と脳を貫いていく


「うわぁああああああああああああ!!」


一二


絶叫が呼応し、護符の中で反響する



恐怖と絶望の色に染まる眼球



それも、色を光に奪い去られ



喰らい尽くされ



やがて



全てを失う




「完了や」


白面が地に捨てられ、風に舞っていく

否、白面ではない

血を喰らった紅面が


「さて、っと」

「昕霧さんとNo,2……」

「上手ぁに行っとるかいなぁ」




海岸


「……チッ」


昕霧の周囲にひれ伏すかのように転がる死体

何体か痙攣するように蠢き、苦痛の声を唸らせる


「っきさまァ……!!」


「…何だよ、まだ生きてたのか」


彼女は苦痛に悶える男の頭部を踏みつける

息を小さく吸い込み、蔑下の目で男を見下す


「裏切り者め…!!」


男の、その一言に昕霧は息吸を停止する

眼光をさらに鋭く唸らせて、瀕死の男へと視線を落とす


「裏切り者?」

「私はNo,4だ」

「裏切り者はテメーだろうが」


「違うな…!!」

「真実を知って!貴様は軍に居る!!」

「人々を救う軍が!人々を滅ぼそうとしている!!」

「それを!貴様はぁあ!!!」


弾け飛ぶ男の頭

脳髄と頭蓋骨が昕霧の足下に散乱し、血が彼女の服に飛び散る


「最悪だな……」

「かかっちまった……」


No,4


「……ちっ」


あれほど憧れた

あれほど手にしたかった

あれほど羨ましかった


「何だよ……」


この地位は、手放せない


「……畜生が」


絶対に手放せない

例え、もう奴が居なくても


手放せない




廃墟


「……」


廃墟の前に座す男達

懐から除く銃が禍々しく光沢を放つ


「おい、お前」

「ここに何の用だ?」


男が黒衣に身を包む男へと銃口を向ける

男の目に黒衣の男の紅い眼光が映る


「紅ーーーーーーーッッ!!」


上半身が刀身に攫われ、下半身は臓物を地にブチ撒ける

男の背後に居た者達は絶叫をあげる暇もなく口を失う


「……先か」


No,2は地面へと突き刺し、足を廃墟へと踏み入れる

彼の腕を離れた大剣は地に還るかのように溶けていく



「だ」


振り抜かれた拳には臓物の血管が絡みついている

鬱陶しそうにそれを払い捨て、No,2はさらに歩を進めていく

彼の過ぎ去った後は血と臓物

そして骨々で埋め尽くされている


「止まれぇ!!」


会談の上り口から見える大量の銃口

No,2が顔を上げた瞬間、それらからは鉛球が噴出される


「撃て撃て撃て撃て撃てぇ!!」

「休むな!撃ち殺せっっ!!」


鉛球の嵐の中、銃を持つ男達の目には紅眼の眼光が映る

男達は恐怖の渦に飲まれまいと弾丸を噴出し続ける


「た!弾切れ゛っ」


男の頭部を貫く刀身

首から引き千切られた刀身から声が漏れ、やがて止まる

他の者達の表情が恐怖に歪み、一人が絶叫を漏らす


「ひぃいいいいいいああああああああ!!」


それを合図に、他の男達も我先にと逃げ惑う

逃げ遅れた者の手足が逃げる者達へと飛来し、足に当たる

それすら構わず

いや、構えずに男達は建物の奥へ奥へと逃げていく


「ひぃっ!ひぃっっ!!」


先頭を走る男の耳に仲間の絶叫が聞こえてくる

死神の足音が聞こえてくる

臓物の飛び散る音が聞こえてくる


「ひぃっ!!」


男は何かに転び、派手に壁に衝突する

這いずってでも逃げようとした彼の眼球が捕らえたのは

幾つかの仲間の頭部を持ち、自らに迫る男の姿だった


「う、ぁあああああああああああああ!!!」


狂乱し、男は銃口を自らの側頭部に当てる

引き金を引こうとした瞬間、引き金は時が止まったかのようにぴくりとも動かなくなる


「ひっ!?ひっ!!」


必死に引き金を引こうとも、それが動く事はない

死神の足音が己へと近付いてくる

男の視線は引き金と死神を何度も行き来し、やがて死神で止まる


「あっ……、ぁっ……」


最早、言葉を失い、男は力無く手を下げる

笑みすら零し、眼前の光景を受け入れる


「……」


No,2は静かに手を翳し男の頭部を掴む

狂笑する頭部が粉砕され、血肉が周囲に散乱する


「……制圧完了か」



prrrr


「…何だ」


『あぁ、No,2?』

『こっちは終わったけぇど、ほっちはどうな?』


「…完了した」


『ん、ほうか』

『ほれで昕霧さんに連絡取れんねんけど、何か知らん?』


「……いや」


『ほうか、ん、解ぁった』

『ほなな』


携帯を懐に入れNo,2は周囲を見渡す


「……」


惨劇は終幕を迎え、舞台には己のみ

役者は居ない


舞台は紅く染まっている



読んでいただきありがとうございました

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