猫探し
カランカラ-ン
「織鶴-!車の修理終わったぞ-」
「お疲れ様」
「じゃ、波斗と仕事に行ってきて」
「早速かよ!?」
「何か問題でも?」
「えぇ…」
「波斗、仕事よ」
「簡単な内容だし、大丈夫だから」
「どうせ、アレだろ」
「そうよ」
「猫探し」
「…猫」
「そう、猫」
「にゃ-、です」
「…」
「…」
「…その猫探しも軍からの依頼ですか?」
「違うわよ」
「軍だけの依頼じゃ食べていけないし、一般人からの依頼も受けてるのよ」
「なるほど」
「じゃ、行こうか」
「今回は白猫だっけ?」
「そうよ」
「よく鳴くらしいから、すぐに見つけられるわ」
「解った」
「報酬は?」
「3000円」
「俺の取り分は?」
「100円」
「おかしくね?」
路地裏
「よくこの辺りにいるんだけどな-」
「よく?」
「あ-、猫を多く飼ってる常連さんでね」
「よく猫が逃げ出すんだ」
「で、よくこの辺りに…」
「そのはずなんだけど…」
「別のトコかな-」
「にゃ-」
「あ!」
「何処だ!?」
「にゃ-ん」
「よしよし」
「煮干し食うか?」
「牛乳飲む?」
「にゃぁ」
「そうかそうか」
「よしよし」
「…熊谷」
「え?」
「熊谷!!」
「あ、蒼空じゃん」
「どしたの?」
「彼は?」
「熊谷 鈎です」
「俺の同級生で…」
「その人誰?」
「え-っと…」
「名刺どうぞ」
「あ、どうも」
「え-っと、火星 太陽」
「星の名前を聞いてるんじゃなくて…」
「それ名前だから」
「よく言われるけど名前だから」
「火星 太陽ね」
「あ、そうなんですか」
「で、その火星さんと蒼空は何で…」
「確信犯だろ、テメェ」
「じょ-くデスヨ」
「いっつぁじょ-く」
「…」
「で、何で熊谷はこんな所に?」
「猫が居たから」
「猫好きだもの」
「あ、そう…」
「蒼空はバイト?」
「うん」
「秋鋼って万…」
「蒼空君」
「はい?」
「ちょっと」
「?」
(軍や能力の事は極秘だからね)
(一般人にバレるのは不味い)
(なるほど…)
「ば、バイトね!」
「万屋なんだけど」
「あ-、そうなんだ」
「校長に許可取った?」
「まだ…」
「退学になる前に取った方が良いよ」
「ん、解った」
「ありがとな、熊谷」
「どういたしまして-」
「じゃ、バイバイ」
「にゃ-」
「待て待て待て待て」
「何で猫を当たり前の様に連れて帰ってんの?」
「可愛いもん」
「可愛いけども!!」
「それは依頼だし」
「あ-、ベタな猫探し」
「まぁ、そうだね」
「はい、返しなさい」
「む-」
「にゃ-」
「…はい」
「よろしい」
「にゃんにゃん」
「にゃ-」
「やっぱり」
「駄目」
「む-」
「じゃ、君の御蔭で見つかったよ」
「ありがとうね、熊谷君」
「どういたしまして-」
「じゃ、俺も帰ろうかな」
「さようなら」
「バイバ-イ」
万屋
「はい、猫」
「ありがと」
「にゃ-」
「にゃん」
「なう」
「にゃう」
「彩愛さんは何を?」
「猫好きだからね、あの子」
「にゃ-」
「にゃんにゃん」
「…何か前にも有った様な」
「火星は?」
「そこの机で落ち込んでます」
「何で?」
「俺の同級生が火星さんに火星って言って…」
「いつもの事でしょ」
「貴方、明日は暇かしら?」
「特に用事は無いですけど…」
「行くわよ」
「軍」
「えぇ!?」
「言ってなかったかしら?」
「言ってましたけど…」
「そんな急に」
「いつ行くのも同じよ」
「第一、今はアイツが居ないし」
「アイツ?」
「細かい事は気にしなくて良いわよ」
「じゃ、明日ね」
「は、はぁ…」
読んでいただきありがとうございました