混沌のファグナ
会議会場
入り口
「おりゃっと」
ゴキン
いとも簡単に敵の首をへし折っていく鉄珠
「弱いなぁ」
「コレ、本当に能力者?」
「あ、貴方だけですよ!そんな簡単に倒してるの!!」
「あ、相手は能力者なんですから危機感を持ってください!!」
数メ-トルは有るマシンガンを乱射しながらも鉄珠を注意するクロル
「君も結構、楽に倒してるけどねぇ」
「…だが、コイツは楽じゃ無さそうだ」
ガキィイイン!!!
鉄珠の短刀とファグナの脚剣が交差する
「脚に剣を仕込んでるのか」
「よく解ったな!」
「クックック!強ぇヤツは好きだぜ!!」
ガキィン!ガキィン!!
ファグナの脚と鉄珠の短剣が幾度も交差し、火花を散らす
(強い…、が)
(戦闘に慣れてないな、コイツ)
戦闘のエキスパ-トである鉄珠には一瞬で解った
武器は一流の物だし、中々の筋力だ
しかし、慣れていない
この状態ではスポ-ツ選手が単に包丁を振り回しているのと変わらない
「隙有り!!」
カキィン!!
鉄珠の短剣によって弾かれた脚剣が宙へ舞う
「ぐっ…!!」
「どうする?降参か?」
「…武器を封じたから勝ち、とでも?」
「甘ぇんだよ!!」
ボッ!!
「右手から炎って…」
「お前、属性系の能力者だったんだ?」
「どうだろうなぁ…?」
バシャンッ
ファグナの左足から水が、右足からは雷が
そして右手には炎、左手には風
「…属性系だよね?」
「ビックリオンパレ-ド系とかじゃないよね?」
「残念…」
「殺戮系だよ!!」
廃墟
壁や天井は崩れ、瓦礫が辺りに散乱している
「…墜ちたか」
壁にもたれ掛かり、ゴホゴホとむせ返る雅堂
血混じりの唾を吐き捨て、気怠そうに立ち上がる
「かぁ-…、怠…」
「その程度じゃなかっただろう?」
「その程度じゃなかったはずだ」
「[雅堂]っつ-、1人の[無能力者の人間]として今は生きてんだよ…」
「お前は…、どうなんだ?11人目」
「知らないな」
「俺は彼女を護り続けるだけだ」
「お前は覚悟も目的もなく軍から逃げ出した」
「違うか?3人目」
小さく舌打ちし、ゆっくりと歩き出す
「…的確に人の悩みを突くの止めねぇか?」
「却下だ」
ドスッ!!
バタンッ!
「はぁ…!はぁ…!!」
扉を蹴破り、波斗が入ってくる
「何が有っ…!?」
目の前には見覚えのある男
血まみれで死にかけの男を冷徹に見下ろしている
「処理しろ」
「え?あ、え?」
「俺の命令が聞けないのか?」
「処理しろ、と言ったんだ」
「お前ってNo,1…?」
「そうだ」
「コイツを処理しろと言ってるんだ」
「ど、どうやって…?」
「と言うか、この前は…」
「…え?」
無い?
アレが
コイツから溢れる恐怖って言うか殺意って言うか…
アレが無い…?
バタンッ
「…雅堂」
「委員長…?」
「雅堂!!」
雅堂へと駆け寄っていく森草
「雅堂!雅堂!!」
ぐったりと項垂れた雅堂は動かない
「退け、女」
ガタァンッ!!
「きゃっ!!」
森草がNo,1の手によって弾き飛ばされる
「委員長!!」
「痛っ…!!」
「選択の森草、だな」
「五眼衆の幹部か」
「貴方は…!あの時の…!!」
「まだ生きていたのか」
「…処分の手間が増えたな」
「ッ!!」
「来るなッ!」
銃を取り出し、No,1へと向ける
「…赤子の抵抗だな」
パァンッ!!
「衝撃の拒絶」
弾丸をいとも簡単につかみ取り、捨てる
「そんな…!!」
「死ぬのに恐怖するか?」
「今まで何人、殺した?」
「貴様は」
「殺した者の命を背負わずに生きるのか」
「それは傲慢だろう?」
No,1の掌が森草の額に触れる
「嫌っ…!!」
「生命の…」
「おりゃあぁああああああ!!」
ドゴンッッ!!
「がっ!?」
背後から波斗のドロップキックがNo,1の背に直撃する
ガシャァアアアン!!
そのまま、瓦礫へと転げていくNo,1
「あ、蒼空…!!」
「逃げろ!委員長!!」
「早く!!」
「…馬鹿が」
ガシャァン!!
ゆらりと立ち上がるNo,1
「同じ事の繰り返しだな」
「…いや、そうでもないか」
「雅堂…?」
「貴様が居たな」
最早、立ち上がる事も出来ないはずの傷
手足は血に塗れ、白いTシャツは血で染められている
「…」
しかし、動かない
直立不動のまま、No,1を見下ろしている
「この人って…、委員長のお兄さん…?」
「違うな、蒼空 波斗」
「五眼衆の幹部、憤怒の雅堂」
「そして…、俺とお前と同類の人間だ」
「え…?」
「…だが、用済み」
「残念だよ、3人目」
「法則の拒絶」
メキメキメキ…
空中から現れる白刃
(アレって…!!)
「死ね」
「雅堂!!」
ドンッ!!
雅堂を突き飛ばし、No,1の前へと転がり出る森草
「…死にに来るのか」
「委員長!!」
「…ゴメン、蒼空」
覚悟を決めるかの様に目を深く瞑る
「させるかぁあああああ!!」
「遅い」
「生命の拒絶」
「塵滅」
パァアアン!!
「…貴様!!」
「殺させると思うなよ」
「護ると決めた」
「護ると約束した」
「雅堂!」
「…え?」
傷がない
血まみれだったのに?
立つのがやっとの状態だったのに?
「塵滅!!」
「拒絶!!」
バチイィイイイン!!
轟音と共にNo,1と雅堂の間に衝撃が走る
「ぐっ…!!」
「…流石だ」
「[塵滅]の能力…、衰えてないな」
「その言葉、そのまま返すぜ…」
「バケモンがよ」
「同じ存在が化け物を化け物と?」
「面白い事を言う…」
「…森草、蒼空」
「な、何だ!?」
「どうしたの!?」
「逃げろ」
「え…?」
「俺が抑える」
「1分か2分ぐらいなら大丈夫だろ」
「ど、どういう…!?」
「コイツは確実に森草を殺しに掛かる」
「蒼空には森草を護って欲しい」
「お、俺は軍の人間だぞ!?」
「もし、委員長を軍に突き出したら…!!」
「有り得ん」
「お前はそんな人間じゃない」
「何の確証も無いのに…、信じるのか?」
「…先刻、森草を庇っただろう?」
「それだけで確証になるさ」
「…~~~~~ッ!!」
「委員長!行こう!!」
「ま、待って!蒼空!!」
「委員長!?」
「雅堂!ボスは!?」
「ボスは無事なの!?」
「…解らん」
「だが、生きては帰らない」
「どうして…!?」
「あの人は、な」
「病を抱えてる」
「!?」
「不治の病だそうだ」
「…伝言なら俺が預かってる」
「そんな…、ボスが…」
「…森草」
「お前の両親を殺したのはボスだ」
「…え?」
「…言えるのはここまでだな」
「待たせたな、11人目」
「話は終わりか?」
「人を待たせるのは好きじゃない」
「待つのも好きじゃないんでね」
「…そうだな」
「委員長!早く!!」
「待って!雅堂!!」
「雅堂!!」
「…心配すんな!」
「またテメェのクソ不味ぃ茶飲みに帰ってやっからよ!!」
「雅堂!!!」
バタンッッ!!!
「…帰る、だと?」
「貴様は殺す」
「奇遇だね」
「俺もそう思うぜ」
読んでいただきありがとうございました




