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秋鋼  作者: MTL2
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狼煙

街を闊歩し、辺りをキョロキョロと見回す


(怪しい人…、は居ないかな)


見回り組である波斗は不審人物を発見し逮捕するのが役目

…なのだが、ロンドンに初めて来た波斗には誰が怪しいのか怪しくないのか解らない


(お国柄って言うか何て言うか…)

「…ん?」


路地裏が騒がしい


「さて!コレはどうかな?」


「「「oh~!!」」」


数人の子供が1人の男を取り囲んでいる


「コレとかな」


日本語?日本人か!!

…何してるんだ?


人気の無い路地裏

何かを見せているのか?


「…」


どうしようか

声だけでも掛けておくかな…


「あ、あの」


「ん?どうしたんだい?」

「って日本人!!」


「へっ?」


「良かったぁ!日本人じゃん!!」

「日本語解るよね!?」


「あ、当たり前ですけど…」


何だ?この人


先刻は子供達でよく見えなかったが…


白衣…、か?

いや、黒いけど


地面まで届きそうな長い上着

医者が着ている白衣の様な…、黒いけども


帽子を深めに被っていて目は見えない

緩んだ口元から笑っているのが解るが…、何だか怪しい


「迷ったんですか?」


たぶん、そうだろう

先刻の言動や慌て方からして


「迷ったんだよ!!」


「で、何をしてるんですか?」


「あ、お小遣い稼ぎっての?」

「お面を売ってるんだ」


「お面?」


男の足下には祭りで売られている様なお面がずらりと並んでいる

狐や狸、ヒ-ロ-物や少女漫画物まで

子供達はお面に見入っており、わいわいと楽しげに話している


(あ-、懐かしいな)


昔、小学校の友人とお祭りに行った覚えがある

屋台を廻ってかき氷やイカ焼きを食い漁り、花火を見た


(楽しかったなぁ…)


しみじみと思い出に浸っていると、男から声を掛けられた


「君、旅行?」


「え?あ-、そんな物です」

「貴方は?」


「俺もね」

「ちょっとした仕事で来たんだけどさ」

「仲間とはぐれちゃって…」


「そ、そうだったんですか…」


「この近くにさ、目印になるモン無いかな?」


「目印…」


目印?

ホテルとか


…いや、この国には幾らでも有るだろう

目印ねぇ…


「…あそこはどうです?」


波斗が指さしたのは会議会場だった


「デカッ」


「大きいですし、お仲間さんの目に着くと思いますよ」


「そうだな!ありがとう」


地面に並べた仮面をせっせと集め、鞄に押し込む男

子供達が残念そうに見つめるので、適当に鞄からお面を出し、子供達に手渡している


「大事にしろよ!!」


「「「YES!!」」」


嬉しそうにはしゃぎながら子供達は去っていく

言葉は分からなかったのだろうが、心で通じるとはこの事だろう


「君も要る?お面」


「え!?良いですよ、別に」


まぁ、正直欲しい

お面を貰ってどうこうしたいワケではないのだが…

この人の商売導具みたいだし、貰うわけにはいかない

今はお金も持ってないし


「お礼ってトコだよ!お礼!!」

「そうだね-、コレなんてどう?」


鞄から狐のお面を取り出す男


「で、でも…」


「まぁまぁ!良いから良いから!!」


半ば無理矢理、押しつけられる

別に嫌ではない…、と言うかむしろ欲しいので受け取ってしまう


「それじゃ-ね!!」


男は大量の荷物を抱え、路地裏から去っていく


「…はぁ」


まぁ、ちょっと嬉しい


「あ!忘れてた」


曲がり角から男の顔が覗く


「名前は?」


「え?」


「君の名前」


「あ、蒼空 波斗です」


「俺は祭峰サカミネ 悠拉ユウラ!」

「また機会があったら会おうぜ!!」


「は、はい!」


男はそう言って去っていった


…このお面、着けてみよっか



ホテル


「さて、皆集まったな」


ホテルの一室に集まった4人


憤怒の雅堂と選択の森草

そして、混沌のファグナとボスと呼ばれる男


「兵は?」


「表に待たせてる」

「森草の能力で人も寄って来ないから大丈夫だろ」


「クックック!便利な能力だなぁ…」

「それ以外は使えねぇけどよ?」


「…うるさいわね」


「クックック…」


「無駄話は良い」

「計画内容は覚えてるな?」


「当たり前でしょ」


「…そうか」

「計画を開始する」

「行け」


「「了解」」


バタンッ


部屋から出て行くファグナと森草


「…雅堂」


「解ってる」


「お前しか奴の相手は務まらない」

「…それと、もう1つ」


「何だ?」


「森草に…、あの事はお前から伝えてくれないか」


「俺が?」


「あぁ…」


「アンタが伝えろよ」

「俺は伝えない」


「…察してくれないか」


「まさか…!アンタ…!!」


「…情けないボスですまないな」

「今回の一件、お前達まで巻き込んで…」


「フザけんなよ…」


「…すまん」


「…森草も森草だがアンタもアンタだ」

「頑固野郎共の集まりかよ、ここは…」


「…全くだな」


自分を嫌悪するかの様に小さく笑うボス


「任せたぞ」


「…あぁ」



会議会場


「ウェルタさん」


「どうした?」


「正門前に続々と人が集まってます」

「恐らく五眼衆かと…」


「…解った」

「見回り組を最小限残して他は全て集めろ」

「正門前で止めろ、決して中には入れるな」


「はい」


「あ-、どうしたのかね?ウェルタ君」


「何でも無いですよ」

「どうぞ、お話を」


「うむ、なら良い」



正門


「クックック…」

「能力者でもねぇ奴等を集めて何がしてぇんだか…」


「俺が居るからな」

「少数精鋭ってヤツだ」


「No,3…!!」


「予想してただろ?この程度はよ」


「あぁ、予想していた」

「だからこそ、私が来たのだ」


「…オイオイ、本丸の登場は早すぎねぇか?」

「五眼衆のトップ様が何の用だよ?」


「部下に前線を任せて踏ん反り返る精神は持ち合わせて無くてね」


「…ボスに向いてねぇよ、テメェ」


「自覚はあるさ」

「さて、そろそろ狼煙が上がる」


「あ?」


ドォオオオオン!!


会議会場から黒煙が上がる


「別働隊が動いていてね」

「真正面突破とでも?」


「…流石、とでも言っといてやるよ」

「だが、こっちにも別働隊ぐらい居るんだぜ?」


「解っているさ、それぐらい」


「…じゃ、戦るか?」


「戦ろうじゃないか」

「こちらもチンタラしてられない」


「上等だ、クズが」

読んでいただきありがとうございました

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