任務開始
食堂
「…」
「…」
虚ろ虚ろで食事を取る波斗とベルア
「半分、寝てるのか?」
「顔洗って来いよ」
「10回ぐらい洗いました…」
「眠いです…」
「…昨日は寝れなかったのか?」
「「全く」」
「まぁ、予想はしてたけどな」
「つ-か、蒼空は大丈夫なのか?」
「はい…?」
「今日は護衛任務だぜ?」
「昼の1時に本部に集合だそうだ」
「今って何時ですか…」
「7時」
「ちょっとでも寝たらどうだ?」
「そうします…」
「ふぁぁ…」
「…う-ん」
「ベルアちゃんも任務に出るんだっけ?」
「はい、私は外回り組です…」
「昨日はお楽しみだった?」
「そ!そんな事!!!」
「ま、待って!」
「え?」
とてとてとベルアに周りをクロルが駆け回る
「ど、どうしたのです?」
「こ、この子が逃げるの…」
ベルアの右足に虎が乗っている
「…はぁ」
ひょいと持ち上げ、クロルに手渡す
「しっかりしてくださいです」
「ご、ごめんなさい…」
「まぁまぁ、良いじゃねぇの」
「クロルちゃんも任務に出るんだろ?」
「わ、私は会議場の入り口警備に…」
「じゃ、俺もそこに行くかな」
「一緒に頑張ろうぜ!」
「は、はい!」
「私は蒼空 波斗とですね…」
「頑張らねばです!!」
「頑張ろうぜ-!」
「お、「お-!!」です!!」
「お早うございます」
「気合いが入ってますね」
「りょ、僚艦!!」
「お、お早うございます」
「お早うございますです」
「…」
「元気がないですね?Mr,テツダマ」
「そ-っすね…」
「…やはりですね」
「?」
「クロルは知らないですか?」
「な、何をですか?」
「僚艦の部屋に入り一晩を過ごした男性はトラウマになる」
「女子寮の七不思議の1つなのです…」
「こ、怖いですね」
「怖いですよ…」
「帰ってこなかった人も」
「お喋りはそこまでです」
「早く食事を済ませてくださいね?」
「貴女と蒼空 波斗だけですよ?朝食を食べ終わってないのは」
「はいです…」
洗面場
バシャバシャッ
「ふぅ…」
(まだスッキリしないなぁ…)
「あの、隣よろしいですか?」
「あ、すいません」
申し訳なさそうにしている女性に洗面台のスペ-スを開ける波斗
(食事、終わらせるかな…)
「あ、あの!」
「はい?」
「貴方は本部の使者の方ですよね?」
「日本人ですか?」
「そ、そうですよ?」
「日本語、お上手なんですね」
「この寮では今、日本ブ-ムなんです!」
「ウェルタ支部長が日本のドラマを見始めて、それを僚艦に進めたのが始まりなんですけど…」
(あの人が原因か)
「…あ」
「どうしたんです?」
「そろそろ用意しなくちゃ」
「え?」
「あら、貴方は参加しないですか?任務」
「あ!!!」
「…急いだ方が良いですよ?」
「ありがとうございます!」
「じゃ!」
波斗は洗面台の水も出しっぱなしにしたまま、食堂へと走っていく
食堂
「お、帰って来た」
「鉄珠さん!!」
「ベルアちゃん達は行っちまったぜ」
「早く食えよ」
「1時じゃなかったんですか!?」
「ちょっと面倒な事になったらしくてな」
「緊急収集が掛けられたらしい」
「面倒な事…?」
応接室
ドアをノックし、部屋へと入る波斗と鉄珠
「失礼しま-…臭ッ!!」
思わず叫んでしまった
臭い!酒臭い!!
机の上には散乱したチェスの駒と盤
そして空のビン
「がぁ…」
まるで休日のオヤジの様に腹を出して寝ているウェルタ
ソファはウェルタが占領しており、ゼロは床に放り出されている
「お-い!起きろ!!」
「んがっ!?」
「何だよ…」
「…鉄珠じゃねぇか」
「ゼロ、何してんだ」
「眠ぃ…」
「任務は!?」
「忘れてた!!!」
(遠足の日に寝坊した小学生みたいな反応だ…)
「あぁ---!やべぇ!!」
「おい!ウェルタ!!」
「んぁ-?何だよ…」
「俺の服は!?」
「秘書が洗濯してんじゃねぇの…」
「渇かせ!今すぐ!!」
(学校に遅刻しそうな高校生みたいな反応じゃねぇか…)
「おい!ウェルタ!!」
「お前もジジィ共に挨拶に行くんだろ!?」
「面倒臭ぇし…、もう良いや…」
「起-き-ろ-!!!」
「あと5分…」
((休日であと1時間は寝る親父みたいな反応だな…))
「鉄珠!蒼空!!」
「テメェ等は先に行ってろ!!」
「それは良いけどよ」
「何なんだ?緊急収集って」
「…あぁ-、忘れてたわ」
「今回の計画な、No,1が急に入るとか言い出してよ」
「大幅に変更になったんだわ」
「No,1…、か」
「五眼衆幹部の1人を相手にするから、他は任せるだとよ」
「変更つっても、楽になるから良いんだけどな」
「…何でNo,1が来てるんですか?」
「只でさえNo,3のゼロさんが来てるのに」
「個人的な用だろ?」
「アイツが仕事すんのとか滅多に無いし」
「そうなんですか!?」
「1回の仕事の報酬がバカみたいにデケぇらしいからな」
「俺も大概だが」
「…っと、んな事を話してるんじゃなかった」
「服!何処だ!?」
「乾燥室に行ったら10分も有ったら渇くぜ」
「俺も着替えっかな…」
ダラダラと側にあった服を適当に掴み着替え始めるウェルタ
(支部長の尊厳とか皆無だな…)
「じゃ、俺達は行こうぜ?蒼空」
「あ、はい!そうですね」
「怪しい奴が居たら速攻捕まえろよ」
「五眼衆以外にも狙う馬鹿共が居るしな」
「は、はい…」
会議会場前
(東京ド-ムよりデカい…)
「The order is an absolute!!」
数百人にも上るロンドン支部員達
その前で演説の如く声を張り上げる隊長らしき男
「…長ぇ」
「我慢してくださいよ…」
ブツブツと文句を言うゼロ
鉄珠に至っては寝ている
(でも、確かに長いなぁ…)
「Then we startes a plan!!」
「The failure is not tolerated!Did you understand it!?」
「「「YES,I do!!」」」
「あ、終わったみたいですよ」
「…じゃ、行くか」
カタンッ
ゼロが端に置いてあった布でグルグル巻きにされた棒を取る
「何なんですか?それ」
「…魔法のステッキってトコだ」
「?」
「俺は行くからな」
「そこの馬鹿叩き起こして早く行けよ」
「は、はい!」
読んでいただきありがとうございました