パズル
スーツ売り場
「織鶴-?」
「あれ…、何処行ったんだろ」
「クレープ買いに行ってる間に居なくなっちゃったのかなぁ…」
火星は辺りを見回すが、織鶴は居ない
数分ほど見回って悩んでいると、店員が声を掛けてくる
「あ、あの」
「はい、何ですか?」
「もしかして、先刻の茶髪で胸の大きな女性はお連れ様で…?」
「…あー、たぶん」
「その方でしたら、角の自販機の方で不良に絡まれていました…」
「彼等は有名な不良で…、その……」
「…そうですか」
「ありがとうございます」
笑顔で礼を言い、火星は自販機の方へと走っていく
嫌な予感がする
嫌な、本当に嫌な予感がする
「織鶴ーーーーーっ……!!」
火星の最悪の予感は
的中した
「…嘘だろ」
その眼前の光景に息を呑む火星
ただ、その絶望的な状態を形容できずに立ち尽くす
「そんなっ…!!」
「あら、火星」
「遅かったわね」
「お前…、この子達は…」
「私をナンパしてきたから殺ったのよ」
「本当に殺ってないだろうな!?」
「大丈夫よ、ちょっと(永久に)眠って貰っただけだから…」
「お前が言うと洒落にならないんですが!?」
「冗談よ冗談」
「でもまぁ、私を襲おうとしたんだし、これぐらいは当然でしょ」
「…ん?この臭い」
「クロロフォルムよ」
「私を気絶させてレイプでもしようとしたんじゃないの」
「公共の場で平然と言うなよ…」
「…だけど、それは頂けないな」
「女の敵って言うかなんていうか」
「…許さん」
「手伝いましょうか?」
「い、いやぁ、流石にそれは良いよ」
「はい、それとこれ」
「…クレープ?」
「スウィーツ、最近は買ってこれなかったから」
「お詫びにな」
「…ぁ、ありがとう」
「顔赤いけど大丈夫か?」
「だ、誰が!」
「ははははは、冗談だよ」
「だけど悪いな、最近はスウィーツ買ってやれなくて」
「べ、別に仕事が多いんだから仕方ないわよ…」
「こうやって買ってきてくれるし…、許さないでも…、ない…」
「…ありがとな」
「う、うっさい!」
「早くそいつ等をどうにかしてきなさい!」
「はははは、解ったよ」
「それじゃ、俺は彼等をお仕置き(処理)してくるから」
「…速く戻ってきなさいよ」
「スーツ…、買うんでしょ…」
「おう!」
万屋
カランカラーン
「ただいまー」
「…うぉっ!?」
「 」
「蒼空…、か」
「何か模型が埋まってんのかと思った」
「おーい起きろ-」
「はっ、花畑…」
「…マジで大丈夫か、おい」
「三途の川…」
「戻ってこぉおーーーーーいっっ!!!」
「…はっ!」
「お、俺はいったい…」
「何か気絶してたけど…」
「て、鉄珠さん…」
「織鶴にやられたのか…」
「何?なんか言ったの」
「息抜きデート…、火星さんと…」
「…覚えておけ、蒼空」
「女性は本当の事を言われると8割の確率で怒るんだぜ」
「良い教訓ですね…」
「今…、初めて鉄珠さんを…、尊敬…」
「ぐはっ!」
「あ、蒼空ぁあああああああああああああああ!!!」
「いや待てコイツ「初めて」って言わなかったか」
カランカラーン
「ただいま戻りました」
「おー、お帰り」
「…鉄珠」
「敵襲でもありましたか」
「いいや、織鶴鉄拳炸裂」
「あぁ、なるほど」
「そこで寝ているのは」
「蒼空」
「今回の犠牲者です」
「…珍しいですね、彼が逆鱗に触れるのは」
「それはそうと、蔵波君の情報は集まりましたか」
「ぜーんぜんだな」
「何より情報がねぇしよ」
「能力者とか軍関係ならまだしも、一般人だぜ?」
「浮気調査とかでもないし、元の情報が少なすぎる」
「そうですね」
「私の方も芳しく有りません」
「ある意味、100ピースの無色パズルより難しいぜ」
「ピースは揃っても絵柄がありませんからね」
「どうやって絵柄を揃えるか…」
「ピース同士は制限ルール付きだからな」
「[蔵波=天之川]を合わせたくないってね」
「迂闊に行動できませんね」
「…偶然ならば良いのですが」
「だってよぉ、天之川って今の蒼空と同年代だろ?」
「充分に有り得る話じゃねぇか」
「…嫌ですね」
カランカラーン
「どもー」
「…誰ですか?」
「…」
「あ、熊谷です」
「あ!そうだ思い出した」
「蒼空の同級生だよ!」
「えっと、なんか俺の友達が…」
「あぁ、ちょい待ち」
「ほれ!起きろ蒼空!!」
「…ぐぁ」
「…あー、何ですか…」
「お友達ご来賓」
「ともっ…?」
「…熊谷!」
「やっほー」
「何でお前がここに!?」
「ネットで調べて来たんだよー」
「それはそうと、どうなの?」
「…どうなんですか?」
「何でその人達に?」
「調べてくれてるのは、この2人だからな」
「あぁ、なるほど」
「どうなんでしょうか?」
「難しいですね」
「どうにも進行してません」
「一応、彼女さんに聞いた場所は全部調べたしなぁ」
「てか何で家出してるのか解んねーし」
「そうですか…」
「アイツ、頭はそこそこ良いから余計に面倒ですねぇ」
「へぇ、そうなの?」
「確か医者志望だったよな?」
「そうそう」
「凄いなぁ、医者志望とか」
「アイツ、性格がアレだからナースとかに手ぇ出さなきゃ良いけど」
「桜見が居るから大丈夫でしょー」
「あぁ、確かに」
「変態が医者なんてなれるはずないしな!」
「だねぇ」
「面接辺りで滲み出るオーラのせいでアウトになりそうだし」
「まぁ、もし通ったとしても速効でバレるだろ」
「だよなぁ-!」
「やっぱ変態の医者なんて」
「…なんて」
(((院長……)))
「えっ?」
読んでいただきありがとうございました