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秋鋼  作者: MTL2
326/600

元老院直属部隊の2人



太陽の光を遮る人影


白を貫く黒



「どうした?化け物」

「守るモンがなきゃ本気が出ねぇーってか?」


「ガァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


バタバタと暴れる波斗

しかし腹を貫かれた状態では、何をしようとも無駄でしかないのだ


「これでしゅーりょぉー!」

「…だと嬉しかったんだがな」


祭峰の腕を貫く石柱


[創造クリエイト]…」

「始まりの能力、か」

「陽の存在は特別で羨ましい事だ」


次々と地上から石柱が盛り上がり、祭峰の体を貫いていく


「…あー…」

「俺の能力を教えてやんよ、蒼空」

「闇紋、塵滅、拒絶…、と」

「面白くて破壊力抜群の能力ばっかだろ?俺達」

「だけどなぁ、俺は違う」

「コピーなんだ、模造ってな」

「最低の能力さ…、他人の力無しにゃ発動もできねぇ」

「だが、俺はそれが最もお前に近い物なんじゃねぇのか、って思ってる」


波斗の腕を、祭峰は掴む

その表情は彼等しからぬ、哀秋に満ちた表情


「俺達は陰なんだ」

「だけど、これは人の助けなしにゃ何もできない能力」

「まるで…、人間みたいじゃないか」


ぽつりと流れ落ちる涙

それに反するように血の滴る、白と赤の歯を見せながら祭峰は笑っている


「俺みたいな、俺達みたいな人間離れした化け物が」

「人と同じなんて…、嬉しいだろう?」


祭峰の掌に凝縮される、漆黒銀の球円体







「武煉災祭」







消え去る海

彼の一撃の下には何も残らず

ただ、全てが焼き尽くされた穴が残るのみ



「はぁー…っ…、はぁー…っ…」


滝水のように流れ落ちる汗

酸素が足りず、祭峰は必死に息を吸っている


「全部、消し飛んじまったか…」

「つーかぁ…、こっちも限界…」


祭峰の体から消えていく、黒塊

彼の姿はいつもの彼へと戻っていく


そして、そのまま地面へと落下していく




「…あー」

「イキテマスカー?オレェー」


「生きてるッスよ!しっかりしてくださいッス!!」


「変人が喋ってるぜぇ…」


「しっかりしてくださいッスってばぁ!!」

「あと変人じゃないッス!!」


「大丈夫か、祭峰」


「兎が…」


「…」


「…何ですか、橋唐サン」


「奴は消したのか」


「体ぁ全部、ブッ飛ばした」

「再生には暫くかかんだろ…」


「ご苦労だったな」

「霊魅、アロンにこの事を伝えてこい」


「りょ、了解ッス!!」




「…貴様が泣くなど、珍しい事もあるものだ」

「明日は雨か」


「かもなぁ…」

「…久しぶりに、実感できたよ」

「俺が生きてる、って事を」


「…フン」

「本当に…、珍しい事だ」



「…」


「霊魅か」

「伝えてきたのか?」


「…ッス」


「む?」


「逃げてくださいッス…!!」


「何を…」


橋唐の肩を噛み裂く、鋭い牙


「ッッッ………!?」


「ガッッ…!!」


「霊魅っ…!?」


剛掌撃ボグネオ


祭峰の腹部を突き抜ける衝撃

胃が潰され彼の口からは薄黄色い液が吐き出される


「まさか、まだここに居たとはな」


青い髪

白く濁った瞳

骨肉隆々な体


「貴様はッッ…!!」


「元老院特続部隊、オシリスだ」

「そして奴はコヨーテ」


岩場に座る、小柄な1人の男

黄色い髪と白銀の瞳

そして、顔には奇妙な入れ墨が入ってる


「そこの小僧以外、操れねぇの」

「無駄に精神力強い奴等ばっかだなァ…」


「チィッ……!!」


「おっと?あの2人は来ねェぜ」

「向こうで眠ってるからなァ」


「貴様等の殲滅はあの方の計画には必須条件」

「確実に滅ぼさせて貰うぞ」


(マズぃな……!!)


元老院直属部隊!

1人1人の戦闘力がNoレベル!!


それが2人ぃ!?

こっちは防衛本能の蒼空と戦って満身創痍だってのに!!


「マジでヤバっ…」




その時




無人島を振るわせる豪怒の咆吼



「…!!」


「何だ…?この声は…」


「来た…!」

「ナァァァァァイスッッッッッタイミィィィィィィィィィングゥッッッッッッ!!」


オシリスの顎を蹴り上げる祭峰

一瞬だがオシリスは怯み、祭峰を逃がしてしまう


「愚かな…」


体制を立て直すオシリス

だが祭峰はゼロの能力を使い、橋唐に噛み付いている霊魅ごと、2人を掴んで逃亡する


「何処へ逃げようとも、無駄だろう」


「後ろ見てろ!バァーカ!!」


「後ろ…?」


オシリスの顔面を掴む黒い掌


「なっ…」


「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


「…何だ、コイツは」


オシリスの手が金色に光り、彼は拳を握りしめる


光神拳撃ヴァフス


ゴリュッ


「ぬぅうんっっ!!!」


ゴバッアンッッ!!


拳撃は波斗の腹部を貫き、内部から破裂させる

しかし、それでは止まらない


「ガァアアアアアアアアッッ!!」


波斗はオシリスの右腕に噛み付き、牙を腕の中へと食い込ませていく


「何者かは知らんが…」

「その程度か!!」


地面へ向け、オシリスは腕を振り下ろす

それに吊られて噛み付いていた波斗は地面に叩き付けられて頭をかち割られる


「ふむ…」

「中々…、だったが…」


「オシリスッッッ!!」


「む?」


オシリスを囲む石柱

1本1本が確実に人命を奪える凶器となり得ている


「何だ、これは」


しかし、オシリスほどの相手には無意味

彼の拳による薙ぎ払いで全てが崩れ去る


「…誰が、これを」


背筋に走る寒気

全身に走る悪寒


「ガァッッ」


首に走る冷たい感触


「ーーーーーーーーーーーッッッッ!!」







「…何だ、今のは」


気が付けば、荒野の中心に1人立つオシリス

彼の周囲には何もない


「何だ…、今のは…」


呆然と周囲を見渡すが、何もない

先刻の化け物は居ないのだ


「…何なのだ」

「何が…、どうなっている…?」




読んでいただきありがとうございました

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