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秋鋼  作者: MTL2
312/600

無人島

某所


元老院本部



薄暗い廊下を歩く1人の男

黒く、首元まである髪を揺らしながら革靴の音を鳴らす


「…おぉ?防銛じゃぁないか」


男は立ち止まり、防銛に声をかける

しかし、防銛は黙ってその隣を通り過ぎる


「無視は酷いんじゃないかな?」


男は踵を返し、防銛へと早足で追いつく


「何処に行っていたんだ?」

「試験には居なかったようだが」


「…」


「おいおい、幾ら俺が嫌いでも話ぐらいは聞いてくれよ」

「泣いちまうぜ」


「…祭峰のアジトに行っていた」


「祭峰の?」

「何だ、漸く場所を当てれたのか」

「…行っていた、って事は」


「もぬけの殻」


「ギャハハハハハハハ!逃げられてんじゃねぇか!!」


「…」


男の、その笑いに眉をしかめる防銛

その表情を見て男はおっとと口を塞ぐ


「…で?お前1人で行ってたんじゃないだろ」

「他は?」


「オシリスとコヨーテ」


「あの2人か」

「あの方も随分と祭峰にはご執心だねぇ?」


「…当然」

「5人目は計画において最大の障害」


「だろうねぇ」


prrrrr


「っと、失礼」

「もしもし?」

「あぁ、アテナか」

「…ん?あぁ、そうか」

「解った、うん」


プツッ


「…クククッ」

「アテナとアウロラがアジトを見つけたみたいだぜ」


「!」







無人島



「…厄日だゼ、今日は」


「全くですねぇ」


ぜぇぜぇと息を切らすラグドとアロン

2人は岩壁の影に隠れ、コソコソと話をしている


「橋唐さんと一斑君は戻りませんかぁ?」


「まだ戻らないと思うんだゼ」

「祭峰も出て行ったばかりだし、シルディとは連絡が取れないんだゼ」


「やれやれぇ、こんな事になるとはぁ」

「データのバックアップを取っておいて正解でしたぁ」


「抜け目ないんだゼ…」


「伊達にぃ、この組織で研究はしてませんよぉ?」


アロンの言葉が終わると同時に2人は前転の要領で前へと転がる

その瞬間に彼等が凭れていた岩壁が切り刻まれる



「…逃がしたか」


「しっかりしろ」

「不快」


「貴女も少しは働いたら?」

「能力上、仕方のない事でも…、な」


「私はお前とは違う」

「理解しろ」


「…はぁ」


ため息をつく女性

長く、首元で三つ編みにした朱色の髪

強固な鎧を身に纏い腰には長剣を携えている


「そろそろ、撃てないか」


「まだ」


キィンッッ!


「…くっ」

「アテナ!急げ!!」


どこからともなく飛んでくる弾丸を防ぐ女

その隣でアテナは手に光を集めている


「うるさい」

「アウロラは私を守って牽制してれば良い」

「口答えするな」

「不快」


「全く…!」


アウロラと呼ばれた女は再び剣を構え、周囲に気を張る

幾度となく飛んでくる弾丸を全て長剣で弾き飛ばし自分は勿論、アテナに傷を負わせない


「多いな」

「相手は2人じゃなかったか」


「私は知らない」


多いもそのはず

アロンの分身、約10体が各方向から銃で狙っているのだから


「…仕方ない」

「三秒、開けるぞ」


「勝手にしろ」


アウロラは低く、低く腰を落とす

静かに息を吐いて弾丸を弾くのをやめる


「…疾天スラオス


トンッ





「…これは驚きましたねぇ」


「どうしたんだゼ?アロン」


「ほんのぉ、一瞬でしょうがぁ」

「私の分身が全て消えましたぁ」


「…ありゃー、厄介な相手なんだゼ」

「身体強化系か、特殊系か…」


「残念ながら、無能力者だ」


「「!」」


2人の首元に添えられる刀剣

動けば確実に首を跳ねられる位置だ


「…お前、元老院直属部隊だな?だゼ」


手を上げながら訪ねるラグド

アロンも同じように手を上げる


「あぁ、そうだ」


「元老院直属部下…、唯一の無能力者」

「…いや、最強の無能力者と言った方が早いか?だゼ」


「最強?笑わせるな」

「私よりも雨雲 卯月の方が剣技は素晴らしいし、ロ・クォンも居る」


「お前は常人離れしてる、って話だゼ」


「それは褒めているのか?」


「どっちかと言うと貶してるんだゼ」


「そうか」


「アロンッッ!!だゼッッ!」


「ホホホホホホホホホホホホ!油断しましたねぇ!!」


空から降り注ぐ人影


「なっ…」


「我が分身よぉ!埋め尽くすのですぅ!!」


その数は一瞬で数えるには不可能

余りに多い

まるで、雨粒の如く


狂気に満ちた笑い声をあげる雨粒は

アウロラの頭上に容赦なく降り注ぐ


千閃斬シーアノルドッッッ!!」


彼女の斬撃は一切の狂いなくアロンの分身を貫く

しかし、彼女の目に入ってきたのは銃口


「ガラ空きなんだゼ」


「ホホホホホホホホホ!!」


「…はぁ」


全くもって

私は苦労する


カチッ



「下がるんだゼッッッッッ!!!」


その異変に気付いたのはラグド

アロンはそれを目認してから気付いた


「二刀流ぅッッ!?」


目で反応してから避ける

可能だ

況して、相手は斬撃でバランスを崩している


避けられる



はずがない



ズッ


(早いぃーーーーーーっっ!!)


肉を裂く刃


(避けきれないぃっ…!)



ゴッ!!


「がぁっ!?」


横から飛んでくる蹴り

ラグドはアロンの脇腹を蹴飛ばし、斬撃から逃れさせたのだ


「っ…ーーーーーっ!助かりましたぁ」


「危ないんだゼ…」


「…今のを避けるとは」

「神速の弾丸…、伊達ではないな」


「それは褒めてるのか?だゼ」


「いいや、貶している」


「…だろうな、だゼ」



「邪魔」




「!」


その一言を合図に飛び退くアウロラ

何事か、と周囲を警戒するラグドとアロン


すると、数百メートルほど離れた場所に立つ1人の女


明らかに攻撃の態勢だが、距離が距離だ

遠距離攻撃にしても離れすぎている



「狙撃系の可能性が高いんだゼ」

「当たると厄介なんだゼ」


「ホホホホホホ…、解っていますよぉ」




滅星砲ロストフレイム




ラグドとアロン


2人の目前を覆う光



言葉を発する暇もなく


島が半分



消し飛んだ




「…仕事終了」

「五紋章は回収できた?」


「あぁ、出来た」

「この2つだろう?」


アウロラの手に握られている斧と双銃

アテナはそれを見て頷き、帰ろうと口にする







焼け焦げた島

多くの木々が薙ぎ倒され、炭とかしている



ガラッ


「…生きてるか?だゼ」


「ホホホホホホ…」

「しぶとさだけが取り柄ですからねぇ」


「…だろうな、だゼ」

「ったく!祭峰に怒られるんだゼ」


「いいえぇ…、構いませんよぉ」


「何だと?だゼ」


「完成しましたからねぇ…」

「疑似五紋章はぁ…!!」


読んでいただきありがとうございました

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