ステラVSシルディ
地下施設
ガシャァアアアアアアアアアアアンッッッッ!!!
「ぐっ…!!」
地下施設へと叩き落とされるステラ
ガラスと瓦礫の破片に埋もれながらも、その体には傷一つついていない
顔を上げた彼女の目に映ったのは無数の火球
「チィッッ!!」
しかし、ステラが振り払った手によって簡単に消されてしまう
「…。」
遠慮なく無限に技を放ち続けるシルディ
それに対しステラも無限にその技を消し続ける
「不可解」
「そうでしょうね!」
地面に手を叩き付けるステラ
シルディは構えるが、何も起こらない
「…?」
「法則の拒絶」
バチィイイイイイイイイイイイイイ!!!
地面から生成される刀剣
ステラはそれを両手に持ち、構えを取る
「…。拒絶?」
「今、ね」
「私は最強の人工能力装置を付けてるの」
「この人工能力装置は1つの能力を再現する事が可能よ」
「要するにコピーね」
「最強の装置なら…」
「最強の能力をコピーするでしょう?」
「No,1。の能力。…」
「そうよ」
「…。厄介」
「でも。所詮は。コピー」
「コピーを馬鹿にしちゃいけないわ」
ヒュンッッ
「…。?」
ヒュンッヒュンッヒュンッッ
空中で刀を振り回すステラ
シルディは構えこそ取っているが、彼女の行動の意味がわからない
「拒絶」
「それはね、概念でも最強のレベルなの」
「どうしてか解る?」
「…。解らない」
「まず、人は何事にも選択肢を出すわ」
「どうするか、とかどうやれば、とか」
「だけど、それ等の選択肢の最後に必ず待ち受けるのはYESかNOなの」
「拒絶はNOなのよ」
「最終選択は最終概念」
「最後の選択肢」
「…即ち、起源に等しい」
「それが。どうした」
ヒュンッ
「距離の拒絶」
気付けば
振り下ろされる刀剣
食い込む刃
吹き飛ぶ腕
飛び散る鮮血
「え?」
「全てをNOに」
「因果律すらも操作する最強の能力」
腕が切られた
それを確認するのに数秒を要した
だが、それを認識した瞬間
「がっっ。…!」
全身に広がる激痛の波
「ああああああ。ああああああ。あぁあぁっっっぁ。ああああああ!!!」
「痛い?痛いよね」
「すぐ楽にしてあげるわ…」
「ぐっっ。ぁああああ…!!」
痛みに悶えながらも、残った片手で刀剣を握るシルディ
だが、それはもう悪あがきでしかない
「窒素の。圧縮…ッ!!」
「懐かしいわね」
「私が最初に成功した人工能力装置よ」
「高速の圧縮によって酸素と摩擦し、爆発を起こすんだったわね」
「そう。…!」
「私と一緒に自爆でもするつもり?」
「意味ないって、解ってるわよね」
「言ったでしょう?」
「私は爆発を拒絶するわ」
「そう…。拒絶…」
「それ程の。能力を使って…」
「リスクが。ないはずが。ない。…!!」
「…」
「No,2も。…!。薬を使って。能力を。強化した。…!!」
「でも…!。それは。寿命を縮めた。…!!」
「…本当に、そうかしら」
「…。え?」
「いえ、何でもないわ」
「けど…、確かにリスクがないワケじゃないわ」
「…。!」
「でも、リスクでも何でも犯してでも」
「娘を止めるのが親ってモンでしょ?」
「死の。リスクすら。も?」
「それが何?」
屈託のない笑顔で微笑むステラ
シルディの背筋がぞくりと凍る
「シルディ」
「私、貴女が好き」
「大好きよ?」
ぶづっ
「だから、止めるの」
ぶづづっ
徐々にシルディの手に切り込んでいく刃
彼女はそれでも手を離さない
「…ねぇ、離さないの?」
「離っ…。れない」
「どうして?」
「もう。離れない」
「もう?」
「離したのは貴女でしょ」
「私から離れていったのは貴女でしょう?」
「そう。だから。もう」
「離れない」
「…何を」
立ち止まっていても仕方ない
「もう…!立ち止まって。られないから!!」
ギチチチ!
シルディは刃を押し返す
まるで、今までの過去を押し返すように
「逃げない!!」
「私は!向き合う!!」
「向き合っても戻れない」
ぶづっ
「貴女は最大反軍勢力組織の左腕…」
「私は軍に反した裏切り者…」
「似て非なる存在なのよ?」
「違う!」
「違わない」
「私は!私!!」
「貴女は…。っ貴女」
「でも。…!。一緒…」
「…」
「家族っ。だからっ。…」
家族?
えぇ、そうね
家族
「だったら、どうして逃げたの」
あの時
どうして
「…。怖かった」
「だから逃げたの?」
「…。っ」
「それで反軍勢力に入って」
「人を殺して」
「殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して…」
「殺して…」
殺して?
私はこの子をここに居させても
殺させたんじゃないの?
「私は…?」
この子を利用しようとしたんじゃないの?
兵器の実験台にしたんじゃないの?
他の子は?
自分のために殺したんじゃないの?
自分勝手な殺人鬼と
何が違うの?
「私はっ…」
「帰ろう…?」
シルディは刃から手を離し、ステラへと差し伸べる
私には
この子の手を握る資格があるの?
パシンッ
「…え?」
「取れない」
「ステラ。…?」
「私に。取る資格はないの」
「そんな事。な…」
「生命の…、拒絶」
読んでいただきありがとうございました