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秋鋼  作者: MTL2
289/600

難渋

軍本部


45F総督室



「…えぇ、解ったわ」

「そう…、うん」

「怪我が無いなら何よりよ」

「えぇ、うん」

「解ったわ」


ガチャッ



「ふー…」


「どうでしたか?」


「マチュピっ…、マチュピチュに五紋章は無かったそうよ」

「刻が居たそうだから、もしかすると祭峰が何処かと同盟を組んでるかも知れないわね」


「…厄介になりますね」


「…そうね」

「それと、サハラ砂漠に向かっていたNo,7達は敗北」

「相手があのラグド・ファイスだから…、無事なだけマシね」


「神速の弾丸ですか」

「確かに…、相手にはしたく有りませんね」


「…残るはアメリカ」

「なんだけど…」


「連絡が付かないのでしたか?」


「えぇ、そうよ」

「…最悪の場合も考慮しておかないとね」


「アメリカ支部が…、標的に?」


「えぇ」

「その可能性は充分にあるわ」

「それに何よりも…、こちらに裏切り者が居る可能性が高いのよ」


「情報が全て流れていますからね」

「アメリカ支部は技術や実験、資金繰りの中心地」

「襲撃されては軍の機能が麻痺しかねません」


「…鎌斬は」


「駄目ですね」

「連絡が付きません」


「元老院…、も駄目ね」


「えぇ、神無総帥は老害共に汚染された内側を浄化するので精一杯なはずです」

「元老院直属部隊も動けないでしょう」


「…むぅ」


「…布瀬川様」

「やはり、秋鋼かユグドラシルに依頼すべきでは…」


「駄目よ!!」

「コレは軍の機密事項であり、軍の問題よ」

「元Noや手練れという理由だけで、これほどの問題には巻き込めないのよ!」

「本当に死ぬかも知れないのよ!?」


「No,3の様にですか?」


「…えぇ」


「…解りました」

「ですが、No,4と茶柱 栗東だけに信任しておくのも気が引けます」

「彼女はNo,2の直属部下に敗北した経験が…」


「…ロンドンではそれを克服してるわよ」

「ただ…、どうしようかしら」

「連絡が付かないって事は最悪の事態に陥ってる可能性があるって事よね…」


「No,4直属部下の響 元導を向かわせてみてはどうでしょうか?」

「彼ならば二充分に戦力になり得ると思いますが」


「彼は移動させられないのよ」

「昕霧が連れて行かなかった理由としてもそうなんだけれど」

「こっちの守護を薄くしては意味が無いから」


「そうですか…」

「しかし…、それでは人員が…」


「…」



どうすべき?


建前や偽善を捨てるのならば織鶴や雨雲に依頼するのが最も良い

でも…、それは…



prrrrrrrr



「布瀬川様、お電話です」


「…あぁ、うん」


ガチャッ


「もしもし?」


『あぁ、総督?』


「織鶴…」

「…どうかした?」


『今、アメリカなんだけど』

『どうなってるのよ、コレ』


「あ、アメリカぁ!?」


『ーーーーーっさいわね』

『セントちゃんがグランと話がしたいからって来たのよ』

『森草ちゃんと火星と彩愛連れてね』


「…そんなぁ」


『あら?何かマズかったかしら』


「…いえ、何でも」

「そっちで別に仕事は無いんでしょ」


『…そうだったんだけどね?』

『アンタ、警戒令でも敷いたの』


「は?」


『空港に軍が張ってるのよ』

『何か重点的に身分証明させてるけど、何これ?』


「…ちょっと待って」

「白月、アメリカ支部に今回の件は連絡したわよね?」


「えぇ、しましたが…」

「流石にそれはやり過ぎでは…」


「…織鶴?」


『何?』


「そこで身分検査してるのは軍で間違いないわね?」


『えぇ、間違いないわ』

『一般人とか全部含めてるけど』


「…そこはスルーしてアメリカ支部本部に直接向かって」

「今、連絡が取れない状態なの」


『まさか…、乗っ取られてるとか?』


「可能性が無くもないわ」

「別の任務で昕霧が向かってるから、出来るなら合流して」


『…チッ、解ったわよ』


「お願い」

「でも、絶対に無理だけはしないでね」

「あくまで下見だけで」


『…何か、厄介事に巻き込まれた?私達』


「…ごめん」


『はぁ…』

『…仕方ないわね』

『白月に変わってくれる?』


「え?」

「何で…」


『良いから』


「…?」

「白月」


「はい」

「何ですか?」

「…」

「…しかし」

「……」

「…解りました」

「はい、では」


ガチャッ


「どうしたの?」


「布瀬川様、失礼」


総督の背後に回り込む白月

何故か解らず困惑している総督に、ぺこりと白月は頭を下げる


「お許しを」



バチィイイイイイイイイイイイイイイイイイインッッッッッ!!!



「ぎゃぁあああああっっっ!?」


「…元No,4の言伝と、元No,4の代わりに」

「「背筋を伸ばして、前だけ見ていなさい」」」

「「貴女は頭よ」」

「「私達、足が下を向いていれば言い」」

「「頭は常に前を向きなさい」」

「「頭が下を向いてちゃ前に進めないじゃない」と」

「背中への一撃は、元No,4の変わりです」


「…うぅ-」

「馬鹿」


「如何なる処罰でも受ける所存です」


「…白月」

「本当…、私には勿体ない部下達ね」


くすりと笑う総督

バチンッ!!と激しい音を立てて、自らの頬を打つ


「私が前を向かなければ進まない」

「このまま私達が負けると思わない事ね…」

「祭峰ッ…!!」







アメリカ


空港



ガシャンッッ


織鶴を能力によって簡単に金網を破り、その隙間から脱出する


「ど、どうしてここから…?」


「念のため、ね」

「下手したら追い返しをくらうかもしれないから」


「な、なぁ、織鶴」


「何よ、火星」


「何か…、ヤバくないか?」

「幾ら何でも、この厳重体制は異常すぎる」


「えぇ、解ってるわよ」

「だからこそ、こんな所から抜けてるんでしょうが」


「ご、ごめんなさイ」

「私のわがままデ…」


「良いのよ、セントちゃん」

「いえ、むしろ好都合ですらあるわ」


「ど、どうしてですカ?」


「恐らく、この厳重体制とが意味するのは…」

「ステラが総督に報告を渋るような事」

「プライドの高い彼女の事よ」

「恐らく、国内だけで問題を片付けようとしてるんでしょうね」


「国内だけで?」

「そんな事をしなくても、本部に要請すりゃ良いのに…」


「本部は機能できてないのよ」

「あの件のせいでね」


「…あぁ、試験の時のか」


「そうよ」

「ステラが何を考えてるかは解らないけど、確かに異常事態に変わりは無いわ」

「急ぎましょう」


「…あぁ、解った」



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