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秋鋼  作者: MTL2
287/600

ラグド・ファイス

影代カゲシロ…」

「影に出入りし、相手を刺す」

「貴方が見ていた影は、貴方自身の物ですよ」

「砂塵で気付きませんでしたか?」


「ぐっぅ…!!」


「案外、[神速の弾丸]も呆気ない物でござったな」

「期待はずれでござる」


「油断してはいけませんよ」

「殺すまでが[暗殺]なのですから」


キィンッ


「…往生際の悪い」


「それが長所だゼ…!!」


「どうやら、刃物の類いは効かない様でござるな」

「如何なさる?」


「…力を、圧縮するのでしたね」


チャポンッ


黄色の液体

千両はそれを取り出し、蓋を開ける


「…ほう」


「そう、あくまで力」

「流水体は…、どうでしょうか?」


ジュッ


「がぁああああああああああああああああああああああ!!!!」


「水素猛毒素です」

「先日、余ったのを少し拝借しましてね」

「骨まで溶かす威力ですが…、お味の程はどうですか?」


「ぐっ…ぐぉぐぐぅうう…!!」


「中々の威力でござるな」

「痛覚刺激としての威力は最大級でござろう」


「えぇ、中々の毒です」

「コレならば[力]など関係無く、殺せますね」


「おぉおおおおぉおおおおおおおおおお…………!!!」


「いつまでも美しい悲鳴を聞かせていただけるのは結構です」

「しかし…、いくら美しい美声でも聞き飽きれば騒音となる」


カチッ


「その、激痛の中で能力を発動させられますか…?」

「さようならです、ラグド・ファイスさん」



パァンッッ












「…うーん」


声は聞こえるんだけどなぁ…

何て言ってるか解らない…


叫び声?


千両や之乃消のじゃないなぁ…


ラグドの?



じゃぁ、勝ってる?





シュゥウウウウーーー…



「あ…、砂塵が…」


晴れる…





馬常の目に映ったのは


千両と


血まみれの



之乃消



そして


ラグドだった



「…!!」



「ったく…、本当に外れクジだゼ」

本気マジの能力を発動する事になるんだからな…、だゼ」


「貴方…!その能力は…!!」


「本当の能力を自慢したがる馬鹿なんて居ないんだゼ」

「…いや、居るか?だゼ」


「力だけではないのか…!!」


「[圧縮と解放]」

「その2つの[概念]が俺の能力なんだゼ」


「多重能力…!?」


「…まぁ、間違っちゃいないんだゼ」

「能力とは記憶」

「記憶とは人格」

「人格とは脳」

「脳とは1つ」

「1つとは魂」

「魂とは概念」

「概念とは能力…、だゼ」


「…!?」


「…喋りすぎたんだゼ」

「さて、と」

「そろそろ遺跡の方に向かいたいからケリぃ付けるんだゼ」


カチャッ…


「Good-bye」



ガァアアアンッッッ!!!



「ぐっ…!」


「撃たせないよね…、普通はさ」


硬化した馬常に吹き飛ばされるラグド


馬常の体格と突進力、そして能力による高度

彼のタックルの威力や能力からして決して骨は無事では済まない


それなのに


「痛いんだゼ?」


「平然と立ち上がるねぇ…」


「痛みの圧縮」

「そうすれば痛みなんて感じないんだゼ」


「…うわぁ、反則ぅ」


「本気で言ってないだろ?だゼ」


「まぁねぇ~…」

「千両ー…、レウィンちゃん宜しく~…」


「は、はい」


「さて、と…」

「一撃必殺や連撃なんて得意じゃないのになぁ…」


「…何つー、考察力だゼ」

「俺の能力の弱点を一瞬で…!」


「圧縮と解放」

「解放があるのは圧縮に限度があるから」

「一撃必殺で圧縮の許容をオーバーさせるか…」

「連撃でオーバーさせるか…、だよね」


「その通りだゼ」

「全く…、惚れ惚れする考察力だゼ」


「ありがと…」

「じゃ…、行こうか」


傘を持ち上げる馬常

ラグドはそれに対し、左手に力を込める


「よー…い」

「どんっ」


ドッッッ!!!


「させねぇんだゼ!!」


ラグドより放たれる銃弾

馬常は頬に擦らせながらも、華麗に避ける


「えい」


ゴッッッッ!!!


「ぐっ…!」


ずぶっ


「何つー破壊力だゼ…!!」


ラグドの足は段々と砂へと沈んでいく

上からの馬常の重圧に耐えかね、ラグドの腕もミシミシと音を立てる


「こっ…!の…!!」


ゴゥッッ


「むがぁっっ…!!」


めきりとラグドの腹部にめり込む足

彼は悶絶し、口からは胃液が滴り落ちる


「おぇっっ…!!」

「ーーーーっとぉ!!」


「へぇ、圧縮したんだ…」

「でも本命は違うよ…」


ガシッ


「よいしょー」


ブンッッ!!



「おっと!?」


ドサッ


「ナイスキャッチー、千両」

「之乃消を預かっててね」


「は、はぁ…」


「そっちが狙いか…、だゼ」


「人質にされちゃ、溜まんないからねぇ…」

「それじゃ…、本気で行こうか」


「それはこっちの台詞だゼ」

[神速弾丸ショット・ショット]


ドドドドドドドドドドドドドドド!!!


銃から発せられる弾丸

速度は目に見える物では無い

音すらも置き去りにする弾丸


弾丸の発射音は馬常の硬化された皮膚を擦る音と重なって聞こえる程だ


だが、幾ら速かろうと弾丸は弾丸

馬常の硬化された皮膚を貫けはしない


「くらわないよー…」


ビスッ


「がっ…!?」


「力の解放」

「先刻、お前からくらったタックルの力を解放させたんだゼ」

「貫通力のみに重点を置けば…、どうかな?だゼ」


「ぐぅっ…」


どうする?

能力を発動させるか?


…いや、それじゃ今までのが水の泡だ


どうする?どうする?どうする?



「今度こそ、だゼ」




「召還」

「ヒュドラ」




ガガガガガガガガガッッ!!!



「っ!?」


ラグドの腕に噛み付く九頭の蛇


「何っ…!?」


ぶちりと肉を食いちぎり、骨までもかみ砕く


「ぐっ…!!」

「圧縮ぅ…!!」


「無駄だよ」

「それに能力は効かないから」


腕を食いちぎっていくヒュドラと呼ばれた九頭蛇

ラグドは押し殺した悲鳴と共に蛇に向かって発砲する

しかしヒュドラに弾丸は効かず、逆に肉に牙を突き付けられるだけである


「No,7ンン…!!」


「私の仲間に酷い事したね?」

「だから、お仕置きだよ」






「喰い殺せ」






読んでいただきありがとうございました

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