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秋鋼  作者: MTL2
284/600

No,6VS刻

マチュピチュ



「…ったく」

「本当に噂通りだな」


ため息をつきながら銃を装填する刻

煙草を吐き捨て、銃弾を懐から取り出す


「攻撃が全く効きゃしねぇ」



不死身



まぁ、奴の2つ名っつーか、座右の銘っつーか


噂には聞いてたが…、比喩でも何でもなく本当に不死身とはな



マシンガン

拳銃

ショットガン

スナイパーライフル

毒弾

日本刀

ダガーナイフ

クレイモア

ボム

ダイナマイト



全て無意味



銃で撃っても体を通るのみ

剣で斬っても体を通るのみ

爆弾で爆ぜてもいつの間にか元通り


幻覚じゃない


感触はちゃんとある


神経毒を流し込まれた様な傷跡もないし、隙も作らなかった



では、何故?



能力



妥当にして率直な考えだろう



攻撃が通らない…?

一切の攻撃が無意味?


いや、それは無い


そんな能力ならば、No,6に甘んじているのはおかしいだろう


ならば、何らかの条件があるはず



ピュンッッ!!



「…っっと」


刻の頬を擦る弾

しかし、その先の壁に弾丸の痕はない



コレだ


弾あらば、壁に傷が付くはず


それが無い



空圧?


いや、目撃情報ではNo,6は水を操ると言われている

川を凍らせたり、逆に蒸発させたり、と…


恐らくは属性系の水系だろう


では、どうして体をすり抜ける?


アレ自体が水で作った偽物?



…いや、それはないか

動いているし、細かな動作も出来ている


トリックは何だ…?


水 凍らせる 範囲 蒸発 



…まさか?

少し…、試してみるか




「何処あるカー?」



ヒュンッ



(手榴弾…)



ドォオオオオオオン!!



「効かないヨ」


平然と爆煙の中から出てくるソウ


キンッ



「…ワイヤー?」



ブツンッッ!!



ソウの頭部が宙を舞い、地面へと落下する

ゴンッと鈍い音を立てて、ごろごろと転がって行く



(能力を発動する間もなく、攻撃を食らえば防げないだろう…)



壁から出てくる刻

ソウの死体を眺め、軽く蹴ってみる


「反応なし、か」

「No,6にしては呆気ないな」


ピチャッ


「…ん?」


刻の足下には水溜まり

それは少しずつ、少しずつ広がってる


「こんなの…、有ったか?」



ズッッ



「なっ…!」



足の甲を貫く氷柱

ブヅリという生々しい音と共に刻の足から血が噴き出す



「ぐがぁっ…!!」

「ーーーーっそがぁ!!」


ドンッッ!!



水溜まりに発砲しても、勿論意味は無い



「無駄ネ」


「水に…!!」


「俺に一切の攻撃は効かないヨ」


「そうか…!やはりテメェの能力は状態変化か…!!」





状態変化



氷→水→気体


この変化を状態変化という


温度の変化によって水は状態を変えるのだ



ソウは自らの体、全てが[水]


気体となり攻撃を避け

水となり水弾を飛ばし

氷となり斬撃を繰り出す


一切の攻撃は効かず、一方的な攻撃が可能



だが、それでも彼がNo,6に甘んじているのはワケがある



発動条件だ



(危ないネ)


キュポンッ


刻には見えぬ様に、背中で水筒のフタを開ける

そして、その中の水を手から体内へと取り込む


(使えて…、3回が限界カ)


一度の発動に付き、一度の給水が条件なのだ

無論、給水すれば給水するほど使用が可能だ


…だが、人体が給水できない物では能力を発動する事が出来ない


硬水

軟水

ミネラルウォーター

清涼飲料水


これらの物を給水して能力を発動するのだ


しかしながら持ち歩くのにも限りはある

平均して10個程度しか持ち歩けない


それはつまり、戦闘において10回程度しか能力が使えず

さらには連戦に置いてはかなり不利である事を示す



「…チッ」

「面倒な能力だ」


「どうすル?」

「このまま続けるカ?」


「…そうだな」

「今からじゃ五紋章も取りに行けないし、諦めるか」


「…気付いてたのカ」


「まぁ、途中辺りからな」

「流石の手はずか」


「それにしては簡単に諦めるんだナ?」


「こっちは1つ有りゃ良い、って事だよ」


「…?」


「ま…、どちらにしろ…、俺は帰るとしよう」

「もう戦いたくないんでね」

「おー、足痛ぇ」


「逃がさないヨ」


「いや、逃げさせろよ…」

「俺なんか、いつでも殺せるだろ?」


「裏切り者が何を言ウ?」


「軍のやり方が気に入らなかっただけだ」

「別に実害は然程、与えてないだろ」


「ここに居る時点で殺す理由になるヨ」


「勘弁してくれよ…」

「まだ、ガキのお守りしなきゃなんねぇってのに…」


「ガキ…?」


「…お前の元同僚だよ」

「最年少Noだったか」


「今は違うネ」


「あー、何だっけ?」

「No,7が入ったんだったか」


「そうだヨ」


「…そうか」

「あのガキ以下の奴までNoにするか…」

「…腐ってるな、やっぱり」


「何の話カ?」


「ガキはなぁ…」

「親に甘えて、笑ってりゃ良いんだよ」


ボゥンッッッ!!!


「ぐッ!?」


「じゃぁな」

「ガキは大切にしろよ」







「…ソウ?」


「…クォン、カ」


「何だ、逃げられたのか」


「うるさいヨ」


(不機嫌だな…)


「五紋章ハ?」


「駄目だ、無かった」

「ここは外れだったみたいだな」


「…そうカ」


ゼロ


「…行こうカ」


「やっぱり、気にしてるのか?」


「…いいヤ」

「ただ、思うヨ」

「戦いは良イ」

「何も考えなくテ」


「…そうかよ」


何も考えなくて良イ


「眼は逸らし続けられんぞ」


「…解ってるヨ」





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